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【短編小説】ようこそ、山上温泉へ【ショートショート】
あらすじ
廃墟街となった観光地、山上温泉。廃墟巡りが趣味の主人公が一軒だけ営業している居酒屋を見つけたが、店内で不可思議なことが起こる。
山上インターチェンジの出口でハンドルを左に切った。国道291号線へ進む。車道は利根川沿いに南北へ真っ直ぐ伸び、東西は青々とした木々が延々と続いている。土曜日の15時だというのに、高速道路を走っている間は、私以外の車をほとんど見かけなかった。正確に言えば、車を
アスペ先輩、仕事辞めるってよ #4話
第4話 先輩は飛び石のような会話が好き
※この小説は実話です。
入社して1ヶ月ほど経った。まだまだ覚えることは多い。ただし人間関係は少しずつできてきて、たいていの人とは気兼ねなくおしゃべりができるようになった。カラサワ先輩を除いては…。
僕は技術営業なので、お客さんからの相談を聞いて「その仕様はできる(できない)」とか「できるけど技術的にこんな制限がある」といったことを回答していく。お客さん
アスペ先輩、仕事辞めるってよ #3話
第3話 ミチコたん
※この小説は実話です
カラサワ先輩と飲み会の約束をしてしまい、僕はとても後悔していた。会社の飲み会がそもそも好きじゃないのに、強情で変わった先輩との飲み会だなんて考えただけでも憂鬱になる。しかし僕はまだ新入社員だ。愛想を振りまくことも大事。そう自分に言い聞かせて、金曜日を覚悟した。
今日は火曜日だ。金曜日まで3日ある。飲み会のことは忘れて早く仕事を覚えようーー。
そんなこと
アスペ先輩、仕事辞めるってよ#2話
第2話 先輩は飲み会が好き
これまでのあらすじ
僕は26歳の営業マン。新卒で入社した商社はブラック企業だったけどなんとか小さなメーカーに転職できた。初出勤の日、全社員に向けて挨拶をしたとき、1人の先輩が素振りをしていた。それがカラサワ先輩との出会いだった。
(この小説は実話です)
新しい会社に入社して2週間が経った。とてもニッチで特殊な産業機械の部品を扱うメーカーだけあって、覚えることはとても
アスペ先輩、仕事辞めるってよ #1話
第一話 カラサワ先輩との出会い
2014年、僕は転職に成功した。新卒で入社した会社が酷いブラック企業で、心身が持たず1年も経たないうちに辞めてしまった。しかし運良く退職後3ヶ月で新しい職を見つけることができた。
ブラック企業はコピー機の販売を行う営業会社だった。いわゆる商社だ。メーカーからコピー機を高値で買って、お客に高額なリースで売りつける。働いていて心苦しかった。というのも、コピー機やリース