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新型コロナウイルス(SARS-CoV2)はコッホの4原則など満たしていない~Nature論文への反駁~

まぁ正直今更感があるのだが、2年間待ってとある論文に反駁する人物が現れないことに危機感を抱いたのでこの記事を執筆する。

元となる記事がコチラだ

竹下雅敏氏からの情報です。
 “新型コロナウイルスは存在しない”とか、“新型コロナウイルスは分離されたことがない”という陰謀論に対して、2020年6月28日の記事で、国立感染症研究所の「新型コロナウイルスの分離に成功」という研究情報を紹介しました。また、東京都健康安全研究センターのサイトの「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の電子顕微鏡写真」も紹介しました。“患者検体からSARS-CoV-2分離を続けており、今回新たに501Y変異株(イギリス型)の分離に成功…次世代シーケンサーを利用した遺伝子解析により、ウイルスの塩基配列を解読しました”と書かれています。
 さらに、マルセイユのメディテラネ感染症研究所の論文を紹介し、“臨床サンプルからSARS-CoV-2を1週間で大規模に分離できるようにした”と書かれていることから、新型コロナウイルスは存在し、分離されているとしか考えようがないと記しました。
 東京都健康安全研究センターの「新型コロナウイルス(N501Y変異株)の透過型電子顕微鏡像」を見れば、新型コロナウイルスが存在していることは明らかだと思います。私は、直観からこれらの写真が確かに新型コロナウイルスであるとわかるので、“新型コロナウイルスは存在しない”とする陰謀論は、これらの写真を見た段階でナンセンスです。
 しかし、世の中には多くの研究所が新型コロナウイルスの写真を示し、分離に成功しているにもかかわらず、そのことを認めようとしない人たちがいるのも事実です。そうした人たちを説得するのは無理かも知れませんが、あるかないかで揺れている人たちには、今回の翡翠氏の記事は決定打となるかも知れません。
 翡翠氏は、noteの自己紹介によれば、“2021年3月に博士号を取得、現在は、そのまま京都大学に残り「非常勤研究員」として働いています”とのことで、この分野の専門家のようです。
 記事をご覧になると、新型コロナウイルスは「コッホの4原則」をすべて満たし、病原体として確定していることが分かると思います。

もう突っ込みどころが満載だ。「私は、直観からこれらの写真が確かに新型コロナウイルスであるとわかる」とは何目線で言っているのだろうか。

分離問題に関してはTwitterで茶番デミックTV(@TV31894254)様が奮闘されているので、そちらの痛快な暴露劇を是非参照して頂きたい。鍵となるのは、ウイルス学者の言う「分離」とは、世間が想像する「それだけを取り出した」ものではなく、これには「単離/純粋化」という別の用語があるという点だ。


さて、私が今回やることは、百歩譲って彼らの言う通り「分離」に成功しているとして、「コッホ原則を満たし、病原性証明がされた」とする主張に真っ向から反論するものである。この反論には実はワクチンの病理に関する知識が必要となり、従って根っからの反ワクチン主義者にしか為しえないのだ。

さて、ではその翡翠の記事とやらの引用を見てみる。

感染症の病原体を確定する条件として、コッホの原則(4原則)というものがあります。

コッホの4原則
1. 患者からその菌の存在を証明する。
2. その菌を分離培養する(純培養)。
3. その菌を動物に接種し、類似症状が引き起こされる。
4. その動物から同じ菌が再分離される。

(中略)
ここで気を付けなければならないのが、コッホの4原則は『細菌』について提唱されたものですから、ウイルスでは満たせない場合があるということです。
細菌とウイルスの大きな違いは、自身だけで増殖できるかどうかです。細菌は細胞分裂により増殖することができますが、ウイルスは宿主細胞に感染しないと増殖することができません。
(中略)
… ウイルスは、宿主細胞の遺伝子を利用しなければ増えることはできません。
(中略)
「ある動物ではウイルスは増えるけれども、別の動物では増えることができない。」というのは当たり前です。その動物の細胞内に、ウイルスの増殖に必要な遺伝子がなければ増えることはできません。

したがって、現在では、その感染症の『病原体』を確定する条件として広く知られる、100年以上前に提唱された『コッホの原則』ですが、ウイルスへの拡大解釈には注意が必要です。(決して『鉄則』ではありません。)

