三兎舎

三兎舎のミトシャです! こちらのnoteでは『ミトシャの植物採集」という物語を連載したり、『ミトシャのアートハント』という美術展レビューを掲載します。『ミトシャのスイーツハント』まとめ記事もありますよ〜。

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マガジン

  • ミトシャの植物採集

    ミトシャの植物採集(プラントハント)は、三つ首兎ミトシャは小夜色の世界で植物たちを追いかけています。ミトシャは、いったいどんな植物に出会うのでしょうか。みなさんもミトシャといっしょに冒険に旅立ちましょう!

  • ミトシャのアートハント

    三つ首兎のミトシャが観覧した、いろんな展覧会の様子をお届けします!

  • ミトシャのスイーツハント まとめ!

    ミトシャが食べた甘いものを月ごとにまとめてお届けします。

最近の記事

【ミトシャの植物採集】 第12話 エデンガーデン

 作:石川葉 絵:茅野カヤ  小夜色の世界にも春がやってきています。植物たちも春の装いをして、仄暗い昼間の世界にあっても華やぎが見られます。  その春の気配の中、小走りに草原を駆ける姿がありました。三つ首兎のミトシャです。カメラを提げて、どうやら急いでいるようです。 「もう、ラトのせいで遅刻しちゃう!」 「神様に会うのだから、ちゃんと髪型をセットしなくちゃ」 「走っているから髪型なんてボサボサだよ!」  ミトシャはそのまま駆け足で川のほとりまでやってきました。  そこには炎

    • 【ミトシャの植物採集】 第11話 イバラ

       作:石川葉 絵:茅野カヤ  エデンガーデンで何不自由なく過ごしていた時を思い出して、ミトシャはひとつため息をつきました。  春が近づき、エデンの門が開かれる日はもうまもなくです。  ため息をついたミトシャの鼻先をひとひらの蝶々がかすめて飛んでゆきました。 (おいしい木の実をあふれるほど食べていたっけ)  懐かしくなり、追い出された時のように、おいおいと泣き出したい気分になりました。  そこをぐっと我慢します。 「だってわたしのせいだもの」  ミトシャはひとりつぶやきます

      • 【ミトシャの植物採集】 第10話 ローズマリー

        作:石川葉 絵:茅野カヤ  ミトシャは冬の森を抜けて、雪の少ない荒野を旅していました。 「冬の姿はさびしいね」  お互いの頭をぎゅっとくっつけあって寒さをしのぎながら旅を続けます。  からっ風に吹きさらされながら歩いていると、遠くにこんもりと緑の生い茂っている所が見えてきました。 「行ってみよう」  さっそくミトシャはその方へ向かいます。近づいてくると、だんだん足元にも冬でも緑色の植物が広がってきます。その真ん中あたりに、緑の蔦におおわれたお屋敷が見えてきました。  門の

        • 【ミトシャの植物採集】 第9話 ヤドリギ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  みなさ〜ん! あけましておめでとうございます! なんでも日本では『うさぎどし』というものに当たるらしいではないですか。ミトシャの年だよ〜。また、たくさんの植物を紹介しますので、どうぞ、この一年もよろしくお願いします!  それでは、ミトシャの棲む小夜色の世界に戻りましょう。小夜色の世界も今は冬の真っ只中です。小夜色の世界の冬は長く暗く厳しいです。それでも植物たちが暮らしてゆけるのは、人のような姿になって過ごしたり、冬眠をするようになったからかもし

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        記事

          【ミトシャの植物採集】 第8話 ヒイラギ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  甘くかぐわしい香りがミトシャの鼻をくすぐりました。匂いに誘われてふらふらとミトシャは茂みの方へ歩いてゆきます。 「痛い!」  セト、ラト、レトのミトシャ三羽はいっせいに叫び声をあげました。  いったい、なにがあったのでしょう?  どうやら茂みを作っているとげとげの葉っぱで手を引っ掻いたようです。 「どうしたの?」  そのとげとげの葉っぱを体じゅうにまとった小さな植物があらわれました。 「おけがをしたの? あたし、おくすり取ってくるね」  そうい

          【ミトシャの植物採集】 第8話 ヒイラギ

          【ミトシャの植物採集】 第7話 トケイソウ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  今宵、小夜色の世界では「常夜の収穫祭」が行われています。昼夜まる一日をかけて一年の実りをお祝いする、大きなお祭りです。  小夜色の世界は太陽が薄暗いため、あまり植物が育たないような気がしますが、この世界の植物は立派な体を持ち動き回るので、実や種がぐんぐん育ちます。それで、みなさんが思うよりもたくさんの実りを収穫することができます。 「常夜の収穫祭」には、たくさんの植物が集まると聞いていたものですから、ミトシャももちろん参加しています。アネモネにも

          【ミトシャの植物採集】 第7話 トケイソウ

          【ミトシャの植物採集】 第6話 アネモネ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  ミトシャは色とりどりのドレスが風に吹かれているのを見ました。  小夜色の空の下でも、それは、とても色鮮やかに見えました。  ミトシャはドレスが提げられている方へ向かって歩いてゆきます。  風に吹かれるドレスの下では、これまた色とりどりの花の姿をした植物たちが、かしましくおしゃべりをしています。 「誰か来たよ〜」  そのうちのひとりが、大きな声をあげます。  花たちはいっせいにミトシャの方に向きました。  また別のひとりがミトシャを指差して言いま

