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素敵生活にはてんとう虫をお忘れなく

現実と理想のギャップに時折驚愕させられる。
脳内でうふふふと思い描いていたものがリアルで時に牙をむく。

といっても、ちっぽけな話。
てんとう虫に助けられた話。

* 虫の写真は一切出しません。でも虫が大変苦手な方は無理に読まない方がいいかも

家庭菜園をちょっぴりやっている。二月末に植えたフリルレタスがとっても元気。

三月のぽかぽかな日。子供らと庭で遊んだついでに、「お昼のサラダにしようね」とレタスを収穫。
「一番外側の葉から剥がすんだよ」と子供らにレクチャーしてやらせてみる。

あら、なんか、いい感じ。
庭で作った野菜で新鮮サラダ。子供らに食育まで!私ったらキラキラ素敵生活!
悦に浸りながらレタスの葉を胸で抱え込む。子供らが競って取りすぎた。
ワッフル生地の白いパーカーに瑞々しい葉がさわさわあたる。

「ちょっと台所置いてくるねー」
るんるんぱたぱた家に入る。
あ、台所じゃなくてキッチンと呼んだ方が素敵だったかしら〜と浮かれつつ、大きいボウルに水を張って葉っぱたちを解き放つ。
無機質なステンレスのボウルに紫がかったフリルレタスが美しい。水の玉がぽろぽろと葉の上を転がる。防水性凄まじい。うっとり。
昔のクウネルの写真にでてきてもよさそう、とまた悦に浸りつつ。

が、あれ?
あれれ?
小さな黒い動くものを発見。よく見ると緑のも。

いったん見つけると視界は急激にその世界に向けて拓かれる。
葉の上にびっしりうごめいているものものの存在と突然向き合うことになった。

アブラムシだ!!!

虫は結構いける口だ。(食べるという意味でなく。まぁ機会があればなんでも食べてもみたい派でもある)
子供の頃からゴキブリ退治は私の役目で、今でも嬉々としてやってしまう。
セミやカブトムシをいまだに捕まえたくなる。
苦手なのは毛虫、ハチ、カマドウマ、サシガメくらいか。

でも、突然びっしりのアブラムシは焦る。びっしりは怖い。
そしてきらきら生活からのギャップがつらい。

気づけばレタスを押し当てていた私の服にもアブラムシがたっぷり!!ひとクラス作れそうなくらい、いる。
ひいぃとおよびごしになりながら台所脇の裏口をあける。外に向けて体を乗り出しパンパンと服をはたく。

ところがワッフル生地がアブラムシを匿ってなかなか落ちない。
アブラムシは四角い囲いの中で各々ちょこんと居座っている。
その四角い部屋が胸元からへそあたりまでずらりと並んでいる。

おひとりさま限定タワマン!?!?

ナチュラルな素敵生活がアブラムシのタワマンを生みだすなんて!!!

くらくらした頭でよくわからぬ絶望を軽く感じた。

***

フリルレタスもウリであるはずのフリルの中にアブラムシがこびりつき、水流だけでは落ちない。洗うだけでずいぶん時間がかかった。めんどい。ていねいな生活、めんどい。

アブラムシは私のささやかな理想にびっしり群がり、その生気を吸いとってしまったようだ。



なにもこれが初めてではない。
無農薬でやりたいから~となにも対策せず放置し、今までどれほどの野菜が虫に食われ、雑草に紛れ、姿を消したか。
栄枯盛衰が世の理とはいえ余りに無常な我が庭よ。

アブラムシに関していえば、牛乳をスプレーするのがいいと知ってはいる。牛乳の表面張力で呼吸ができなくなり退治できるとのこと。

が、やったことがない。

どの霧吹きを使う?
新しく専用に買う?
スプレー後、そこらが牛乳くさくなるらしいしなぁ。葉に跡も残るらしいし・・・。
デメリットをかき集め、結局放置。自然淘汰。嗚呼無常。

そんな情けない私だが、この春アブラムシの駆除に初めて成功した!!
そこでそのライフハックをここに書き記す。えっへん!

***

近所の野原にてんとう虫がたくさんいる。赤に黒いドットのナナホシテントウ。一番スタンダードなやつ。

野原はこの時期、カラスノエンドウが優勢。
カラスノエンドウはとっても可愛らしい。
ピンクの花が鮮やかで、整然と二列に並ぶ丸い小さな葉っぱと繊細に巻かれたツルの先もかわいい。

が、茎をよく見ると先端2センチほど異様に太くなっている。
アブラムシのせいだ。
アブラムシがびっしりと集合しているせいで、そこだけ太さが3倍に見える。
間違えて掴むとぞぞげがたつ。(自然に使っていたけれど、ぞぞげって方言だったみたい。鳥肌がたつと一緒です。でも鳥肌よりぞぞげの方がぞぞっと感があるでしょ)

というわけで、アブラムシに愛されるカラスノエンドウの野原はてんとう虫が多い。
ナナホシテントウはアブラムシを大量に捕食するので。

この野原で子供らがてんとう虫狩りを行った。

最初は素手で集めていたが、手のすきまからコロコロ逃げ出すので、虫かごを持ってきてがっつり集めだした。
長男が30匹、私と次男で20匹ゲット。なかなかに壮観。

さあ逃がそう、と言ったら庭で放したいという。
まあ害もないし、うちの庭が気に入らなかったら飛んで戻るだろし、許可。

その時、じゃあそれならと三株のレタスの上にぼとぼととてんとう虫らを落とした。ここのアブラムシを食べてくれたらいいなぁ。

レタスの緑とてんとう虫の赤がかわいいわぁと一瞬思ったが、さすがに50匹は多すぎで気持ち悪かった。



そして二、三日後。
レタスにアブラムシは一切いなくなっていた!
さらに一ヶ月経ってもアブラムシは現れず!
てんとう虫セコムがここまで優秀とは!!

おかげさまでレタスはとうが立つまで日々気軽に美味しくいただけた。アブラムシタワマンの建設もあの日限りのことであった。

というわけで、春先にアブラムシに困ったら、1プランターにつきてんとう虫を50匹ほど放つといいよ!というライフハックでした。お役にたてば幸いです。



多分あと数年で子供らはてんとう虫狩りをしなくなるでしょう。
それでも私ひとりでも野原にしゃがみこんで、てんとう虫を毎年大量に集めようと決意しています。
らくちん素敵生活を死守するために。

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うめがき たね
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