この「コッホの原則は細菌用に提唱されたものであり、ウイルスへの拡大解釈には注意が必要です」の主張の通り、ウイルスの病原性証明は、1930年代にコッホ原則をウイルス用に改良する形で、トーマス・リバースという学者が提唱した「リバース原則」が適用されるのだ。従って、いずれにせよ「コッホの原則を満たした」とする言い分は、この時点で単なる無知としか言い様がない。

さて、翡翠が意図的に詐欺をしている言い分がコチラだ

ただし、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は『コッホの原則』を満たしているウイルスです!!
(中略)
1. 患者からそのウイルスの存在を証明する。
2. そのウイルスを分離培養する(純培養→クローン化)。

まず①が違う。コッホの原則のWikipediaから参照しよう。

「コッホの原則」の原義は、

1.ある一定の病気には一定の微生物が見出されること
2.その微生物を分離できること
3.分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること
4.そしてその病巣部から同じ微生物が分離されること

の4点からなり、「コッホの4原則」とも呼ばれている。

①は「ある一定の"病気"には、一定の"微生物"が見出される」だ。

これは言い換えれば、「健康な人物にはその微生物はいないはず」である。従って何よりもまず、「そのウイルスが患者特有に検出されるものであること」の証明が必要となる。「患者から検出された」だけでは、それが健康・病気如何に関わらず、普段から人体に生息している内在性ウイルスの可能性があるからだ。大橋眞名誉教授の懸念もまさにここにある。

ところが、「患者からウイルスを見つけた」の一言だけで①を当然のように満たしていると主張する。これが満たされていないことは、世間に「無症状感染者」がいる時点でお分かりの通りだ。

論文のどこをどう読んだら、1番と2番の要件を「満たしていない」と言えるのでしょうか?

と煽ってマウントを取った気でいるようだが、基本的な論理が欠けているとしか言い様がない。

…と、こういうことを言うと、病原体理論の洗脳を受けた方々から「そんなの全ての細菌・ウイルスに言えることだ、SARS-CoV2だけに止まらない」「日和見感染という用語を知らないのか」というズレた反論が来るのだが、当たり前だ。私は病原体理論そのものを否定しているのだ。例えば結核のいう「潜在性結核」も同じ詐欺である。病原体が疾患に関連するのは、前提としてそれらが繁殖する宿主の体内環境という培地が整備された時だけである。


さて、②は茶番デミックTV様に譲るとして、私が次に触れるのは③と④だ。翡翠はとあるNature論文を引用する。

実験で使われたのは、アカゲザル(Rhesus macaque)です。
(中略)
… NIHの研究者らは、このアカゲザル8頭に、クローン化された新型コロナウイルスSARS-CoV-2(nCoV-WA1-2020)を接種しました。

まず「接種」という時点で、実生活条件からかけ離れた実験である。我々は「空気感染」「飛沫感染」と何度も聞かされているはずだ。だからこそ、これだけマスクを強制されているわけだが、どんな生活場面であればウイルスを「接種」する機会が訪れるだろうか?あるとすれば「ワクチン接種」の機会だけである

これは現代の技術を持ってしても空気中のウイルスを捕集することが不可能だからであり、溶液中に希釈したウイルスを接種する形でしか実験ができないからだが、だとするならこの時点でウイルス学「が」詐欺である。

その結果、SARS-CoV-2を接種した全てのサルで、人間の中等度に相当する呼吸器疾患が、感染後8〜16日目にかけて見られました。
(中略)
これで、3番『そのウイルスを動物に接種し、類似症状が引き起こされる』ことが証明されました。

ここでも詐欺がある。「COVID-19という病態を前以て定義していないこと」だ。従ってこれが「類似」かどうかが不明である。

翡翠への反論は以上だが、ではCOVID-19という「疾患」はどのようなものだったか?論文に移る前に定義しておきたい。
私が参照するのは【日本血栓止血学会】だ。

ここから医療従事者向けの資料(2020/5/13付)を引用する

新型コロナウィルス感染症 (COVID-19)に際して、重症例においてD-dimer値が高値を示すこと、深部静脈血栓症(DVT)/肺血栓塞栓症(PTE)を含む血栓症の併発が多いこと、等々凝固・線溶系の異常あるいは制御障害を示す事実が当初より指摘されてきた。
現時点で確固としたエビデンスを求める事は困難であるが、これらの異常が症状の増悪、あるいは臨床転機にまで影響を及ぼすことが示されており、このような情報を医療者が共有する事は大変重要と考える。下記に、国際血栓止血学会(ISTH)の提言1-3)とそれに関わる論文を紹介するとともに、本邦固有の医療事情に応じたコメントを加え、日本血栓止血学会の提言とする。

