魅力の弊害 #レトルト三角関係|毎週ショートショートnote
外がざわめく。嘘みたいに長い脚を操りながら彼が近づいてきた。
ルミを見つけたトオルは、彫刻のように整った顔を、笑顔で輝かせながら目の前に立ちはだかった。
「みつけた」
トオルが一言発すると、周りにいる人間は腰から崩れ落ちる。彼の存在が脳を揺さぶるドーパミンなのだ。
一番傍にいたカフェの店員が「いい加減、彼に付きまとうのはやめてちょうだい!私の気持ちも考えて!」とルミに詰め寄る。
トオルは彼女の耳元で「ごめんね。君も大切なんだけど、ルミのこともすきなんだよ。」と囁くと、彼女は顔をほてらせ、その場から立ち去った。
いつもこう。彼に近づきすぎる人間は彼に惚れ、私を目の敵にして、即席の三角関係ができあがる。
トオル優しくて美しい。でも外へ出るたびに知らない人と三角関係を築くような彼氏はこまる。
ルミは絹のように柔らかな髪の毛を躍らせながら、消えそうに儚い薄桃色の唇で「わたしはあなたがきらい」と言った。
【あとがき】
今週もたらはかにさんの #毎週ショートショートnote に参加させていただきます。
今週のお題は、
今回はぜんぜん思いつかず、一回書き始めたもののぜんぜん何も思い浮かばず、一度PCを閉じました。
そして今夜ふたたび挑戦!まずはレトルトという言葉を調べてみると、オランダ語で「釜」という意味らしい。
それでもぜんぜんピンとこなくて、「魅力的な主人公を登場させる」の方を深掘りしてみました。
周りの人が気を失うほどの美青年がいたら、すぐに惚れられて三角関係になっちゃうだろ!ってなことで、レトルト三角関係を回収してみました。
ルミは最初幼なじみで美少年への耐性があるって設定だったけど複雑すぎて410文字では書ききれなかったので、ルミにも美少女になってもらいました。主人公はルミだから魅力的でいいだろって感じです。
今週はほんとに難しかったな!だからこそ楽しかったです!
今週も素敵なお題ありがとうございました!
#レトルト三角関係
たらはかに(田原にか)さんの企画はこちら↓
前の週のお題で書いたものはこちら↓
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