『ばらの花』 くるり
白い写真だけを撮りに、たっぷり片道二時間半、くるりを聴きながら電車にゆられる午後。
『ばらの花』が、この旅を盛り上げてくれる。
『安心な僕らは旅に出ようぜ』
最近雪が降った。 初めて降り立った、この遠く離れた場所にも白く積もっている。
錆びて朽ちていく白いフェンス 名前のよくわからない白い花 真っ二つにひび割れた白い壁 連続していく白いボルト
さまようように凍えていく足指
ふと、コーヒーの香り。 暖を取りに喫茶店に入る。 あの人は喫茶店が好きだった。
初めてなのに懐かしさを感じる店内で、クリームをかき混ぜるたび、忘れていた何もかもが蘇りはじめる。
『あんなに近づいたのに 遠くなってゆく』
ふいにやって来た淋しさで、 どうにかなってしまいそうになる。