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薄皮

 遠い空の下の息子が18になり、クレカを作ったというので、さっそく?だの、気をつけて、だの、つい小言を発出したら、こっちに来てからしっかりやってる、と返された。たしかにそうだ。バイトのこととか、とにかく、なにを聞いてもしっかりした答えが返ってきて、しかも有言実行してる。私より、はるかにしっかりしてる。
 家にいたころと、目に見えるところを単純に比較したら、ぜんぜん違う人みたいだけど、それは目に見えてる薄皮みたいな部分の話だ。そのすぐ下には、はちきれんばかりの「しっかり野郎」が、ひとりで生きてみたいんだ!と、張り裂けそうにうごめいていたので、なんともいびつで鬱々とした日々だったのだ、と、今になってみればわかる。その時も、そうは思っていたけど、さすがに高校は卒業してから行くかな〜?と読み誤っていたのだった。

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