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第44回 カウンセラーのTシャツと言葉のサラダ スパイダーマンに似せることとオタクのプライド

カウンセラーとスタッフの日常会話の記録です。

Mi代表:深層心理学が専門のカウンセラー。Mitoce代表。
すたっふ:カウンセラー見習いのスタッフ。少々オタクらしい。


Mi代:スパイダーメーンというYoutuberが登録者数1000万人を超えたそうです。そして、それまで覆面で正体がわからなかったのが、1000万人を超えた記念に公開されました。

すた:私も聞きました。

Mi代:スパイダーメーンの正体は誰かということが最近、話題になってきていたので、そのタイミングでの公開です。うわさとして上がっていたがの、ヴァンゆんで有名なヴァンビ君です。ヴァンビ君は、もともとヴィジュアル系バンドをしていて、そのあとにYoutuberとしての活動を始めました。別々に活動していた、ゆんちゃんと出会い、その後、カップルYoutuberとして、人気を集めた二人です。カップルYoutuberのハシリのような人ですね。しかし1年ほど前に、250万人を達成したら「ゆんちゃんと結婚する」という企画を立ち上げて炎上しました。
ヴァンビ君がゆんちゃんのことを考えずに、自分勝手すぎると。そのあと一応は、ヴァンゆんちゃんねるは復活して活動を続けていたのですが。そのあとも再生数が伸び悩んだり、ゆんちゃんが適応障害で休んだりと、大変な事態が続いていました。結局、二人で活動することを止めることとなり、それぞれが個人で活動することになります。
ヴァンビ君はある時から、コント動画に注力するようになっていて、私の個人的な趣味としては面白さがわからなかったのですが、ヴァンビ君は「手ごたえを感じている」とおっしゃっていたので、何かあるのだろうなとは思っていましたが。
結局、ゆんちゃんは、トップクラスのYoutuberである、フィッシャーズのリーダーであるシルクさんと結婚し、そして先日妊娠を発表しました。ヴァンゆんの活躍とそのあとのソロ活動、そしてヴァンビ君が好意を寄せていたゆんちゃんが他のYoutuberと結婚、妊娠という流れをみて「ヴァンビ君は終わったな」と反応する人もいました。
それが今回は海外向けのショート動画という、ターゲットを切り替えて動画を配信し始めて結局、日本人で最速の登録者数1000万人を達成することになったという流れです。
もともとヴァンゆんはYoutuberのなかでは編集のレベルが高いといわれていたので、そういった積み重ねがあったので達成できたのではと思います。
そこでお聞きしたかったのが、スパイダーマン好きのすたさんとしてはYoutuberのスパイダーメーンをどのように思うかお聞きしたくて。

すた:ああ、そうですね。私も実はスパイダーメーンが話題なっているのを知っています。私がみているマーベルのオタク界隈でも、話題になっていました。でも、あまり評判が良くない…。

Mi代:そうなんですか! どういった理由で評判が良くないのか教えて頂いてもよろしいでしょうか。

すた:スパイダーマンのことが、あまり好きそうではないと伝わってしまっていて。自分の登録者数を挙げるために認知度の高いスパイダーマンを使っているのでは、という評判ですね。スパイダーマン作品へのリスペクトが少ないと思います。
私もちょっと動画を確認したのですが、そうだなと思いました。スパイダーマンのファンは、スパイダーマンの性格や発言、行動について考えるので、「こんなこといわないでしょう」というのが気になってしまうんですね。たとえパロディだとしても、元の作品を押さえていないのが分かる。
もし作品を見ているのであれば、スパイダーマンのキャラが言っているセリフや行動に合わせていると、納得するのですが。そんな感じではないので。

Mi代:厳しいですね。でもたしかにスパイダーマンのファンの気持ちを考えると、そうだと思います。

すた:ちょっとした小物やセリフでいいんです。たとえばスパイダーマンの映画で、主人公の部屋にあった道具と同じものが撮影場所に置いてあるとか、そいった些細なことでいいんです。それだけでもファンは納得する。これはスパイダーマンが好きな人だなと。
私は海外ドラマのシャーロックが好きで、ドラマに出てきたシャーロックホームズの部屋の壁紙と同じ壁紙を輸入して、自分の部屋の壁紙にしたというオタクの人を観たことがあります。きちんと布の壁紙で。ものすごく高いんですよ。100万円ぐらいするかもしれません。私も調べて買おうかと思ったのですが、値段が高くて全く手が出なかった。それでもドラマが好きなら、そういうことをする人がいる。それがファンだと思うんですね。でもスパイダーメーンにはそれが見えてこない。
もしスパイダーマンのことが好きで、キャラに合わせたことをしていたら、マーベルファンも取り込めたはずなのに。今のままでは敵を作ってしまう。海外のYoutuberだったら全方向に注意をすると思うので、そこは外さないのかなと思います。
もちろん、今からでも遅くないと思いますよ。マニアというのは、新規の人には優しいので。気付いたこととか「これがいいよ」という情報を教えてくれると思います。

Mi代:このあたりは難しいですね。単に面白そうな動画を楽しむのであれば、親しみのあるスパイダーマンというキャラを使うのはよいのかもしれない。しかしすでに固定ファンがいるキャラクターなので、そのファンから反感をかうのは当然でしょうね。
たしかに何らかのキャラクターを演じたり、ものまねをするときには、オリジナルへのリスペクトが必要です。芸能人のものまねをするときも、オリジナルへの尊敬があって「その人になりたい」と思って徹底的に研究する。それがものまねの王道だと思います。
そこで思い出したのですが、Youtubeのお勧めにときどい出てくる「北山ゆい」さんです。私はいわゆる可愛らしい女子やコスプレには興味がないのですが、その方の部屋がちょっと映っていて、気になったのですが。観て頂けますか?

