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「愉気」ということー本能の中にある衛生の働き-6

判らないことの一番の王様は神様とか仏様とかいうものです。判らないけどそれがあるといわれ、信じるようにいわれるとその気になる。病気でも、悪魔でも、そういったようなものなのです。黴菌が人間を病気にしてしまうにだったら、大勢に人が集まって、その人の吐いた息を吸うことは恐ろしい。握手をするのも、接吻するのも怖くてできない。もちろんそれは不衛生なことですが好きだとやってしまう。しかしそのために病気になるとは限らない。

自分の中に黴菌を殺す力があるのです。天然痘に対する抵抗力でも、コレラに対する抵抗力でも、腸チフスの対する抵抗力でも、その力はそれぞれ違うけれども、その違う抵抗力をイザという時サッサと造る力を持っている。そんな力を体は誰にも教わって造ったのかといっても判らない。

生まれたての赤ちゃんでも、そういう力を持っているのです。赤ちゃんが白いお乳を飲んで赤い血にしたり、黄色い大便にしたりするのは不思議です。必要な物を体は吸収して、不必要な物を気張って出すなんて 、誰に習ったかといっても判らない。けれどもみんなそういう力を持っている。持っているから不衛生なことをやっても丈夫に暮らせるのです。元気に暮らせるのです。

丈夫に暮らせるということが判っているはずの大人が、病気が恐がって、そして、動きがつかなくなっているということは、とても可笑しいと思うけれども、そういう知識やなにかが持っている「気」といったようなものが、人間を自由にさせなくする面があるともいえましょう。

別段、落ちた物を拾って食べても、どういうことはない。ところが、大人は落ちた物を食べると病気になるという。そんなことを言ったら野生の動物は落ちた物食べているのだから、みんな病気にならなくてはならない。いや腐っていたら危険だというが、鴉(からす)はわざわさ腐りかけるのを待って食べている。鴉(からす)の食べる物は一番美味しい。私が新潟に疎開していたころに、あの柿は美味しそだと、その熟巣のを待っていると、必ず一足先に鴉(からす)食べられてしまう。そこでしかやなく鴉(からす)のように木に登って食べましたが、確かにその方がずっと旨いのです。鴉(からす)は利口だなと思いました。牛肉でも腐り出す前になると美味しい。

人間は無闇に腐るのを恐がって、新鮮な物だけを食べようとしているが、生きた物には皆、そういう力があるのです。自分の体の力を知っていれば、鴉(からす)の真似だって出来る筈です。

健康生活の原理

活元運動のすすめ、、より

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