あいトリ 施設利用許可は作品が決まる前に出ていた
あいトリを批判する人たちはよく、「大村知事が」「作品を芸術だとして（認めて）」「展示した」と言うのですが、ここから連想するのは、「大村知事が作品を審査（チェック）した結果、作品が芸術作品であると認めて、展示を許可した」ということではないかと思います。
でも実際は全然違います。
申請書類や時系列で検証しました。
展示室利用許可
許可されたのは２０１８年１１月２０日
あいトリの展示室利用許可は２０１８年１１月２０日におりました。
許可までの時系列です。２０１８年６月１日に仮申込、２０１８年８月２２日に申請しています。
この時系列は、愛知県美術館ギャラリー利用の流れに従っています。
（https://www.aac.pref.aichi.jp/rent/gallery/flow.html）
許可書の内容
・「催物の名称」欄には、「あいちトリエンナーレ２０１９」とあります。
・「展示作品の種類及び点数」欄には、詳細の記入がありません。
問題となった「表現の不自由展・その後」は、あいトリの一企画である国際現代美術展の中のさらに一企画ですが、この２点から、展示許可はあいちトリエンナーレ全体に対して出されており、「表現の不自由展・その後」という展示会そのものや、そこに展示される作品の審査をして許可が出されたものではないことが分かります。
例えるなら、音楽フェスに対して施設利用許可はしたけど、それに参加するアーテイストや、演奏する曲に対しては、施設側はタッチしないのと同じことです。
展示室利用許可とアーティスト発表スケジュール
展示許可申請中の２０１８年１０月１８日に、参加アーティスト第一弾の発表がありました。（https://aichitriennale2010-2019.jp/2019/news/2018/002459.html）
あいトリの参加アーティストは９３組なので、この時点で３分の１程度しか参加アーティストが決まっていないことが分かります。
また、問題となった「表現の不自由展・その後」が参加アーティストとして発表されたのは、２０１９年３月２７日です。（https://aichitriennale2010-2019.jp/2019/news/2019/002655.html）
展示室利用許可の時系列と合わせると、
２０１８年 ８月２２日 展示室利用許可申請
２０１８年１０月１８日 参加アーティスト第一弾発表（３２組）
２０１８年１１月２０日 展示室利用許可
２０１９年 ３月２７日 「表現の不自由展・その後」を企画の一つと
して発表
となります。
「表現の不自由展・その後」の決定と、展示室利用許可のスケジュールとはかぶっていないことが分かります。
展示室利用許可の際に作品審査は行われないのか
あいトリのカウンターとして日本第一党が行ったあいちトリカエナハーレでは、２０１９年には、展示会が始まってから差別扇動作品が展示されていることが判明し利用許可が中止になっていますし、２０２０年には、展示室利用許可が「○○のような展示をしないこと」という条件付きで出されています。
作品の審査が事前に行われるなら、展示会が始まってから利用許可が中止になることも、「○○のような展示をしないこと」という条件が付くことも、ありませんね。
https://ameblo.jp/japan-first-aichi/entry-12620016599.html?frm=theme
これは、公共施設を利用する場合は、日本の憲法を基本とし、文化芸術基本法などの定めもあるので、公権力が内容の是非を事前に確認することは、基本的にはできないようになっているからです。
あいトリ調査報告書ではどのように検証されているか
愛知県で、あいトリ「表現の不自由展・その後」について検証委員会を立ち上げ問題を検証し、その報告書が出ています。
あいトリは、愛知県美術館主催ではなく、外部団体の主催であり、美術館は展示室を利用に供する立場。愛知県美術館は作品の選定について関与も責任もないものとしています。
まとめ
初めの論点に戻りますが、以上のことから、「大村知事が作品を審査（チェック）した結果、作品が芸術作品であると認めて、展示を許可した」という状況は、存在しないということになります。
また、公権力が事前に作品を過度にチェックするような行為は、憲法などの法令に触れ問題です。
この状況で、大村知事の展示についての責任をどう問えるというのでしょうか。あいトリに抗議する人は、大村知事に憲法違反・法令違反を強要しているのでしょうか。