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Sleeves At An Exhibition 02: 10cc「Deceptive Bends」(1977)

オリジナルアートワーク
Illustrated By mitch ikeuchi

10cc「Deceptive Bends」

概要

1972年にイギリスで結成された10ccのオリジナルメンバーは、2023年現在もグループを率いているグレアム・グールドマンに、エリック・スチュワートケヴィン・ゴドレイロル・クレームの4人。全員がマルチミュージシャンでソングライターという職人集団。このアルバムは3rd「The Original Soundtrack」(1975)の大ヒットのあと「How Dare You!」(1976)リリースを経てゴドレイとクレームが抜け(この二人は10cc脱退後Godley & Cremeとして実験的なアルバムをリリースしたり、映像を作ったりしています)、グールドマンとスチュワートのふたりになってから初のアルバムで(正確には途中までゴドレイとクレームは関わっていたようです)、バンドにとっては5枚目になります。スリーブアートワークは2nd「Sheet Music」(1974)よりバンドのアートワークを手掛けているHipgnosisによる印象的なビジュアルで、レーベルはMercuryからのリリースです。

アルバム/楽曲解説

一般的に10ccの代表作は3rd「The Original Soundtrack」であることは10ccをご存じの方なら異論は無いと思われます。しかし、個人的にはケヴィン・ゴドレイとロル・クレームの実験的な志向が苦手で「The Original〜」にはそれほどハマらなかったのですが、わかりやすくポップな本作は何度も聴きました。ぼくとしては10ccを初めて聴く方にはまず本作をオススメします。

70年代前半にシーンを席巻していたプログレッシブ・ロックのバンドたちが、70年代後半のパンクやニュー・ウェーブの台頭もあり徐々にコンパクトかつポップな音楽性を志向していくのに符合するように、10ccも微妙に変態的な音楽性だったのが元来から持っていたポップ志向をより前面に出してきたのが本作で、前作までの緻密なアレンジセンスはそのままに、よりストレートかつポップで華やかな内容になっていると思います。ぼくとしては、後期ビートルズ、とりわけポール・マッカートニーのファンの方に聴いていただきたいアルバムです。

  1. Good Morning Judge
    アルバムの冒頭を飾るロックナンバー。リズムが印象的な楽曲。

  2. The Things We Do For Love
    バンドとしても代表曲である"I'm Not In Love"に次ぐ有名な楽曲であり、ぼくが10ccを聴くようになるきっかけになった曲。コンパクトにまとまっていますが、メロディラインといいアレンジといいコーラスワークといい非常に完成度が高いです。日本でもソニーのCMソングになっています。

  3. Marriage Bureau Rendezvous
    叙情的なメロディが印象的なバラード。コーラスのハーモニーが聴いていて気持ちが良い。

  4. People In Love
    3曲目の雰囲気を引き継ぐかのような叙情的なバラード。ストリングスのアレンジが美しい。

  5. Modern Man Blues
    「Blues」と曲名についているようにコード進行もアレンジもヴォーカルもブルースっぽいですが、よく聴くとやはり10ccならではの変態ポップ。コーラスが賑やかで聴いていて楽しい楽曲。

  6. Honeymoon With B Troop
    これも変態ポップ。リフとサビのコーラスが耳に残る楽曲。

  7. Bought A Flat Guitar Tutor
    ジャズっぽい?落ち着いた雰囲気のポップナンバー。

  8. You've Got A Cold
    このアルバムの中では比較的ヘヴィなロックナンバー。

  9. Feel The Benefit, Pt. 1–3
    アルバムの最後を飾るにふさわしい長尺の楽曲で、3つの楽曲からなる組曲。11分以上あるにも関わらず緻密なアレンジと目まぐるしく変わる曲展開で長さを感じさせません。ラストのギターソロがまた感動的です。


楽曲リンク


アルバム詳細情報

Wikipedia (ja)
Wikipedia (en)
Discogs

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