(1)凝固異常に伴う血栓症発症とDICがCOVID-19の予後増悪因子である。

D-dimer 値が予後判定因子となりうるという論文が COVID-19 の凝固異常を示唆する端緒 4)となった。
COVID-19特有の内皮障害(内皮炎症)5)、及び敗血症あるいは低酸素による内皮傷害により血栓症が高頻度に発症する。

フィブリノゲンの異常高値を示す例もあり、これも発症に寄与する。欧米ではICUにおいてヘパリンの予防投与下でもVTE の発症率が 20%という頻度も示されている 6,7)。

コメント:本邦でも COVID-19を血栓症発症の重要なリスクと捉え対応する必要がある。

私はこれが「エンドトキシン血症」であり、従ってこの病態は細菌性由来だと考えているが、何はともあれこの病態を再現できているかが鍵である。
ここからは実際に論文の内容に当たっていく。実際の論文が以下だ。

要約
2019年12月に武漢(中国)で、新規コロナウイルス(SARS-CoV-2と命名)による症例致死率約2%のコロナウイルス症2019(COVID-19)の流行が始まりました1,2。前例のない世界的な広がり3を受けて、世界保健機関は2020年3月11日にCOVID-19をパンデミックと宣言しました。
ヒトにおけるCOVID-19のデータは着実に出てきていますが、SARS-CoV-2の発症メカニズムの一部は、サンプリングと組織採取を繰り返すことが可能な動物モデルでのみ詳細に研究することができます。
我々は、SARS-CoV-2がアカゲザルに8日から16日間持続する呼吸器疾患を引き起こすことを示します。ヒトのCOVID-19の特徴である肺浸潤は、肺のX線写真で確認できました。すべてのアカゲザルの鼻と喉のぬぐい液と気管支肺胞洗浄液から高いウイルス量が検出され,1頭のアカゲザルでは直腸での長期間の排菌が観察されました.
このように,アカゲザルは,ヒトのCOVID-19の症例の大部分で観察される中等症の状態を再現しています.アカゲザルをCOVID-19のモデルとして確立することにより,本疾患の病態の理解が深まり,医療対策の開発および試験に役立つと考えられます。

要約からして「再現に成功した」と自信に満ち溢れていることが伝わってくる。

では、その実験手順と、投与したウイルスの調製方法の部分を参照したい
※論文の構成は、実験手順(研究デザイン)→ウイルスの調製(ウイルスと細胞)の順となっているが、敢えて前後逆に掲載する

★ウイルスと細胞
SARS-CoV-2 分離株 nCoV-WA1-2020 (MN985325.1)14 (Vero passage 3) は CDC の好意により提供され、
2%牛胎児血清(Gibco)、
1mM L-グルタミン(Gibco)、
50U/ml ペニシリンおよび
50μg/ml ストレプトマイシン(Gibco)を加えた DMEM (Sigma) で VeroE6 細胞で一度増殖した(ウイルス分離用培地)。

使用したウイルスストックは、最初に寄託されたgenbank配列(MN985325.1)と100%同一であり、汚染物質は検出されなかった。

VeroE6細胞は、
10%子牛胎児血清、
1mM L-グルタミン、
50U/mlペニシリンおよび
50μg/mlストレプトマイシンを補充したDMEM中で維持した。

中和のため、
 血清は熱不活性化し(30分、56℃)、
 2%DMEMで2倍連続希釈液を調製した。
その後、100 TCID50のSARS-CoV-2を添加した。

37℃で60分培養後、ウイルス:血清混合液をVeroE6細胞に加え、37℃、5%CO2で培養した。5dpiで、細胞変性効果をスコア化した。
ウイルス中和価は、依然としてウイルス複製を阻害した血清の最高希釈度の逆数で表した。すべての血清は二重に分析された。

