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【ミトシャのアートハント】 vol.5 特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―

 三兎舎のミトシャです! 森アーツセンターギャラリーで開催中の『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』に行ってきました🐇🐇🐇 アリスな好きな方は、もちろん情報をチェックしていると思いますが、より覗き込みたくなるように展示内容をレビューしますね。Drink me!

うさぎといっしょに穴の中へ

特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―

特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―
会期:2022年7月16日(土)~10月10日(月・祝)※会期中無休
会場:森アーツセンターギャラリー[六本木ヒルズ森タワー52F]

特別展アリス 開催概要より

第1章 アリスの誕生

 原作アリスのファンの方にとっては、このセクションが一番の見どころになるかもしれません。ジョン・テニエルによる原画や習作、ルイス・キャロル自身の手によるアリスの挿画、また、写真も多く展示されていて、ルイス・キャロルが撮影したアリス・リドゥルも観ることができます。
『鏡の国のアリス』の手書きのプロットも展示されています。鏡の国は、チェスのことがよく分かっていたら、もっと楽しめるはずだと、長らく思っているのですが、こういった原稿を見ると、ますますその思いを強くします。教養と言うと、なんだかとっつきにくくなりますが、たくさんの物事を知ることは、やっぱりたくさんのことを豊かに感じることができるようになります。最近の言い方で言えば、解像度があがるというやつですね。『不思議の国のアリス』も読んでいるようでいて、実は読み込めていないところがたくさんあるだろうことも、思わされました。また、しっかり精読の機会を設けたいと思っています。

 この展覧会はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で展示されたものの巡回展ですが、おそらく日本独自の箇所があります。きちんとツボを押さえたセレクションです。
 金子國義さん、酒井駒子さん、ヒグチユウコさんの作品が展示されています。それがとても嬉しかったです。作品単体での写真撮影はできなかったので、上手に撮影できず、お見せできないのですが、見る価値がとてもあります。金子さんの絵は、数点、あのタッチを大きく見ることができるし、酒井さんの絵も、1点だけだけれど、とても素敵。また、手元に持っているユリイカ『150年目の「不思議のアリス」』の表紙になっているヒグチユウコさんの原画が観られたのもよかった。ヒグチさんの展覧会の時にも目にした気がするけれど(今、図録が手元にないので未確認)、あらためて嬉しい出会いでした。

ユリイカ 150年目の「不思議のアリス」


第2章 映画になったアリス

 映画になったアリスと言って、思い浮かぶのはどの作品でしょう。ディズニーのアニメーション、もしくはティム・バートンの作品でしょうか。わたしはもちろん、ヤン・シュバンクマイエルの『アリス』! 公開時のポスターのもとに小さなテレビで流されていましたが、やっぱり、このアリスは秀逸です。実は、現在、アマゾンプライムで視聴することができます。観て損に思うことは決してないので、ぜひぜひ!

シュバンクマイエルのアリス

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07ZLLNFSR/ref=atv_dp_share_cu_r

 わたしは、きちんとディズニーのものを観たことがないので、今度観てみようと思っています。

第3章 新たなアリス像

 こちらのセクションでは、さまざまなアーティストが独自の解釈でアリスを描き起こしています。ここにシュバンクマイエルの版画絵本があってもよかったと思いますが、見当たりませんでした。目を引くのはサルバドール・ダリの挿画でしょうか。ダリらしい作品だけれど、背景が白いのがなんとなく目新しい感じがしました。
 わたしは、詩もよく読むのだけれど、読む本読む本に現れるのが、シュルレアリスト、アンドレ・ブルトンです。やはりここにもブルトンは出現しました。アリスの物語とシュールレアリズムは、とっても相性がよいので、当然のことのように思います。でもね、アリスの世界はアリスの世界だよ! と言いたくなる三つ首兎のわたしです。シュールレアリズムとへんてこりんな世界は、似て非なる世界のように思うのです。わたしはへんてこりんな世界に生きたいなあ。なんというかユーモアの温度が違う感じなのです。ミトシャはね、シュールというよりへんてこりん! あ、自分で言っちゃった。

 マッドティーパーティーのインスタレーションもここのセクションだったでしょうか。お茶会に参加するのも楽しいです。あとの方のセクションではチェシャ猫の空間もありました。

第4章 舞台になったアリス

『Run,Alice.Run』(図録P.153)の写真がとても印象に残っています。たぶん、このセクションにあったと思うのだけれど、赤いドレスのアリスが可愛らしいうえにかっこいい! こういうアリスもいいよねえ。わたしも新たなアリス像を描いてみたいなと思わされます。
 展示されていた衣装も素敵だったけれど、もうひと枠、何か超えられるんじゃないか、と思ったのも正直な気持ちです。とはいえ、実際に躍動する演者たちをみたら、印象は変わるのかもしれません。アリスの舞台も楽しそう!
 演劇のポスターもかっこよくて、本当に愛されている物語なのだな、と実感しました。

第5章 アリスになる

 このセクションでは、さまざまの切り口のアリスを観ることができます。ファッション、アート、科学、政治etc……。あまりジェンダー論で語られることは少ないと思うけれど、きっと男の子のアリスもトランスジェンダーのアリスもいるはずです。Questioningな主人公が活躍するアリスがあってもいいと思うのです。確かにそういう物語があってもいい。とても重要な気づきを得たような気がします。Qアリス、書いてみることができるのならチャレンジしてみたい。
 わたしミトシャは導く役の兎じゃなくて、冒険するタイプの兎なので、何かできるかもしれないよ。そうだよ! 兎が主人公のアリスだってあってもいいよね。

図録:アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―

『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』の図録は

英国・ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で開催されたAlice:Curiouser and Curiouser 展に合わせて刊行された書籍の日本語翻訳版の公式書籍です。

公式書籍

となっていて、日本の特別展示部分の内容は含まれていません。そして、図録というよりも、公式書籍と謳うように、違う側面を持っています。

 一番大きな注目点は、会場でも原画を観ることができるクリスチャーナ・S・ウィリアムズの作品が、多数収録されているところです。というか、前半はクリスチャーナ・S・ウィリアムズの画集と言ってよいほどです。そして、それはとっても嬉しいことです。その作品がどれも素敵なものだからです! コラージュ作品になると思うのですが、とってもセンスがいい。色も美しいし、この作品を見るためだけに図録を引き出すこともありそうです。
 こちらは7/28から一般書籍としても販売されるようなので、どうしても会場に足を運べない方は、注文するのもよいかもしれません。もちろん、会場の展示を踏まえたうえでページを開くことをミトシャはおすすめします!

図録:アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―


おわりに

 今回も駆け足でお送りしたミトシャのアートハント。いかがでしたでしょうか? 今回のアリス展は、まだはじまったばかりなので、ぜひ、都合のつく時に足を運んでいただきたいと思います。展示替えも何度か行われるようですから、興味のある人は、その時期も見極めてみた方がよいでしょう。グッズもなかなかかわいらしいものがそろっていましたよ。

 アリス展は、10/10まで開催中です。ぜひ足を運んでくださいね!

特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―

 ではでは、また次の機会に! ミトシャでした。

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