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浮世絵の「う」の字も知らないおじさんによる『鳥文斎栄之展』観賞記

千葉市美術館で開催されている『鳥文斎栄之展』を観に行きました。

「ちょうぶんさい・えいし」と読むそうです。
江戸時代(第10代将軍・徳川家治の時代)に活躍した浮世絵師です。

正直、浮世絵はおろか日本画についての知識はまったくなく、浮世絵と聞かれれば「北斎とか歌麿とか?」というレベルです。

そんな教養の浅いおじさんが浮世絵師・鳥文斎栄之の作品を集めた展覧会を観に行った話です。


サムライから浮世絵師になった?~展覧会を知ったきっかけ

この展覧会『鳥文斎栄之展』、正式には『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』という展覧会名です。

この展覧会を知ったのは、たしか新聞に折り込まれた地域の広報誌だったと思います。

広報誌をペラペラとめくっていたとき、展覧会名の「サムライ、浮世絵師になる!」というフレーズが目に留まりました。

ちなみに個人的な話を少々すると、絵画鑑賞自体は大好きで、数年前までは洋画家の展覧会へ足を運んだり、昔パリへ旅行したときは美術館巡りなんかもしていました。

そう、これまでは洋画家の作品ばかり観てきました。
(重ねてちなんじゃうと、好きな画家はアンリ・ルソーです)

ということで、絵画鑑賞は好きなので、こういった地域広報誌の展覧会イベント情報はこまめにチェックしていました。

そして出会った『鳥文斎栄之展』のお知らせです。

「サムライから浮世絵師って…リスキリングにもほどがある」

完全にこの強烈なキャッチコピーにやられた僕は、すぐにスマホで展覧会のページへアクセスし、ブックマークしました。

参考までに、以下に展覧会ページのリンクを貼っておきます。

浮世絵を知らないおじさんが『鳥文斎栄之展』を観た感想

海を渡った鳥文斎栄之の作品

鳥文斎栄之は、喜多川歌麿と同時代に活躍されていた浮世絵師です。

浮世絵を知らない僕でも「喜多川歌麿」の名前に聞き覚えがありますが、「鳥文斎栄之」という名前は初めて知りました。

どうやら、彼の作品(浮世絵)は海外の美術館やら収集家に爆買いされて海を渡ってしまい、現代の我々の目に触れる機会が少なかったようです。

それが今回、ボストン美術館や大英博物館、日本各地の美術館などから栄之の作品を集めて、『鳥文斎栄之展』として彼の作品が一堂に会したとのこと。

「モネ」や「ルノワール」などひとりの画家に焦点を当てた展覧会では、世界各地の美術館から作品を集めて展示するということは当たり前のことかもしれません。

しかし、今回の『鳥文斎栄之展』のように、上記のような経緯があった上での里帰り展となると、「サムライから浮世絵師に」というキャッチコピー以上に感慨一入なのは僕だけでしょうか。

そんな思いを抱きつつ、展覧会を観てきました。

いざ展覧会へ~浮世絵って奥深い!

展覧会では、浮世絵だけでなく肉筆画も展示されていました。

浮世絵は吉原遊郭の花魁の作品が中心でしたが、展覧会公式サイトにも掲載されているような船遊びの風景や遊郭での情景など、細かく描き込まれた作品も多数展示。

浮世絵をまじまじと観るのは初めてでしたが、まず絵(線)が繊細なことと、色彩の豊かさやグラデーションの美しさに驚きました。

人物の描写もとても生き生きとしており、人物が今にも動き出したり語りだしそうな雰囲気さえありました。

浮世絵は「版画」で、完全に2Dの作品です。
油絵のような絵の具の立体感もなく、絵も線で表現されたマンガ的な印象を受けますが、なぜかしら往時の生活や風俗が3Dで目に飛び込んでくる感じがします。

これが、絵師や彫師、摺師などプロフェッショナルたちの分業によって生み出された「浮世絵」の魅力なのでしょうか。

栄之の肉筆画では、特に『三福神吉原通い図巻』が興味深かったです。

三福神が吉原に通う様子が描かれた(空想の)作品ですが、江戸時代にもこのようなエンターテインメント作品が生み出されていたことに驚きを隠せません。

50年間まともに見ることもなかった浮世絵の世界に魅了された一日となりました。

おわりに

『鳥文斎栄之展』は、千葉県千葉市にある「千葉市美術館」で2024年3月3日(日)まで開催されています。

場所は、京成線千葉中央駅から徒歩10分程の場所にあります。
JR線の千葉駅からは、歩くと20分くらいかかるかもしれません。

詳しいアクセスは、上部に掲載した展覧会(千葉市美術館)のホームページをご参照いただければと幸いです。

僕のように浮世絵に明るくなくとも「絵を見るのが好き」レベルであれば楽しめる展覧会です。

あと半月ほどの開催となってしまいましたが、ご興味のある方はお早めにどうぞ。

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