★研究デザイン

SARS-CoV-2のモデルとしてのアカゲザルの使用を評価するため、8匹の成体アカゲザル(雄4匹、雌4匹、年齢4〜6歳)に、
滅菌DMEMで4×105 TCID50/ml(3×108ゲノムコピー/ml)のウイルス希釈液を
鼻腔内(0.5ml/鼻)、
気管内(4ml)、
口腔(1ml)、
眼(0.25ml/眼)
の組み合わせにより接種を実施した。

私はウイルス学に通暁しているわけではないので詳細は不明だが、この記述だけではウイルス以外の抗生物質を一緒に投与しているようにしか読み解けない。それでなくとも雑物が多そうだ。ただでさえペニシリンだけで間質性肺炎の報告があるのだから非常にややこしい。

Casimire, T. & Gerolemou, L. (2011). Penicillin Induced Vasculitis Progressing to Usual Interstitial Pneumonia; A Novel Experience. Chest, 140 (4_MeetingAbstracts), 110A. doi: 10.1378/chest.1112227.


また、茶番デミック様のブログにもあるが、細胞変性効果はウイルス自身の毒性によるものではなく、抗生物質の効果である可能性が高い。従ってここでいう「ウイルス粒子」は、Vero細胞側から生じたものである可能性がある。

が。ここでは触れない。これが所謂アチラ側の言う「分離」工程だ。ここは百歩譲ってあげるのだから次に行くことにする。

そして問題の記述がコレだ。

滅菌DMEMで4×105 TCID50/ml(3×108ゲノムコピー/ml)のウイルス希釈液を
鼻腔内(0.5ml/鼻)、
気管内(4ml)、
口腔(1ml)、
眼(0.25ml/眼)
の組み合わせにより接種を実施した。

純粋に疑問なのだが、その希釈液にウイルス粒子がいるのだとしたら、この工程は「ワクチンの経口・経鼻投与」と何が違うのだろうか?その上点眼までしているのだ。アジュバントがいないだけで、ハッキリ言って虐待にしか見えない。

従ってこの実験手順は自然な生活場面に即したものではなく、これは「ワクチン接種そのもの」だと考えられる。するとワクチン関連の有害事象の可能性が浮上する。まさにこの症状は「ワクチン関連呼吸器疾患(Vaccine-associated Enhanced Respiratory Disease :VAERD)」と呼ばれるものだと考えられる。

ワクチン関連呼吸器疾患(VAERD)または単に呼吸器疾患増強(ERD)とは、対照群に比べワクチン接種群で呼吸器疾患の増悪した経過が高い発生率で起こる有害事象を指します。ワクチン開発における障壁の一つであり、ワクチン開発の失敗につながる可能性があります[1]。

免疫学的には、VAERDはTh2反応の亢進と好酸球性肺浸潤を特徴とし[2]、抗体を介した補体活性化とそれに続く弱い中和の結果として生じると考えられています[3]。
過去には、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、SARS-CoV、中東呼吸器症候群(MERS)のワクチン候補や、一部のインフルエンザ株でこの現象が確認されています[1][4][5]。

・Th2反応亢進
・好酸球性肺湿潤
この二点がキーワードだ。先の論文にも同じ症状が観測されている。

間質性肺炎
3dpiと21dpiに、1グループ4匹を安楽死させ、剖検を実施した。3dpiの時点で、すべての動物で程度の差はあれ、肺の肉眼的病変が観察された(図3aおよびc)・c)。21dpiの時点でも、4匹中2匹の動物の肺に肉眼的病変が見られた(図3bおよびandc).c)。さらに、すべての動物は、肺水腫を示す健康なアカゲザルと比較して、肺重量:体重比が増加していた(図3d)。

組織学的には、3dpiに安楽死させた4匹中3匹に、ある程度の肺病理が見られた。病変は多巣性で(Extended Data Fig. 4a)、軽度から中等度の間質性肺炎であり、終末細気管支を中心とすることが多かった。肺炎は、浮腫液とフィブリンによる肺胞隔壁の肥厚少量から中程度の数のマクロファージと少数の好中球が特徴であった。中等度の変化を示す肺では、肺胞の浮腫とフィブリンが見られ、ヒアルロン酸膜の形成が見られた。

