クリエータ紹介(5)新矢 将宗さん、一瀬 輝日さん
このnoteでは、福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称・福岡未踏)のプロジェクト採択者について、プロジェクトの詳細や福岡未踏にかける思いをご紹介します。
今回は、2023年度Solveクリエータ片桐凛太郎さんのインタビューを基に、Solveコースの新矢将宗さん、一瀬輝日さんのプロジェクトをお伝えします。
プロフィール
プロジェクト名:Co-manage:多様なニーズに応える施設予約システムの提案とその実装
支援プランと期間:Solve(24年9月〜25年1月)
クリエータ:新矢 将宗(九州工業大学 情報工学部 3年)、一瀬 輝日(九州工業大学 情報工学部 2年)
Q:まずは自己紹介をお願いします。
一瀬:改めまして、九州工業大学情報工学部情報通信工学科2年の一瀬輝日と申します。普段はモバイルアプリ開発を中心にアプリ開発であったり、3Dプリンターを使ったものづくりをしています。どうぞよろしくお願いいたします。
新矢:九州工業大学情報工学部3年の新矢将宗と申します。普段はWebアプリケーションの開発をメインに、CTFやオフェンシブセキュリティなどサイバーセキュリティ関連の活動をしています。よろしくお願いします。
Q:では、今回のプロジェクトについて、改めて概要を教えていただけますか?
一瀬:福岡市には、FGN(Fukuoka Growth Next)と呼ばれる、福岡市と民間企業の連携により、起業を目指す方たちのサポートを行う施設があります。FGNには、オフィス、コワーキングスペース、イベントスペースの3つがあるのですが、これらの利用に関する既存の課題として、
● 会員の種類が多く、それに伴った利用条件も様々で、それらの会員管理の方法が多数存在すること。
● 施設予約の手続きが煩雑で予約可否が分かりづらく、入退室管理ができていない。
● 利用状況のデータ収集や可視化をしたいが、まだできていない。
これらの課題を解決するために、既存の複数サービスを用いた複雑な管理から、会員や施設の一括管理・手軽な受付・利用状況の可視化ができる総合的なコワーキングスペース管理システムを目指して開発をしています。
Q:お二人はどのようなきっかけで今回のプロジェクトに応募されたのですか?
新矢:福岡未踏というプログラム自体は以前から知っていて、今年もSolveの課題一覧が出たということで、課題一覧を見ていました。僕は基本的にバックエンドとか設計アーキテクチャ周りをやっているので、その観点で探して、面白そうと感じたのが今回の課題だったという感じですね。ただ、自分がフロントエンドまでやる余裕が無かったので、1人では厳しいなと思っていたところ、一瀬君もこのプロジェクトに興味があるということを知って、「じゃあ、フロントエンドとバックエンドで役割分担をして申し込もう」という流れになったと記憶してるんですが、一瀬君がそもそもなんでこの課題に興味を持ったのかというのはあまり聞いてないですね。
一瀬:私は高校時代からアプリ開発をしていましたが、大学に入ってからは、アプリ開発に限らず、バックエンドであったり、インフラ技術など、色々な技術自体への興味が広がっていきました。ただ、それらの技術を用いてアウトプットする機会が自分には足りてないなという自覚が少しありました。福岡未踏Solveのプロジェクトを見ていて、今回のプロジェクト自体に興味を持ったというのもあるのですが、アウトプットにちょうどいい機会だなと思って、参加しようとなりました。もう一点挙げるとしたら、高校生の時に、エンジニアカフェというコワーキングスペースのような施設を利用する機会があって、その時に、そこの運営システムを開発されている方とお話しする機会があり、コワーキングスペースの運営ということに対して少し興味を持っていたこともあり、今回のプロジェクトを選択したかなということですね。
Q:お二方とも福岡未踏以前の開発経験が全くなかったというわけではなく、ある程度知識があるところからのスタートだったと思うのですが、実際にプロジェクトを進める中で、プロジェクト前とのギャップはあったりしましたか?
一瀬:自分はフロントエンドを担当しているのですが、フロントエンド側からすると、例えばコワーキングスペースの予約をする機能に関してはすぐに作成できたのですが、利用状況の可視化という部分では、どういったデータを表示し、強調するのかであったり、管理者側としてどのようなデータが欲しいのか考えるのが少し大変だったかなというふうに思います。
片桐:フロントエンド側は、サービスを利用する人が目にする部分なので、何を見せるかという使用者側の気持ちに立つ必要があるっていうのは難しいですね。
新矢:福岡未踏Solveの特徴として、要件が与えられてそれを満たす実装をするというところがあるので、同じ福岡未踏のProやJumpやIPA未踏のような未踏性があるかと言われると、そういったわけではない。まあ、多少は入れる必要があるんですけど、基本的にはそこがコアではないので、要件が与えられてそれをうまく設計して、満たすように落とし込むというところは、何回やっても上手くいかないところもあるなと思いました。
Q:「こういうの入れてみたらどうですか」とか、独自性をさくらインターネットさんに提案することはありましたか?
