あいちトリエンナーレ 芸術監督が選ばれたプロセスとその理由
あいちトリエンナーレ2019は、芸術監督(ディレクター)を津田大介氏が務めました。
津田氏が選ばれたプロセスと理由についてご紹介します。
芸術監督とは
あいちトリエンナーレのような大きな芸術祭の場合、「芸術監督」(プロデューサー兼ディレクター)を選任します。
芸術監督は、スタッフ(主にキュレーター;学芸員・展示企画者の意)と打合せし、あらかじめ決まったテーマに沿った作品や展示内容を決めていきます。
日本、海外とも、他の芸術祭も同じような体制をとります。
あいちトリエンナーレでは記事に津田氏選出の経緯と理由が書かれています。
津田監督はこうして決まった
・芸術監督選考委員会2回を経て、芸術監督を推薦
平成29年 5月 1日 第1回芸術監督選考委員会
同 6月 4日 第2回芸術監督選考委員会
・芸術監督選考委員(7名)
建 畠 晢 (委員長) 多摩美術大学学長 第1回 芸術監督
五十嵐 太郎 東北大学大学院教授 第2回 芸術監督
港 千 尋 多摩美術大学教授 第3回 芸術監督
加須屋 明子 京都市立芸術大学教授
中井 康之 国立国際美術館学芸課長
藤 川 哲 山口大学教授
水野 みか子 名古屋市立大学教授
・芸術監督推薦理由
○津田氏は、日々の取材を通じて、社会問題に関する情報を発信し続けており、世界が大きく変動する時代において、社会情勢を踏まえた、明確なコンセプトを打ち出すことができる、新しいタイプの芸術監督像を期待できる。
○津田氏は、現代という時代を捉えており、テーマ性の高いコンセプトを打ち出し、エッジの効いたワクワク感のあるものを創り上げ、それを国内外にアピールすることができる。
○津田氏は、バランス感覚に優れ、また、情報を整理する能力にも長けていることから、いろいろなアイデアや意見を取り込んで、トリエンナーレを創り上げることができる。(あいちトリエンナーレ2019の芸術監督が決定しました)
・あいちトリエンナーレ実行委員会運営会議で最終的に選任
平成29年7月18日あいちトリエンナーレ実行委員会運営会議にて、推薦を受けて、多数決にて芸術監督を決定しています。
・出席者・賛同者
注目すべきは、名古屋市長の代理出席者も、票を投じているということです。議事録によれば意見等もなかったということですね。
津田氏本人はビックリ
この度、芸術監督に就任させていただくことになりました。依頼をいただいた時には思わず二度見しましたが、物事の本質や、その多様な見方を他者に伝えるという意味で、アートとジャーナリズムは共通する部分があると思い、お引き受けすることにいたしました。
文化的不寛容の波が世界を覆い尽くそうとしているいまだからこそ、アートやジャーナリズムの力が問われ、求められています。時代を切り取り、境界を超えて既知と未知をつなぐプログラムを、様々な人の力を借りながら全力で考えていきたいと思います。
表現の不自由展 展示中止後のお詫びコメント
その後「表現の不自由展・その後」に対する脅迫が激化し、開始後3日で展示中止になりました。
津田氏はこのことを、自身のブログで謝罪しています。
トリエンナーレにおいて何より尊重されるべきである作家の意思を最終確認することなく、「表現の不自由・その後」展の展示中止を決定したことの責任は重く受け止めています。どんな批判であっても甘んじて受け入れようとも思っています。
対談動画について謝罪も
津田氏に批判が向いた、津田氏と東氏との対談動画について、津田氏は下記のように謝罪しています。
「今年4月に行われた企画アドバイザーとの対談動画における僕の発言で気分を害された人に、深くお詫びいたします。トップとして、ふさわしくない発言でした」
あいちトリエンナーレの評価は
津田大介氏を芸術監督としたあいちトリエンナーレ2019は騒動もありましたがおおむね好評でした。
あいちトリエンナーレ2019開催報告書にて、来場者のアンケート結果や収支結果などを見ることができます。
トリエンナーレ全体のアンケート結果は総じて「よかった」
72.4%の方が「大変良かった」「良かった」と答えています。
「表現の不自由展」を含む国際現代美術展のアンケート結果も「よかった」
75.2%の方が「大変良かった」または「良かった」と答えています。
イベントとしては成功
あいちトリエンナーレ2019は、過去3回と比べ最高の来場者数を記録し、入場料収入も想定より多かったようです。
総じて、イベントとして成功していると言えるのではないでしょうか。