II型肺細胞の過形成はごくわずかであった。気管支には好中球、マクロファージ、好酸球の浸潤を伴う上皮の壊死、消失、減退が見られることもある。多発的に、血管周囲のカフを形成する少数のリンパ球の血管周囲への浸潤(拡張データ図4b)および気管支関連リンパ組織の最小から軽度、多発性の過形成がみられた。3dpiの4匹中3匹に、肺と胸膜の線維性癒着が見られた。組織学的評価では、これらは小さな血管が散在する成熟したコラーゲンから構成されていた。したがって、これはSARS-CoV-2感染に関連したものではなく、慢性的な変化である可能性が最も高い。上気道には、少量の好中球の浸潤を伴う呼吸器上皮の多発性扁平上皮化が認められ、炎症は最小限から軽度であった(Extended Data Figure 5)。

血清学
血清中のSARS-CoVスパイクに対するIgGの発現をELISA法で解析した。10dpiまでに、4匹の動物すべてがSARS-CoV-2スパイクに血清変換した;中和反応も10dpiで現れ始めた(拡張データ図9)。興味深いことに、最も低く最新の中和抗体反応を持つ動物は、腸管からのウイルス排泄が長引いた動物であった。

拡張データ図9
SARS-CoV-2に感染したアカゲザルの抗体反応。
接種後に採取した血清について、ELISA法でSARS-CoV-2スパイクに対するIgGの存在を調べ(a)、微量中和アッセイで中和抗体の存在を調べた(b)。
すべての血清は二重に分析された。
この原稿の図を通して、同一の動物を示すために同一の記号が使用されている。

以上をまとめると

疾患:終末細気管支を中心に軽度から中等度の間質性肺炎
病変:浮腫液とフィブリンによる肺胞隔壁の肥厚
免疫:少量から中程度の数のマクロファージと少数の好中球、
   好酸球による上皮の壊死
   ヒアルロン酸膜の形成

つまり肺胞の線維化が生じていることが読み取れる(間質性肺炎だから当然だ)。血清中のIgG抗体の検出と好酸球による肺湿潤の一致からVAERDに酷似しているといえるが、更に踏み込んでいく。

肺胞の構造

肺胞は終末細気管支から繋がる外気と血液のガス交換をあずかる器官である[1]。肺胞を持つ細気管支を呼吸細気管支という[1]
肺胞はガスを溜める肺胞腔と、これを囲む肺胞上皮からなる。肺胞上皮はI型肺胞上皮細胞II型肺胞上皮細胞からなる。前者は、肺胞を取り囲む毛細血管内皮細胞と基底膜を介して血液空気関門を形成し、肺胞内ガスと血液ガスの交換を行う。後者は、層板小体を多く含み、肺サーファクタント(肺胞界面活性剤)を開口分泌し、肺胞被覆層を形成している。肺胞一つの大きさは100〜200μm(0.1㎜〜0.2㎜)くらい。肺胞は中隔孔により互いに交通している。

肺胞-Wikipedia

つまり毛細血管が集中し、血液とガスの交換が行われる部位であり、故に血液の濾過構造を持ち、つまり「もしも血 中 を 異 物 が 漂 っ て い た 場合、損傷を受けやすい部分」といえる。

抗体が為すこととは?当然抗原(異物)との結合である。そしてこのアカゲザルには、「SARS-CoV2スパイクとIgG抗体の複合体」が生じている。抗原と抗体の複合体、免疫複合体(Immune Complex)である

アレルギー(Wikipedia)-アレルギー反応の分類より

このことから、免疫複合体由来のアレルギー疾患である可能性が浮上する。

免疫複合体疾患の必須の特性は、循環系か腸液で形成される抗原―抗体複合体によって生じる点である。形成された複合体は多くの場合は、細網内皮細胞と血中の白血球の貪食作用によって無害な終末産物へ溶解・分解されるが、小片がこれらの細胞から免れると、糸球体や血管のような人体の濾過構造を持つ部位に蓄積していき、そこで傷害を引き起こす。

