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蜷川さんのポラロイドで思い出した!

やっぱり「チェキ」が面白い!

 先日、葛西臨海公園駅に新しくできたばかりの商業施設の一角で、蜷川実花さんとのコラボ企画の一環として作品を並べ「ポラロイドカメラ」販売している期間限定ショップを見つけた。同じ木村伊兵衛写真賞をいただいた蜷川さんが私の地元に進出したきたのかとビックリしたが、「臨海」とは関係のないポラロイド作品のミニ個展だった。

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 ポラロイドカメラ自体は、最近「北村カメラ」などでよく見ていたが、かつての「ポラロイド社」ではなく、オランダの「Polaroid Originals」が譲り受けた工場でフイルムを作り、新たなカメラも作っているようだ。そのリスペクトの心が素敵だ。しっかりしたカタログもあって、ページをめくるとやっぱり欲しくなる。ただし、葛西臨海公園の新しいショップは確かに若い人々の注目を集めるかもしないが、みんなスマホがメインだろうし、そうそう購入してくれるとは思えない。と思っていたら、ポラロイドビンテージの旧カメラとは別に新たなOneStep2カメラ( 19800円)というのも発売されていた。これはスマホのアプリとカメラを連動させたもので、なかなか遊び心がある。さらに「Poraloid Lab」というスマホを「複写」してポラロイド出力という楽しい機器もある。ポラロイド創立80周年という時間軸に照らすとなかなかユニークな復活ではないだろうか。少なくとも楽しい気分にさせてくれる「カメラ」であることは間違いない。ただし、フイルムがもっと安いと良いのだが。

さて、そこで富士フイルムの「チェキ」。

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 ポラロイドフイルムの1/3くらいの価格で、撮りたいときに近所のスーパーでも手に入るチェキのフイルムはありがたい。インスタントカメラとしてはポラロイドの歴史にはかなわないが、それでも1998年生まれだから頑張っている。富士フイルムの「チェキの歴史」を見ると、なんとなくテレビの戦隊モノ、仮面ライダーシリーズを彷彿とするような華々しいラインナップで楽しい。

 私もここ数年で2台のチェキを保有することになった。あまり外出時に首からフラ下げて得意になる歳でもないので、控えめに使っているが、撮るたびにワクワクすることに変わりはない。先日、7歳の孫にチェキを貸して撮らせたらやはり面白がっていた。すぐに写真を手にすることの面白さはインスタントカメラに共通なのだが、チェキが偉いのはそのオリジナルのサイズ感にある。

 「カードサイズ」。これは写真が発明され少し経った当時、1860年代の「名刺写真」のように所有することの喜びにつながるサイズともいえる。家族、恋人、友人、思い出を手に取り、所有することで愛しさを表す。時空を越えた「100万人のための肖像画」になりうるものだと思う。事実、チェキは様々な場で手から手に渡りコミュニケーションに貢献しているはずだ。(昔、はじめて入った「メイド喫茶」で300円のチェキ撮影を勧められたことを思い出した。)

しかし、ちょっと残念なのはあまり本格的な作家の活動として「作品化」されていない。これは「チェキ」という商品名がちょっと軽いからかもしれない。なにがしかのネーミングによっては、さらなる展開も生まれるかもしれないと私は密かに思っている。20数年ほど前の感熱式プリンター内臓カメラ「 ダ・ビンチ」 (キング事務)ではないが。

 さて、長くなってしまったので、そろそろ本命の「作品」をご覧いただこう。

  一昨年夏に開催したグループ展「HEISEI-TOKYO Snap Shot Love」(富士フイルムスクエア)の際にモノクロ作品とは別に展示したもの。撮る前も、撮る時も、撮った後も、選ぶ時も、出力するのも、展示するのも、自分で鑑賞するのも、全部面白く楽しかった。蜷川さんのポラロイドで、再び、チェキの楽しさを思い出してしまった ! コロナが落ち着いたら、再び積極的に撮ってみようか!


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大西みつぐ / 写真家
古くから様々な読者に支持されてきた「アサヒカメラ」も2020年休刊となり、カメラ(機材)はともかくとして、写真にまつわる話を書ける媒体が少なくなっています。写真は面白いですし、いいものです。撮る側として、あるいは見る側にもまわり、写真を考えていきたいと思っています。