          【ミトシャの植物採集】 第6話 アネモネ

          【ミトシャの植物採集】 第5話 コエンドロ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ 「はるばる、わたしをたずねてくださったの?」  そうミトシャに声をかけた植物は、なんだかとても不思議な匂いがします。清涼感のあるような、それでいて、どこか昆虫のような。  ミトシャは、その植物にうながされて椅子に腰掛けました。  ラトは、この匂いが嫌いだ、と思いました。  レトは、この匂いが苦手、と思いました。  セトは、この匂いがすうっとする香り、と思いました。 「なんのおもてなしもできないけれど、ゆっくりしていって」  不思議な匂いの植物はキッ

          【ミトシャの植物採集】 第5話 コエンドロ

          【ミトシャの植物採集】 第4話 アニス

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  お昼寝をしていたミトシャの鼻先をさわさわとくすぐるものがありました。 「くしゅん」  ミトシャはくしゃみをして目を覚ましました。  すると、すぐ横で体の線の細い植物が、びっくりして飛びあがりました。「びっくりしたあ」  ふりむいた植物がミトシャの顔をしげしげと見つめます。  ミトシャの鼻をくすぐった小さな一対の翼がぱたぱたとはためいています。 「こんにちは。うさぎさん。わたし、バレエの練習に夢中になっていて、あなたが眠っていたことに気がつかなかっ

          【ミトシャの植物採集】 第4話 アニス

          【ミトシャのアートハント】 vol.5 特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―

           三兎舎のミトシャです! 森アーツセンターギャラリーで開催中の『特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―』に行ってきました🐇🐇🐇 アリスな好きな方は、もちろん情報をチェックしていると思いますが、より覗き込みたくなるように展示内容をレビューしますね。Drink me! 特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―第1章 アリスの誕生  原作アリスのファンの方にとっては、このセクションが一番の見どころになるかもしれません。ジョン・テニエルによる原画や習作、ルイス・

          【ミトシャのアートハント】 vol.5 特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―

          【ミトシャの植物採集】 第3話 マンドラゴラ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  悲鳴のような叫び声を聞いた時、ミトシャはたちまち気絶してしまいました。  小夜色の世界に昼夜の区別は少ないのですが、それでも昼間にはおぼろな太陽が浮かんでいて、いくらか影はできますし、夜間にはうっすらと満ち欠けする月の姿も見えます。  今は、星々ばかりがまたたく、新月の夜です。 「う、う〜ん」  大きく伸びをしてミトシャは目覚めました。ひと晩といち日、ミトシャは眠っていたのでした。 「いったい、なにがおきたんだろう?」  ズキズキと痛む頭をおさ

          【ミトシャの植物採集】 第3話 マンドラゴラ

          【ミトシャの植物採集】 第2話 アザミ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  ミトシャは小夜色の空を見上げました。  厚い雲がむくらむくらとわきあがり、空には星のひとつも見当たりません(小夜色の世界では、いつでも空が暗いですから太陽がのぼっていても星がまたたくのです)。  その時、空に大きな光る矢印が閃きました。  それは、空を縦横に走る稲妻でした。  すぐにドドーンという大きな音が響き渡りました。近くに雷が落ちたようです。  そして、すごい勢いの雨まで降ってきました。  雨の合間をぬって、ドドーン、ドドーンとその轟音

          【ミトシャの植物採集】 第2話 アザミ

          【ミトシャの植物採集】 第1話 ウスベニアオイ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  植物採集を行っているミトシャは探検帽を三つの頭それぞれにかぶり、首からは立派なカメラをさげています。  植物採集とはいっても、相手は生きてその地に棲み着いた植物ですから、簡単に連れて帰ることはできません。それでミトシャは植物の元気な姿を写真に収め、エデンガーデンにいる神様に報告をするのです。  ミトシャの右首ラトが、くんくんと鼻をひくつかせます。 「いい匂いがするよ」  プラントハンターにとって鼻が利くというのは、とても大事な資質です。左首レト

          【ミトシャの植物採集】 第1話 ウスベニアオイ

          【ミトシャのスイーツハント】 4月のまとめ!

          ミトシャの食べた甘いものたち〜🐇🐇🐇 * 太陽の塔洋菓子店の「kuro」タイヨウノカンカン パッケージも、お菓子の様子も、もちろん味も! すべてが最高だったよ〜。yちゃん、ありがとう! * リゲラインのバニーニッキーチョコレート ぴょんぴょんぴょんぴょん、いっしょに跳ねるよ〜。 * 成城石井のスパイシーフルーツジュース 春だけど、まだ肌寒い朝のおめざはスパイス入りのフルーツジュース! * DOUNELのドラジェ 草原でイースターエッグハントをしていたら、おいし

          【ミトシャのスイーツハント】 4月のまとめ!

          【ミトシャのアートハント】 vol.4 上野リチ展

           三兎舎のミトシャです! 三菱一号館美術館で開催中の『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展』を観てきました! デザイナーの方はもちろん、デザインの世界を目指している方は、絶対に観た方がよい展示です。リチの思想とは反してしまうのかもしれませんが、作品を観て影響を受けて欲しいと思いました(そのことについては後ほど、詳しく記しますね)。それでは、展示カテゴリーに沿ってお届けします! 🐇🐇🐇 上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展プロローグ

          【ミトシャのアートハント】 vol.4 上野リチ展

          【ミトシャの植物採集】 プロローグ

          作:石川葉 絵:茅野カヤ  みなさん、植物採集者という職業はご存知ですか?  プラントハンターとも呼ばれています。  大航海時代にはじまった、世界中から植物を収集して研究するという国家的事業のために生まれた職業です。  現在もプラントハンターを名乗る人はいますが、本来の植物採集とはかけ離れている人も少なくありません。  そんな中、みなさんには、ほんとうの植物採集を黙々とこなしているひとり、というか三羽をご紹介します。  三つ首兎のミトシャです。 「こんにちは。ミトシャで

          【ミトシャの植物採集】 プロローグ