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梯久美子著『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』を読みました
タイトルそのままですが、梯久美子さん著『サガレン』を先日読みました。
梯久美子さんと言えば、以前記事にした『散るぞ悲しき』の著者でもあります。
『散るぞ悲しき』を読了後、Amazonを見ていたとき、同作品の関連商品として梯久美子さんの作品がおすすめに表示されており、その中の一冊が『サガレン』でした。
『サガレン』は、梯さんがサハリンを旅した際の紀行作品とのこと。
元々、宮脇俊三さんやたかのてるこさんなどの紀行作品を好んで読んできたことと、昨今の国際情勢により今や行きづらくなってしまったサハリン(樺太)の紀行作品ということもあり、興味を抱いて購入しました。
『サガレン』の構成と感想
『サガレン』は2部構成になっています。
第1部は、梯さんが、かつて林芙美子が旅した足跡を辿りつつ寝台列車でサハリンを北上し、日本統治時代の面影や廃線跡を巡る内容。
ノンフィクションの作家さんらしい徹底的な調査に基づいた内容となっており、乗車された『サハリン号』の雰囲気や、日本統治時代の様子が丁寧に描写されており、目に浮かびます。
第2部は、宮沢賢治が妹トシの死をきっかけに”サガレン”(樺太の別の呼び名)を旅した足跡を辿る内容。
賢治が残した詩を紐解きながらサハリンを旅する様子が記されており、やがてそこにロシアの文豪チェーホフも加わり、読み進めていくうちに梯さんとともにサハリンを旅して賢治の足跡を辿っているような気分になります。
正直、宮沢賢治の作品はほとんど読んだことがありませんでした。
というか、実は本を購入したことはあるものの、なかなか読み進められず、手放してしまったことがあります。
この『サガレン』を機に、もう一度宮沢賢治の作品を手にしたいと思い直しました。
気になる次回作
サハリン(樺太)は、昨年読んだ川越宗一さん著『熱源』の舞台にもなっており、気になっている場所でした。
※『熱源』については、以下のnoteに感想を記しています。
『サガレン』の文庫版のあとがきとして、(樺太の紀行作品の)次回構想について触れられていましたが、その内容が、まさに『熱源』のもう一人の主人公として登場しているブロニスワフ・ピウスツキの足跡を辿るというものでした。
しかし、構想を練られた直後にコロナウイルスが蔓延し、五類に移行すると今度はロシアのウクライナ侵攻があり、サハリンへ取材に行けない状況とのこと。
個人的にも、梯さんのブロニスワフ・ピウスツキの紀行作品を読んでみたいので、いつの日か完成されることを願いつつ、『サガレン』を読んだ感想noteを締めくくりたいと思います。
とにかく、紀行作品自体を読むのも久しぶりでしたので、内容含めとても満足度が高い作品でした。
NHK短歌を機に読み始めた梯作品、ほかにも多々出版されていますので、気になる本があれば今後も読んでみようと思います。
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