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【2期生紹介④】誰もが研究に触れられる世界を目指す大学1年生

MiTOHOKU Program採択クリエータ紹介、4人目は2期生で最年少、山形大学工学部1年生の上野能登さんです。学部1年生から活発に活動する上野さんに、これまでの活動の経緯や今熱意を注いでいること、そして構想しているプロジェクトの展望などをインタビューしました。

〇プロフィール
上野能登さん
山形大学工学部システム創成工学科1年


高校時代に感じた「格差」

高校入学と同時にコアスーパーサイエンスクラブに入部し、研究を始めた上野さん。高校時代は探究活動に熱中し、太陽光発電の効率化や温度差発電について研究をおこなっていました。また、ロールスロイス主催の「サイエンスキャンプ2022」にも参加し、アイデア賞を受賞されました。
上野さんの出身高校、米沢興譲館高校では、山形大学や地域の研究機関との連携、SSH指定などによって探究学習が活発におこなわれており、上野さんも探究に熱中することができました。しかし、様々なプログラムに参加し、他校の生徒と交流する中で、学校に十分な予算がなく、実験器具を買うことができない学校があることを知りました。この格差を課題に感じた上野さんは、もっと安価な実験器具を製作し、高校などの学校現場に広げていきたいと考えるようになりました。
そして、上野さんは実験機材の製作に尽力していた山形県立産業技術短期大学校の先生から、DNAを増幅する実験器具「サーマルサイクラー」を紹介されます。簡単にDNAを増やすことができ、色々な実験に利用できる便利な機材ではあるものの、現状のサーマルサイクラーは1台数十万円掛かると言われており、それでは未だ学校が導入するハードルは高いまま。自分が通う米沢興譲館高校にはサーマルサイクラーはありましたが、他校の生徒に聞いてみると、サーマルサイクラーがない学校もありました。上野さんはより安価なサーマルサイクラーを作る工夫をしたいと実装を目指すようになり、高校時代にはプロトタイプの開発まで行っていました。

1期生の紹介でMiTOHOKU Programに応募

上野さんは昨年度MiTOHOKU Programに1期生として採択された清水紘輔さんと、高校時代に山形大学の高大連携プログラムで出会い、MiTOHOKUプログラムを知り応募しました。

清水さんの採択者紹介

高校は違うものの同学年の清水さんからは刺激を受けることが多く、今までやってきた研究に加えてビジネスの視点を得られること、予算によって社会実装への一歩を踏み出せることを期待して応募したと言います。
米沢市で生まれ育った上野さんにとって、東北は自分のアイデンティティがある大切な土地。しかし、探究に関わるコンテストやプログラムに参加する中で感じたのは、東北地方からの参加者が少ない、ということ。東北にも熱意と能力がある学生はたくさんいるはずなのに、と残念に思ったそうです。MiTOHOKU Programを通して、東北の面白い人たちと出会い、刺激し合える関係を構築していきたいと言います。

メンタリングを通しての気づき

上野さんはメインメンターの齊藤良太さんとの対話の中で「自分がどうありたいか、ということについてたくさんの気づきを得られている」と語ります。初回のメンタリングでは、「作りたいプロダクトを一番ほしいと思う人を明確に決めよう」、「より相手に共感してもらえるようなストーリーを作ろう」というアドバイスを受けたそう。今後も定期的なメンタリングを通して、自分自身の考えを整理するきっかけにしたいと考えています。

誰もが研究に触れられる世界を

「誰もが研究に触れられる世界を作りたい」が上野さんの大きなビジョン。その実現に向けて、まずは開発に集中して取り組みたいと言います。来年度以降も活動を続けていける分の融資を得るために、プロトタイプの完成を目指します。そして、MiTOHOKU Programの期間中にプロトタイプを高校で実際に使ってもらってフィードバックを受け、さらによいプロダクトの開発につなげます。
「探究があったからこそ、自分の世界は広がった」と語る上野さん。自分と同じような体験をより多くの高校生にしてもらうため、自分がサーマルサイクラーを作って、探究の好循環を進めていきたいと力強く教えてくれました。
自分の中から湧き出る「自分がいいと思ったものを作る」という思いに従いながら、人のために役立つことをしたい。上野さんの挑戦はまだまだ続きます。


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