お酒に関するアンケート調査-昨年からの変化・頻度や好み・酒税法改正でどう行動する?
今回は、全国のPOB会員3,008人(平均年齢46.4歳)に、「お酒に関するアンケート調査」を2023年8月4日~8月6日に実施しました。
コロナ禍、値上げなどの環境の変化を経て、現在の私たちの生活とアルコール飲料はどのような関わりとなっているのでしょうか。アンケート調査とレシートデータで消費者の利用動向や変化を分析していきます。
昨年からの飲酒の変化は?
まずは、日頃お酒を飲用すると回答した会員に、昨年と比較した現在の状況をたずねたところ、「昨年と変わらず飲酒をしている(60.4%)」が6割、「昨年より増えた(20.3%)」、「昨年より減った(19.2%)」がそれぞれ2割ほど回答されました。
どのような変化の影響が大きかったのか、【外食】・【自宅】それぞれの飲酒状況を深堀します。
飲酒機会は【外食】・【自宅】それぞれともに「昨年と変わらず飲酒している」の比率が高いですが、【外食】での飲酒機会の変化が特に大きいことが見て取れます。昨年より「外食での飲酒が増えた(31.1%)」と回答した人は、「自宅での飲酒機会が増えた(16.6 %)」と回答した人と比べ+14.5ポイント差異がみられます。「外食での飲酒が減った」と回答した人も、「増えた」と同じく約3割ほどとなりました。
コメントを見ると外出機会の変化や、物価上昇の影響などをうかがい知ることができました。
【外食】・【自宅】:お酒を飲む頻度
次にお酒を飲む頻度を【外食】・【自宅】のそれぞれでたずねました。
月1回以上の頻度で飲酒する人は【外食(53.8%)】、【自宅(85.1%)】という結果となりました。前出のアンケートでは【外食】の変化が大きいことが明らかになりましたが、飲酒頻度は【自宅】の方が高いことがわかります。
男女で比較すると、【自宅】で月1回以上飲酒をする比率は男性(88.6%)、女性(82.4%)でほどんど変わりはありませんが、【外食】で比べると男性(59.9%)、女性(48.6%)と11.3 Ptの差異がありました。
何を重視してお酒を選び、どのようなお酒を飲む?
消費者は普段どのようなお酒を好んで購入しているのでしょうか。何を重視し、どのようなお酒を飲用するのかそれぞれたずねました。
お酒を選ぶ際は「味(77.1%)」が最も重視され、次に「価格(68.0%)」、「アルコール度数(29.7%)」、「容量(22.4%)」が続き「ブランド・メーカー(18.7%)」を上回りました。男性は女性に比べ「価格」、「容量」、「ブランドメーカー」を重要視し、女性は「味」、「アルコール度数」、「糖質」、「カロリー」、「果汁量」といった項目に注目していることがわかりました。
次に、どのようなお酒を飲用するかたずねると、男女とも「ビール(69.8%)」を最も飲用すると回答しました。次に「チューハイ・サワー(57.3%)」、「新ジャンル(30.6%)」が続きます。
男性は「ビール」、「新ジャンル」、「発泡酒」のビール類や、「焼酎」、「ウイスキー」といった種類の飲用率が女性より高く、女性は「チューハイ」、「ワイン」、「カクテル」、「果実酒」といった飲みやすいお酒を好む傾向が高いです。また、ビール類は男性の方が飲用率が高いものの「糖質ゼロビール」は女性の方が飲用する傾向が見られました。前出のアンケート結果にあったように女性の方がカロリーや糖質を気にしてお酒を選んでいることがわかりました。
お酒の情報はどこから得る?
お酒の情報は「店頭(72.4%)」から最も得られていることがわかりました。次に「TVCM(46.3%)」が続きますが、以降の項目を30%以上引き離しています。好みのお酒の趣向の違いはあれど、男女で比べても大きく傾向に差異はありませんでした。
レシートデータ: 購入金額構成比
次に、会員が投稿したレシートデータから、アルコール商品の購買行動の変化を分析していきます。
下図は、昨年2022年5月から2023年7月までの各業態の購入金額構成比の推移を表したものです。
構成比は、「総合スーパー、食品スーパー」、「コンビニエンスストア」、「ドラッグストア・薬局」の順となりました。昨年2022年5月と2023年5月を比較すると、「総合スーパー、食品スーパー(+0.2Pt)」は変化は大きくありませんが、「コンビニエンスストア(-3.6Pt)」が減少し、「ドラッグストア・薬局(+3.7Pt)」が上昇している様子が見て取れます。
コメントを見ると値上などの影響もあってか、価格の高いコンビニは避け、価格が安くてポイントを貯められる「ドラッグストア・薬局」を利用している様子をうかがい知ることができました。
23年10月の酒税法改正後は?
2023年10月の酒税法改正があり、ビールや発泡酒、ワインなどの税率が改正されます。特にビール系飲料は影響が大きく、ビールが減税される一方、安さが魅力の新ジャンルが増税されて発泡酒と同じ税額になります。この改正について、生活者はどのように思い、今後行動するのか尋ねました。
「ビールの購入が増える」、「新ジャンルの購入が減る」はともに約3割で、ビール類の中で切り替えが起こる可能が見込まれます。「ビール類ではなく他のお酒の購入が増える(25.0%)」も4人に1人が回答していました。また、「お酒を飲む量が減る(21.1%)」、「お酒自体購入することは減る(21.5%)」と約2割の人が購入機会の減少について回答しました。
今までと変わらずお酒を飲用すると回答した人が約7割を占めるものの、買い控えやブランドスイッチなど何かしら変化を検討している消費者が約3割います。物価上昇の後押しもあり、酒税改正による市場への影響は大きいことが予想できるでしょう。
今後も、レシートと消費者アンケートで様々なトレンドを分析していきます。データに関してご質問等ある方は、お気軽にお問合せください。
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