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くだらなかったって笑い飛ばせるような楽しい旅にするために、わかりあえなさの扱い方を考えてみる
MIMIGURIアドベントカレンダー Day14-1です。
テーマは#わたしたちの冒険 です。
弊社MIMIGURI Co-CEO安斎さんの新著『冒険する組織のつくりかた「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』の刊行記念ウェビナーには1,400名を超える方々にご登録いただきました。ご好評につき12/21に再放送も決定しました!
chimoです。
好きな漫画は葬送のフリーレン、好きな小説は銀河英雄伝説です。冒険も軍事も好きです。
ここ数年、私の一年はルーティン化しています。
1月のアジャイル実践者の集いRegional Scrum Gathering Tokyoへの参加で始まり、2月〜10月は各地で開催されるスクラム開発の集いスクラムフェスに参加し、11月のアジャイル札幌主催のスクラムフェスを運営して終わります。
アジャイルはソフトウェア開発の現場から生まれましたが、最近では開発領域を越えてビジネス領域にも少しずつ広がってきました。
少しずつ広がってきた、という事実に涙が出そうになるのです。
アジャイルであれ冒険的世界観であれ、組織が変化することは簡単ではありません。
その裏にはどれだけ多くの小さな努力や葛藤が積み重なっているのだろう、きっと心が挫けそうになったこともあるだろう、と思うのです。
変化は、じれったいほどにゆっくりと起こります。
だから私は、継続的に少しずつ、楽しみながら進むことを大事にしています。
継続が難しくなる一つの要因に、わかりあえなさ、があります。
わかりあえなさ、は組織が変化する時に必ずと言っていいほど発生します。
そして、ストレスやモチベーション喪失の原因となり、楽しさよりも辛さを感じてしまうことがあります。
この記事では、ブッダの人間探究を紐解くことで見つけた、わかりあえなさの扱い方について書きます。
わかりあえなさ、と共に前進する
人の成り立ち
実は昨年まで、ブッダが神か仏か人か知らなかったのですが、人の苦しみについて体を張って探究した人だったことを知り、興味を持ったので調べ始めました。
ブッダは、人の成り立ちを「一切」と呼ばれる全経験領域として、構造化しました。(一切って日常的に使いますよね)
様々な資料を読むと難解な言葉でバラバラに説明されているのですが、それらをまとめて図にしてみたのが以下です。
この図の左端にある、人を構成する要素(五蘊)が、わかりあえなさを理解する鍵です。
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わかりあえなさの本質
人は色・受・想・行・識という5つの要素(五蘊)によって構成されています。
視覚で認識できる物質、色
受動して感じる、受
何かを想起する、想
能動的に行動したくなる、行
判断や認識をする、識
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ここで注目したいポイントは2つです。
「色」と呼ばれる物体的要素は目に見えるが、それ以外の要素は目に見えない精神領域にある
精神領域にある4つの要素は、独自の感受性・経験・記憶によって変化する
わかりあえなさの本質は、ここにあります。
人の言動や行動は「色」として他者から認識されますが、それを生み出したのは独自の経験であり他者が認識できない精神領域にあるのです。
難しい言葉で当たり前のことを書きましたが、人がわかりあえないのは当然なので悲しまなくて大丈夫、ということです。
また、精神領域をオープンにすることで、わかりあえなさから一歩前進することができる、とも言えます。
これは、組織に変化をもたらすために大事な一歩です。
あの人は理解してくれないという思いは、「色」だけを見ている状態かもしれません。
精神領域をオープンにできる関係性を少しずつ築くことで、対立やネガティブな見方を避け、共に同じ方向へ歩み始めるきっかけを作ることができます。
違いを乗り越える
お互いの精神領域を理解した上で、行きたい方向や価値観の違いを解消できない場合があります。
行きたい方向が違う場合は別れを告げるのも一つの道だと思いますが、やり方や価値観の違いに関しては歩み寄る方法があると思っています。
やり方や価値観は、その人独自の感受性・経験・記憶からできています。
そう、経験です。
経験をトリガーとして、人は変化し続けます。これを無常と呼びます。
違いが大きいほど、両者を分つ溝ができることがあります。お互いを理解しているが、一緒に何かをできる気がしないというやつです。
そのような場合は、わかりあえるまで対話を続けるよりも、一緒に手を動かして何かを作ってみることで共通の経験を持つようにしています。
この共通の経験とは、別々に何かを作り持ち寄って感想を共有するといった、生ぬるい経験ではありません。
一緒に顔を近づけて作り、一緒に葛藤し、一緒に楽しさを感じる、フィジカルでプリミティブな経験です。
このような濃い共通の経験により自然発生する対話には、違いを乗り越える大きな力があります。
わかりあえなさに悲嘆しない
わかりあえなさから生じる「思うようにいかない」という感情は、ブッダによると”求不得苦”という苦しみに繋がるそうです。
わかりあえなさに出会ったら「よう、待ってたぜ」くらいの気持ちで受け止め、お互いの精神領域を覗いてみたり、一緒に手を動かしながら共通の経験を作ることで、必要以上に悲嘆せず、むしろ楽しむことができるかもしれません。
変化のタイミングはコントロールできない
組織の変化に向き合う時に出会う、わかりあえなさの扱い方について考えてきました。
でも、上手く扱えたからと言って良い方向に進むとは限りません。
わたしたちは、きっかけを作ることしかできませんし、必ず変化が訪れるとは限りません。
どんなに対話しても共通の経験を作っても、変わる時は変わるし、変わらない時はまだその時ではないというだけのことです。
もっと早く!もっと前へ!という思いはとても大事だけど、物事はゆっくり進むものです。そして、冒険は楽しむものです。
辛く苦しい旅よりも、笑いながら歩ける楽しい旅にしていきたいですね。
アイゼンは辛く苦しい旅がしたいのか?
僕はね、終わった後にくだらなかったって笑い飛ばせるような楽しい旅がしたいんだ。
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MIMIGURIアドベントカレンダー15日目は…
ファシリテーターのtabaさんと、コーポレートのogawanさんです。
1日で2度美味しい!楽しみです!
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