インプロの視点ーがんばらないこと①ー
ミテモの堀です。本日からブログを通したインプロ・ワークショップ実践をしていこうと思います。最初に扱うテーマは今後、このワークショップが回数を重ねていくにあたっても、非常に重要なことになる私からの「お願いごと」みたいなものです。
がんばらない
それは、「がんばらないでください」ということです。人間とは逆説的な生き物です。皆さんが持っている力を"がんばって"発揮しようとすれば、発揮できません。むしろ、"がんばらない"方が、皆さんが本来持っている力を最大限発揮することができます。今回は、これを実際に体験してみようと思います。
今後このブログでワークショップを受けるに当たって、皆さん自身も、ぜひ「がんばらない」でください。やりたくない日はやらなくていいですし、やらなかったことで自分自身を責めたりしないでください。たとえ、ここで行われたワークショップが効果がなかったり、実践することで皆さんになにかしらネガティブなことが起こったら、それは皆さんのせいではありません。
私のせいです。その時は私を責めてください。インプロについてプロフェッショナルである私が、皆さんに要求したことで皆さんにネガティブなことが起きるのであれば要求した私の責任です。もし、私のせいにすることが憚られるのであれば、景気や、寝不足などのせいにしてください。自分自身を責めないでください。「がんばらないと」と思って無理やり実践しないでください。「やりたいな」と思ったら、実践してみてください。
ワーク
では、本日のワークに入っていきます。電車内で読まれている方、信号待ちで読まれている方、オフィスで読まれている方、お家で読まれている方でも共通してできるワークにしているつもりです。
まず、鼻をすすってください。2回。
次に、まばたきをしてください。
次に、左右を見てください。
ありがとうございます。
では次にちょっとやり方を変えてみようと思います。
まず、”頑張って”鼻をすすってください。2回。
次に、”頑張って”まばたきしてください。
次に、”ベストを尽くして”、左右を見てください。
どうでしょうか、
1回目と2回目、どちらがやりやすかったですか?
どちらの方がスムーズに目標(鼻をすする、目を閉じる、左右を見る)を達成できましたか?
”頑張る”ことは、それぞれの動作の手助けになったでしょうか?
特に変化を感じなかった人もいらっしゃるかもしれません。そういった方々へは、同様のワークを試しやすいご友人などに向けてやってみてください。そして、1回目と2回目の違いをよく観察してみてください。”誰かに見られている”という状況の方がより違いが出やすいと思います。
”がんばる”とはどういうことなのか
多くの場合、人は「頑張ろう」とするとよりたくさんの筋肉を使おうとします。その結果、2回目の方法では本来使わなくてもいい筋肉も使用することになり、動きが「ぎこちなく」なったり、「固く」なったりします。そのため、「頑張ってまばたきしてください」と言われると、眉間にしわが寄ったり、1回目よりぎゅっと強くまばたきをしたりと様々な”がんばっていることを伝えるための工夫”がみられます。
「頑張って」という言葉がつくことで、「頑張らないと」とか「頑張るにはどうしたらいいか」というような雑念が働き、その時にはもう「まばたきをする」ことは考えていません。「いかに自分が頑張っているか」というパフォーマンスをすることに意識が向いてしまっています。
次回は、頑張っている時に私たちに起こっていることについて、より詳しく考えていこうと思います。
【参考文献】
ガルウェイ,W.T.(後藤新弥(訳))『インナーテニス―こころで打つ!!』日刊スポーツ出版社,1978年
Johntone, K. Impro for Storytellers:Theatresports and the Art of Making Things Happen. Faber & Faber, 1999.
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