新矢:そういったこともありますし、フィードバックなどで例えば「こういう機能を取り入れてこんなのを実装してみたらどうか」というのも頂くことはあるんですが、原則として、今まで使ってきたサービスの置き換えというところがあるので、今までにあった部分を大きくガラッと変えるというのは、さくらインターネットさん側としても望んでいないという話でした。なので、未踏性を持っているプロダクトだと主張できるかつ、SolveであったりFGNやさくらインターネットさん側の要件を満たすいい塩梅に落とし込むというところはなかなか面白かったですけど、多少は苦労したっていう感じですね。
Q:企業の方と一緒にプロジェクトを進める中で、これまでやってきたチーム開発とは違った部分ってありますか?
一瀬:自分が今まで経験してきたチーム開発っていうのが、フロントエンド・バックエンド・インフラみたいな感じで分かれてはいるものの、一人がその責任を負うという形ではなくて、みんなで分散していたのですが、今回はフロントエンド部分は自分が大きな責任を持って実装を進めているので、そこが違いましたね。
新矢:僕自身は、これまでのチーム開発で短期的なものや長期的なもの、企業の方が絡んだものといろいろやったことがあったので、そこまでギャップみたいなものは無かったんですけど、ただただ進捗が遅くてごめんなさいという感じですね、今(笑)。
Q:1月末までのゴールは、作ったプロダクトをFGNに導入するところまでですか?それとも実証実験までですか?
一瀬:そうですね。導入まではちょっと間に合うか分からないので、まずは実証実験して改善してというところまでが1月までの流れという話になっています。そこでシステムが動くことを目指してやる予定ですね。
Q:福岡未踏が始まってから今までの期間で、自分が成長したなと思うところや、新たな知見はありましたか?
一瀬:今回のプロジェクトはすぐに利用してもらえるような状況にある身近なプロダクトだったので、利用者目線に立ってプロダクトを作るというのが自分にとって初めての経験だったので、その視点を得られたのは1番福岡未踏で学んだことかなというふうな気がしています。
新矢:僕は基本的に今まで何かしら開発、つまりものづくりをする時って、ゼロから新しく作るか、あるいは既存のプロダクトに機能を追加していったりメンテナンスをしたりすることがほとんどだったので、先ほども話したように、いわゆるリプレイスという感じなんです。なので、そういう意味では制約がある状態で設計・開発を行うのは新鮮な感覚だったなと思います。
Q:今回の福岡未踏で他のチームとの交流などもあったのかなと思うのですが、いかがでしたか?
一瀬:自分は去年「データエンジニアカタパルト」というWebアプリケーション作成などを学ぶ講座に参加したのですが、そこで知り合った人たちがSolveに参加していたので、イベントの中でプロダクトを見たり、プロジェクトの進み具合に関して話したりしました。
Q:福岡未踏が終わった後、何かやりたいと思っていることはありますか?
新矢:来年度のIPA未踏に申し込んでいるので、そこの選考を通過したら、そこでもっとすごいものを作ろうって感じですし、落ちたとしても何か作ってる気はするので、やっぱり自分が面白いと思ったものを作れたらなと思います。
一瀬:今回のプロジェクトで作成したプロダクトをリリースまで持って行って継続的に開発していくことができたらいいかなということを考えています。そして、今度は福岡未踏のProに応募することを考えているので、それに向けて動いていく予定です。
Q:最後の質問になります。お二人はこのまま行くと将来的にはエンジニアを目指すことになるのかなと勝手に思っているのですが、どういうエンジニアになりたいとかありますか?
一瀬:今後どのような分野で働きたいっていうのはまだちょっと定まってないので何とも言えないですが、すごく抽象的で申し訳ないんですけど、他のエンジニアを引っ張っていけるようなエンジニアになれたらいいかなと思っています。
新矢:エンジニアになるんだろうとは思っているんですが、開発をやるのかセキュリティをやるのか、あるいはもうちょっと上流工程をやるのかみたいなところもまだ考えられていなくて、半年・一年経つだけでもまたいろいろ環境とかも変わっていると思うので、なんというかまあ、就職を決めるタイミングで自分がその時やりたいと思ったことをやっているんじゃないかと思っています。なんというか、流れに任せていこうという感じですね。
福岡未踏とは
福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称、福岡未踏)とは、福岡県在住の若手クリエータを発掘・育成し、クリエータの「何かを作るための第一歩」を支援し、また、IPA未踏と同等の支援に加え、複数のIPA未踏経験者からなるPM・メンター陣にて、プレ人材向けの支援を行います。
(文:片桐 凛太郎)