この蓄積は明らかに、解剖学的・生理学的な要因であって、免疫学的要因ではなく、傷害・病的部位は原因となる抗原や抗体との免疫学的関連性を持たない
(中略)
免疫複合体の病原性は、大部分が抗原と抗体の比率によって決定される。つまり、大きさや抗体の生物学的特性である。

従って、この疾患が免疫複合体由来であれば、抗原の性質は無関係であり、故にSARS-CoV2単体の病原性証明にはならない。

そして、アカゲザルに生じた疾患は、著者が

SARS-CoV-2がアカゲザルに8日から16日間持続する呼吸器疾患を引き起こすことを示します

と主張していることから、8日目頃から症状が出現していることが伺えるが、8日目とは丁度免疫複合体が生じ始める時期であり、血中の免疫複合体の循環に一致して宿主は病状を呈することになる。

投与左上から抗原量の減衰、濃い領域が免疫複合体の生成量、13日目頃から遊離抗体が出現する

循環する血清タンパク抗原の運命は、血管内外の抗原量が平衡状態にある初期の二日間と、後に一週間以上持続する緩やかな減少が続き、この期間中抗原は非免疫学的に分解され、最後に急速な末端の免疫除去に特徴づけられる。

循環する抗原抗体複合体の数値は、免疫除去が開始する直前の8日目に出現し、その後2-3日間に増加する
(中略)
一度抗原が除去されると、循環系に遊離抗体が出現する。循環性複合体の出現に一致して、臨床・組織学的に血清病症状が生じる。循環性複合体の除去の後に血清病症状も消失する。

症状の出現時期・期間まで一致した。後は組織の線維化と免疫細胞のみである。

この免疫複合体は、組織に沈着したその時点で、補体や白血球の走化性因子を放出することが知られている。

複合体が糸球体、動脈などに沈着し始めるに連れて、補体も活性させ、補体由来の走化性因子は、局所組織破壊を引き起こすタンパク分解酵素と塩基性タンパク質を放出する多形核白血球を引き寄せる

※多形核白血球
 白血球の中の一群で,顆粒球が属する.顆粒球は,好塩基球,好酸球,好中球をいい,特に好中球をいう場合が多い.

コトバンク

以上より、障害部位での好酸球の湿潤、好中球の検出が説明可能である。

"特発性間質性肺線維症: 免疫複合体疾患か?"

特発性間質性肺線維症と血清抗核因子を併発した患者の生検肺を免疫蛍光法で調べたところ,両者の肺胞壁に免疫グロブリンGが存在し,一方の肺胞壁には補体の第三成分が存在した.両患者の血清抗核因子活性は免疫グロブリンGに限られており,これは肺胞壁に沈着した免疫グロブリンのクラスと一致した.抗核因子と核内抗原からなる免疫複合体は,間質性肺線維症の病態に関与している可能性がある.


以上より、コッホ原則のそれぞれに反駁すると以下の通りだ。

1.ある一定の病気には一定の微生物が見出されること
 
 ➡「健康体に見出されないこと」が証明されていない
 :無効
2.その微生物を分離できること(※今回除外)
3.分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること
 
 ➡「同じ」病気ではない上に、実験手順がアレルギー疾患を誘発するもの
 :無効

4.そしてその病巣部から同じ微生物が分離されること
 
 ➡「抗体との結合」が無視されており、検出されたのは病原体ではなく「免疫複合体」
 :免疫複合体の病理は、抗原の生物学的性質に依らず、単純な大きさによるものであり、またそれ自体が、補体や多核白血球を誘導する組織障害の誘因
 :無効

従ってこの論文で引き起こされた疾患は宿主の免疫反応に由来し、これは新型コロナウイルス固有の症状ではなく、故に新型コロナウイルスは1~4のいずれにおいても満たされていない

また、百歩譲って、③に関して、COVID-19がアレルギー疾患であり、ウイルス疾患だとして、確かめなければならないことがある。

①疾患が純粋にウイルスによって引き起こされたものであるかを確認する、「ウイルスを使用しない」対照群を設定した再実験
②「無症状感染者」を二週間放置して経過観察(=前向きコホート)し、この実験で観察された疾患(間質性肺炎)が自然発生することを観測

以上2点である。この実験がなされない限り、この論文を根拠に国民に人権侵害甚だしい感染対策を強要することは断じて許されない。

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