見出し画像

「結いけあ」の流れ・・・      「平穏死」が叶うための段取り8割

高齢者施設での看取り介護「結いけあ」の流れの中で、一番大切なのは家族と共に段取りを8割済ませておくことです。
終末期に入って「お看取り」が始まるのではなく、入居された時から「結いけあ」は始まります。
今回は、その段取りを大まかにお伝えしたいと思います。


タイミング①・・・入居時

まずは、入居された時に、ご本人ご家族の思いを十分お聞きします。
施設でどのような生活を望むのか、どんなことを大切にされたいのか、など今までの生活の背景などを伺いながら話を聞きます
その中で、その方の死生観や、ご家族の思いなどを伺います。
施設でのお看取りを希望される方には、「看取り介護指針」を説明し、同意を得ます。
 同時に、急変時及び、終末期についての事前確認書病院搬送希望時の「緊急受診連絡票」を作成しておきます。

入居時に「突然死」が起こり得ることも説明しておきます。

ただ、実は入居したばかりの時には、入居したことで「ほっ」としてしまい最期の事まで考えられない家族も多いのが現状です。

タイミング②・・・体調変化時

 高齢でかつ、要介護3以上の状態ですと、体調変化が起こることが多いですが、その際には看護師がご家族に連絡を入れます。
その時には、今後起こりうる病状変化を伝え、施設でできることを伝えます。思いもよらないことがきっかけで「死」に至るケースもあるため、ご家族には最期を準備する意識を持ってもらえるように働きかけます。

要注意!!ぽっと出てくる、遠方の家族

 ご入居されている方には、キーパーソンが居て、普段はその方と、施設のやり取りで高齢者の生活を整えます。
しかし、キーパーソンが
「このまま施設で看取ってほしい」
と言われていても、普段関わっていない遠方のご家族
「なんで、こんな状態で病院に行っていないのか・・」と怒るケースもあります。

それを防ぐためにも、キーパーソンには
「ほかに、あなたの思いにご意見を言われそうなご家族は居ませんか?」
と尋ねておきます。
居られたら、機会を作って面談をし、ご本人にとっての良い人生の締めくくり方を一緒に考えます。何度も何度も話をします。

ご家族の気持ちは揺れ動くもの

 「結いけあ」の目標に「家族に悔いを残さない」というものもあります。
人生の締めくくりに向かって、ご本人、ご家族と伴走しているつもりでも、
常にご家族は悩み不安になり、意見が変わる事もあります。
その気持ちの変化は、当たり前のことだと受容し、職員間で情報の共有をするように努めます。

社会福祉法人 万亀会

タイミング③・・・体調悪化時

 いよいよ「お看取り」が近いかも・・・と感じる時、
「安らかな看取りのために」~私たちにできること~
と言うパンフレットを使用し、ご家族へ看取りの経過の説明をします。
どの様に変化していくのかを見聞きしていることで、ご家族には心の準備をしていただきます。

ご家族にしかできない事

 24時間お身体のお世話は、私たち職員に任せていただいて良いのですが、ご家族にしかできないことがあります。
それをお伝えすることで、ご家族の声掛けが変わります。
①思い出を語ること
②今までの感謝の気持ちを伝えること
③家族のこれからの夢を語ること

残された時間で、叶えてあげたいことの聞き取り

「最期に家に連れて帰ってやりたい」
「孫の花嫁姿を見せてあげたい」
「お墓参りに連れて行ってあげたい」
そんな思いを、遠慮なく言っていただけるように、ご家族に働きかけ、可能な限り希望を叶えます。

お看取りの、その大切な時間にバタバタしないために

準備が無い状態で亡くなると、ゆっくりお別れする間も無くバタバタしてしまいがちです。
そこで、遺影の準備の話や、葬儀屋さんの選定、亡くなった後エンゼルケアをさせていただいた後に着るその人らしい服選び財産の整理の事など、準備できることは、早めに準備するように促します。

天国への階段

準備さえ整えば、あとはご自身で逝くタイミングは決めます。

「結いけあ」日常生活の延長線上にあります。

私たちは、日々のケアに心を乗せて「整えて維持する事」を大切にします。そして、亡くなりゆく人は、ご自身でそのタイミングを選びます。

ご利用者の「生ききる」姿から「生」を学び、感謝の気持ちいっぱいでお見送りしたいと思っています。


いいなと思ったら応援しよう!