推し色がある人生は楽しいぞ
私はつい数年前まで推し色(おしいろ)がなかった。
趣味はたくさんあったし、好きな人、好きなキャラもたくさんあったが、よくよく考えるとそれらにイメージカラーがなかった。あったのかもしれないけど、「これがイメージカラーです!」と全面的に公式が押してくる様なことがなかった。
だけど、数年前、唐突に私に推し色ができた。
きっかけはジャニーズWESTのファンになった事。好きだな、じゃなくて、推していきたい!と思った事だ。
WESTの誰が好きで、なんで好きで、どうして推したいと思ったのかは今回割愛するけど、その瞬間、私の世界に唐突に『推し色』という概念ができた。
多趣味だと好きな色を選択させられる瞬間が多々あるのだけど、推し色ができる前までは、何となく自分が好きな色だったり、その時に好きなアイドル(推すほどではない)の色を選択したり、その時の洋服とかその時の気分で決めたりと一貫していなかった。
けど、推し色が生まれた事で、一貫する様になった。(その後推し色は別の女性アイドルを好きになりもう一色増える)
推し色が生まれた事で自分がオタク活動や趣味界隈で選ぶ色が一貫するのはもちろんだけど、プレゼントとかでオタク友達からいただく色も推し色になる事が増えた。
街を歩いていて、惜し色を見つけると嬉しくなったりした。
自然と私の生活に推し色が増えていく。生活に推し色が浸透してくる。推し色があるだけでその色関連で推しに繋げて遊ぶことができる。
これだけでもすごい。想像力というか、妄想力というか、それが養われる。
そして、推し色が日常になると、他のオタクと会話する時の名刺代わりになる事が増えた。(ここでは『オタク』と称してるけど、これは推し色がある人生を歩んでいる人のことを指しています。)
つい先日、あるクリエイターの友人がイベントを開く、というので、売り子のお手伝いをした。
作成とか設営のお手伝いレベルなら、何度か経験した事あるが、売り子のお手伝いは初めてで、正直不安だったし、もし生理的に受け付けない様な人と会話しなくちゃで顔に嫌悪感を表しちゃったらどうしよう(結果、そんな事起きなかった)とか思っていた。
でも、せっかくお手伝い頼まれたのだから、イベントを壊さない様に、あの売り子のせいで嫌な気分した、とかが起きない様に、って思いながら挑んだ。
そこで朝、その友人が、売り子用の名札となるロゼッタをくれた。それが推し色でできていた。
もちろん嬉しかったし、惜し色のものくれるとは予め聞いていたので、服とかアクセとかネイルとかその色に合う様に選んだし、それを考えてる時間もすごく楽しかったのだけど、一番嬉しかったのは、売り子としてお客さんと会話してる時に、『推し色これなんですね!』と話しかけてくれたことだ。
別に推しの話はしていない。あくまで私がその色のものを多く身につけていたからなのだけど、初対面のオタク同士の会話だとそれが会話の糸口になる。そこから、何のグループ、何の作品が好きなのかという話に繋がる。
推し色がある生活を歩み始めて随分経過していたので忘れがちだけど、それってすごいことだ。
推し色が無い人生だと、今日の天気だとか、これからどこに行くのだ、とか、人によっては繋ぎ辛かったり、興味も何も無い会話になりがちだけど、推し色=今自分が好きなもの、への話に繋がりやすい。最初から自分の好きなものを紹介できるチャンスをもらったものだし、相手の好きなものを紹介してほしいという意思表示にも繋がる。
「これ推し色なんですか?」と聞かなくても「〇〇色好きなんですか?」と聞いたら、推し色なんです、って教えてくれたり、プレゼント相手の推し色なんです、と教えてくれたりした。
でもこれが推し色が無い人との会話だったら、「はい、好きなんです」で大抵終わる。ここから話広げるのって、結構難易度高いと思っている。
『推し色』って結局ただの色だし、推しそのものでは無いし、じゃあ例えば誰かや何かを推していても、その色を選択する必要なんて全く無いし好きになる必要も無いのだけど、それが自分の中にあるか無いかだけで随分変わる。言動が変わる。世界が変わる。
その売り子をした時ほど、推し色があって良かったな、って思った事ないし、推しができて良かったな、って思った。今まででたくさんたくさん推し色関係で嬉しい事はあったけど、『推し色』という概念がここまで発揮される機会は無かったんじゃないかな、って思う。
推し色って、ほんとただの公式が設定したイメージカラーだけど、あるのと無いのとじゃ世界が変わるよ。
推し色を作るためには、まずは推しを見つけなくちゃなんだけど、これが好き!と胸を張って言えるものが一つあるだけで世界が変わるよ。
そして、別に有名人じゃなくても、何かのキャラじゃなくても良いと思う。もし今後私の推しが変わったとして、有名人とかキャラじゃなくなったとしても、例えばそれが配偶者でも子供でも恋人でも友人でも、応援したいな!と思う相手を今後も作り続けて、きっとその人が好きな色を私の推し色にするんだろうな、って思う。
ちなみに私だったらそれは赤だ。
いつか赤を推す日が来るかもしれない。
とにかく、推し色がある人生、ぜひ経験してほしい。楽しいぞ。
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