『白いしるし』 西加奈子
また、『この物語を読みたい』と思う、そんなときがやって来てしまったので、ここにこの感想というか、想いを残しておこうと思う。
私にとってこの作品は、恋愛で苦しい、恋が終わった、など絶望を更に濃くしたい時に、自分にオススメしてしまう定番物と化している感がある。
このお話は
『悲しい』
『苦しい』
『辛い』
『なんで私じゃ駄目なの』
『私は友達以上にはなれないんか』
『可愛くないからか』
と絶叫する自分を更にえぐりたい、というドMの私が、ついつい読んでしまう失恋の物語。
読んでるとひたすらに辛い、えぐられる。痛、痛、出血!って感じだ。
そんな辛い思いをしてでも、読み進めてしまう理由はこの作品に漂っている白い気配。
白は希望の色。
物語の最後に発光した白は、主人公の夏目の次に、私を、救ってくれる。
物語はまだ痛々しさを残し、終わる。けれども、最後にこの白い光を見れるから、私はこの小説を読んでしまうのだ。私の大好きな『白』を浴びるような感覚。
そうだった、そうだった。
それをいつも忘れてしまっているのだった。