#3:性善説と性悪説(時系列:2015年7月 手元資金を把握してキャッシュアウトの多さに気づきだした頃)
そんなこと意味がないからやってません。
2014年2月に父の経営する印刷会社に戻ってきてから、どうやって会社を良くしていくかがわからずお金がどんどん無くなっていって日に日に焦るばかりでした。既存顧客は印刷会社ばかりでしたので、前職のツテを少し使いながら一般企業に新規アプローチするも、印刷のみの提案では結局価格と納期の話にしかならず、不毛な営業活動が続いていました。その傍ら、製造現場も良くしていこうと月1回の定例会議を始めて、まずは部門長(当時の生産管理・製版・印刷・製本の長)と前月のミス報告や現場改善の提案、外注比率の低下、次月(当月)の具体活動内容などを共有していました。私が思っていた組織の常識では、共有した内容は各部門に共有されて活動に反映されるという事が当たり前と思っていました。ですので月一の部門長会議を落とし込む時間が各セクションそれぞれ必要なハズなのですが、結果がどうであったか?が一向に上がってきませんし、活動内容も変わっていない(現場オペレータの変化の兆しが無い)ので、ある時に「〇〇部長、今月の活動内容をどういう風に落とし込んでるんですか?」と聞いた矢先でした。半分カブされて少しキレ気味に「そんなこと意味ないからやってません。現場は忙しいんです。そんな時間ありません」と返ってきました。
信頼が無いという事はこういう事かと理解しました。
面食らってしまいました。
すぐに返答が出来ませんでした。月一の部門長会議は体裁だけでコレが本音なんだと初めて気づきました。あなたが言っているのは現場を知らない理屈だけの言葉で、俺たち現場はとにかく忙しいんだ。アナタにはわからないだろうけど。という事ですよね。私もサラリーマン15年間、中間管理職もやっていましたので人のマネジメントも少なからず経験しています。そう言う事はお構いなしにアナタは分かっていないという自分達の尺度だけでしかモノを見ないというのは、それが会社のその時点でのレベルだと思いますし、えてして当社くらいの小さい会社だとそれが現実で、さらに信頼関係が無いという事も大きく関係していると今だから理解できます。
それ以降も感情を露にして叱ることもありましたし、一向に状況が良くなっていく気配はありませんでした。
その人を頼りなさい。
#1でも少し触れましたが、その方に初めてお会いしたのは2015年7月頭でした。私の前職(製薬会社)の上司(元大手化粧品会社役員)が経営企画にいた若かりし頃からの戦友の方で、JMAC出身でその時は独立されて20年経っていました。たまたま前職の元部下から〇〇事業部長大けがして今NTT病院に入院していると聞きビックリしてお見舞いに行きました。タイミング的には手術は成功してリハビリ期間に入っていて、比較的ゆっくり病室で話すことができました。元上司は化粧品会社のグループ会社の社長も務められていたので、色々心配して経営の悩みを親身に聞いてくれました。私は久しぶりという事もありましたし行き詰っていたので、腹を割って悩んでいる事を打ち明けました。そうしたら、「みつさん、私が前職からお世話になっている信頼できる戦友を紹介するからその人を頼りなさい」といってその場で電話をしてくれ、後日会社に来てくれることになりました。
みつ社長は性善説ですか?性悪説ですか??
会社に来られてまずは世間話的に、会社の状況などもお話して1時間位経った頃でしょうか。
「みつ社長は社員さんに対して性善説ですか?性悪説ですか??」と聞かれました。その時は今までココで書いたように社員との関係も良くならず八方塞がりになっていて、何より自分の未熟さや拙さが理解できていなかったので、社員や会社のせいにしたいと言う気持ちが強かったので、その流れからいくと性悪説なのですが、初対面の方にカッコつけたいという心理や、一生懸命頑張っている人も少なからずいたので、揺れ動いていましたが「性善説です!」と答えました。
「分かりました。じつは私もこの会社さんは性善説が良いと思っていました。理由は性善説と性悪説ではアプローチが変わってきますし、中小企業は規模が小さい分、人的リソースに制約があります。逆に何人かの心に火が付けば、ビックリするくらい加速度的に団結して会社に勢いがつきます。あと一番はみつ社長は創業者のお父さんの事を悪く言わない。社員さんのせいにするような事も言わなかった。そう言うお人柄だから性善説が正しいですよ。」
この言葉に衝撃を受けました。心を見透かされているようでしたし、私は自分の未熟さや心の狭さも同時に猛省しました。もし会社のせいにして社員の悪口を言っていたら・・・その裏側の部分をこれからのカイゼン活動でプラスのマインドに持っていけるようにしようと心に誓いました。
このあと(2015年7月25日)の打ち合わせで、【〇〇印刷を利益成長で強くする活動提案書ver1】によって本格的なカイゼン活動が始まっていくのでした。
#4に続く。