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【トナリ滞在型プログラム】大学生にインタビュー記事を書いてもらった

大阪駅から電車で約3時間。和歌山県にある海沿いの小さな町、美浜町。
そこに可愛いセルフビルドのお店「道草屋」があります。
筆者である私、建木紫邑は大学の夏休みに「わかやまCREW」から道草屋さんのプログラムに申し込み、その活動の一環として記事を書かせていただきました。
筆者が訪れた9月上旬はまだ夏の日差しが残るけれど秋の風も感じられる快晴の3日間でした。

モノづくりユニット道草屋

インタビューを受けてくださったのは道草屋の片桐秀典さんと華奈さん。
海と山に囲まれたこの場所で自らの手でお店を作り上げてきました。
お店は秀典さんが作り、お料理や布もの商品は華奈さんが作っていらっしゃいます。

秀典さん:
「ここを建ててやり始めたのは3年前。元々道売りで自分達でアクセサリーとか作って道で売るところからスタートしていてその時に「道草屋」という屋号をつけたんです」

道草屋さんの名前の由来を聞くと想像していたよりも至ってシンプル。
秀典さん:
「2人で名前を考えていて、響きがいい感じだったとか漢字の名前にしたいとか。いろいろなイベントに出展するので、長いと読みにくないようにとかそういう理由だったと思います」

筆者は「道草」がふらっといいものに出会うみたいな印象があるのでお二人が直感的に決めた店名が「道草屋」であるということに感心してしまいました。

道草屋以前のお話を聞くとそこには大きな人生ドラマがあります。
秀典さん:
「俺はひとりでメキシコでそういうアクセサリーを作って道で売ってて。華奈はバックパッカーで。メキシコで出会ったって感じ。」
華奈さん:
「私は学生の時に初めて自分でチケットを取ってバリ島に旅行に行ったことから旅にハマって、お金を貯めては旅に出るということをしていました。ヒデ君と出会った時は先住民の刺繍や織物を巡る旅をしようとアジアからインド、メキシコの方にウロウロしていた時でした」

メキシコで出会うなんて素敵となんとなくロマンスを感じてしまう筆者です。

秀典さん:
「この場所で道草屋を始めたのは道草屋の流れの中では3ステージ目ぐらいなんです」

現在もお店以外にいろいろなイベントに出店したり、華奈さんはお友達と共にマーケットを開いたりなどもしているかなりアクティブなお二人です。

華奈さん:
「『コミーダリンピア』という名でオーガニックマーケットを開催しています。これはメキシコで開催されていたものを模倣しています。大体月1開催で、もう3年ぐらいやっています」


着地したくなった場所

秀典さんも華奈さんも旅人でいろいろな場所を飛び回る人でした。

秀典さん:「旅人は旅好きで旅を始めますがずっと旅暮らしをしてるとどこかに着地したくなるんです。自給自足や畑やりたいとかそういうのって旅しながらってなかなか難しい。そういう暮らしにだんだん引き寄せられて行くから、あるタイミングでみんなどこかいいとこ探し始めるんです」

この場所で「着地する」ことを選んだのがきっかけをお聞きすると「関西圏で海が近いこと」。海というのが大きな決め手だったそうです。

秀典さん:
「自然の恵みで生きていこうと思ったらここなのかなと。この場所は海も山もどっちもありますしね。山より海の方が活発なイメージがあってそれがいいなと思ったね」

華奈さん:
「海の近くに住みたくて、ヒデくんも畑とか出来たらいいなって言ってたから」

受け入れるではなく関わり合う

この場所には過去に交流をもった旅人や仲間たちも何ヶ月も滞在してということがざらで、今回「トナリ」を作っていくにあたって、人と共に繋いでいくことは必然であったそうです。これは「受け入れる」ということではないのだと言います。

秀典さん:
「元々メキシコでも宿をやってて、旅人が行き来していて。だから今回の募集も特にようこそ受け入れますみたいな意識はないかな」

関わりを大切にする姿勢は過去の旅をしていた経験からもあるのではないかと言います

華奈さん:
「メキシコで宿をやっていた時から意識するようになったのかもしれません。その時にたくさんの人と知りあっていろんなところに知り合いがいるのっていいなと思ったんです」

確かに最初に秀典さんと出会った時初対面の壁を感じる暇もありませんでした。
駅に迎えにきていただいた時に思い出した、一番近い感覚としては親に塾に迎えにきてもらった時のあたたかくもそのことが当たり前であるというあの感じでした。

それは片桐さんご家族に限ったことでもなく、初日の夜に参加させていただいた、
秀典さんのバンド仲間とその集まりの「クックの日LIVE」(メンバーの方にクックさんがいて、9月9日(クックの日)だったのでライブをしようと集まった会)でも強く感じました。
誰もよそ者である筆者を意識しすぎず、でも興味を持ってくれる居心地の良さというのでしょうか。
とにかくごちゃ混ぜな感じが漠然としたなんかいいなという感覚を生んでいました。

そのことをお伝えすると
秀典さん:
「人と会うのは当たり前だし来たり行ったりするのも当たり前。そういう人達の中で生きているからあんまり受け入れるとかを意識していないのかもしれないですね。助け合っていこうねだったりとか関わり合っていこうねみたいなのが根底の考え方かな。」

つくるを楽しむ

今回筆者は冒頭でも述べたとおり、「わかやまCREW」を利用し、2泊3日間で滞在させていただく代わりにトナリの運営開始のお手伝いをさせていただきました。

「トナリ」という場所が目指していくもの。それは片桐さんご夫婦の活動の芯の部分である「つくる」を体感してもらうことです。そして体感した人を場所やある瞬間でも繋がるきっかけは用意し、人と人が関わり合うような繋がりを作ることだと言います。

秀典さん:
「『トナリ』の準備段階から繋がり作りみたいなものを導入したいと思っていたんです。「つくる」っていうのは本当に幅広くて、俺らは衣食住をクリエイトすると言ってるけど、バンドやってたら音楽を作るとか、オーガニックマーケット主催するとかの場を作るとか、いろんなものに言えますね。
ありとあらゆるものを作るっていう視点で捉え直すことができるんだよね。いろんな人がいろんなものを作って楽しめる場所にしたいです」

今後の展望はありますか

秀典さん:
「短いスパンはとりあえず宿を走らせ始めること。あと、この村には買い物するところが1軒もないから普通の商店を復活させようと動き始めています」

「長いスパンの話だとまた旅するとかかなあ。あんまりこの場所に縛られるっていうビジョンもないです。一応決めたけど、全然動く気満々。今後もまた自分の場所を探したり作ったりするのに動くかもしれない」

華奈さん:
「小さいことだと「トナリ」の家のランプシェードを編みたいなと思っています。」

「長いスパンだと、ベースはここでやりたいことをちょこちょこ膨らませていく感じかな。
あとは海外に行きたいのはある。子どもも大きくなってきたし、元々買い付けして売ったりしたかったからそれをやりたいかも」

パワフルに動き、ワクワクを忘れず毎日を駆け抜けているお二人に出会えたこと、そして美浜の美しい海と豊かな自然のなかで過ごせたことがとても有意義に感じた3日間でした。


文:建木紫邑
撮影:建木紫邑
京都芸術大学3年生。
夏休みにわかやまCREWを利用し、道草屋に3日間滞在。
滞在中はクラウドファンディングのチラシ作り、インタビュー記事書き、リノベーションのお手伝いを行う。買ったお土産は手作りの金山寺みそと梅ワイン。


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