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鳴り続ける音|ショートストーリー

じじじじじぃぃ。

機械音だろうか。
ふと周りを見渡すと風除けの鉄骨と、何やらの電線を通すチューブの間にトンボの羽が見えた。

そこで待ったのはほんの7、8分だったが、その間中、羽音が止むことはなかった。

ちりん、ちりんと陽気なベルが鳴り響いた後から先、羽音は消えた。

帽子のつばが触れるほどの目の前をすり抜けながら市電が到着する。

じじじじ。
耳の奥にだけ羽音が残る。

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稲橋 閃
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