すた:ああ、この方はオタクですね。知らない人からみれば、なんてことのない椅子の前に座って、そのような衣装を着ているように見えますが。あれはキャラクターでああいうのがいます。後ろにはオージャカリバーが置いてあるので。ガチオタですね。

Mi代:やっぱりオタクの人は好みが漏れ出てしまう。

すた:そうですね。というか、好きなものへの愛が強さなんです。知らない情報や不充分な部分があってもいいのですが、そういった愛情が感じられるかどうかが大事なんです。愛が感じられたら、オタクはきちんと受け容れて、その人に「こういうのあるよ」って教えますので。

Mi代:そうなるとヴァンビ君からは、スパイダーマンオタクという雰囲気は漏れ出ていない。そういう意味では詰めが甘いといえるのでしょうか。もちろん、1000万人というのは大変な業績ですが。今後、そういう詰めの甘さが出てくる可能性もある。スパイダーマンのファンもそうですし、ピカチュウも出てきているのでポケモンファンからもアンチが出てくるかもしれない。
私がオタクを自称しないのはそのあたりで、ガチオタの皆さんからすれば、私はまだまだそこまで達していないので。

すた:いえいえ、Mi代表は大丈夫ですよ。もしMi代表がスパイダーマンを演じるとしたらどうしますか?

Mi代:とりあえずサム・ライミ版から映画は全部見ますね。あとは原作も読んでいきます。かといって元のアメコミとなると、もう半世紀も前からあるものなので、収集が難しいですが。翻訳となると、作品数も限られてくると思うので。以前に、すたさんに教わったところでは、たしかアベンジャーズはシリーズを発表された順にみていかないと、内容の理解ができないという話だったので。とりあえずアベンジャーズの映画も全部見るでしょうね。そのあとに、セリフや動作を考えて。衣装も予算によりますが、人前に出るのであればハイクオリティのものを使うか、あえてチープなものを使ってパロディ感を出すか。そのあたりは悩みますね。セリフもやはり、映画などを参照にして…。

すた:ほら、お気づきだと思いますが。スパイダーメーンとは違いますよね。Mi代表は完全にオタク気質なので。全く問題ないって。

Mi代:いえいえ、私は研究者気質があるだけです。人のこころを知るためには、色々な知識を持っていないといけない。心理学をちょっと学んだだけでは人間を知ることはできません。常にアンテナを張って、自分の知識をアップグレードし続けなければならない。それがプロのカウンセラーの仕事だと思っています。
ちなみに私はまだスパイダーマンに手を出してませんよ。

すた:私が説明していないのに、サム・ライミ監督の名前を出したのはMi代表です。

Mi代:すたさんがスパイダーマンが好きなのを知っていたので、いつか観るときのために調べていただけですよ。サム・ライミの『死霊のはらわた』はホラー映画史においても重要な作品と言われていますので。

すた:そういう引き出しが出てくるところが、Mi代表のおかしなところなんです。ご自覚を。

Mi代:最近はすたさんとのやり取りのおかげで、自分が変わっている部分がある人だというのが少しずつわかってきました。

すた:それはよかったです。



※すたっふの追記 (スパイダーマンのガチ応援勢です)

ヴァンビくんは話し方等表面的な見せ方は魅力的でスパイダーマンをよく参考になさっていると思います。しかしその奥の本質的なところを認識して、そのうえでスパイダーマンがとても好きで活動をなさっているのかが見えにくいためMARVELのファンには受け入れがたいのかもしれません。

とくに自分がこのアース(私たちが存在している現実世界)のスパイダーマンであると公言するのはファンには受け入れがたいところがあります…。

個人的な意見なのですが、ファンにとってスパイダーマンはただかっこいいだけではなく、その信条やふるまいに尊敬を抱くところもあると思うのです。スパイダーマンはスパイダーマンである苦しみを多く背負っています。ネタバレになるため詳しくは書きませんが、なかでもピーター・パーカーの物語はかなり辛い出来事があります。それでも正しい行いをしようと行動するところや敵を含めた相手を思いやる気持ちが彼にはあります。ここにスパイダーマンの本質的なものがあると思います。そしてスパイダーマンが好きなファンは、この本質的な部分に惹かれ、それゆえどうしても重視するのではないでしょうか。

そしてそのスパイダーマンの本質的な部分をつかむと、スパイダーマンになることがとても辛く大変なことだとわかります。なのでファンからすると、本質を押さえていないスパイダーマンはスパイダーマンだと思えないのです。
私はヴァンビくんの動画をほとんど見たことがなく、彼自身を知らないため、スパイダーマンの本質的な部分がないとは言い切れないのですが。

けれど今後の活動でスパイダーマンらしさを見せてくれるなら、きっと「このアースのスパイダーマンは自分だ」と言ったことに納得できるかもしれません。今後の活躍に期待しています。


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