転がる石の上機嫌 #5
◎ 泉 ◎
その森に
足を踏み入れた瞬間
自分の名前も 年齢も
住んでいた場所も
何もかもすっかり
記憶から消え失せた
心から欲していたのは
静寂と 木陰と
渇きを満たしてくれる
澄んだ泉の水だけで
森の奥へ
さらにまた奥へと
ゆっくりと 歩を進める
柔らかな土と
硬い石が入り混じる道を
ひたすらに歩き
木漏れ日がやさしく降り注ぐ
その場所に
ようやく それを見つけた
光を受けて 湧き出でる
清らかな水の かたわら
安堵と 疲労と 喜びで
倒れ込むように 身を横たえ
ゆっくりと 瞼を閉じた
鳥の聲さえ 聞こえない
静寂の中で
わたしは 誰でもない
ひとつの物質になる
頬に
ひんやりと
風を受けて
ゆっくりと 深い
眠りに落ちてゆく
・・・・・
人と会う。遠くに出かける。
本を読む。文を書く。
どれもとても好きなことなのに、いつからかとても消耗したり、うんと時間がかかるようになってしまいました。
そろそろそういう時期なのかな…?とあまり気にせず過ごしていたのですが、4月頃から少し心配な症状があり病院で検査したところ、頸椎に異常があるとのこと。
おそらく頸椎ヘルニアか脊柱管狭窄症だろうということで、近々整形外科で治療を受けることになりそうです。
ヨガの自主練で数回首を痛めた過去があったり、ここ数年はスマホやパソコンを使ってのインプットやアウトプット、そして俯いて文を書く作業などで知らずのうちに負荷をかけていたのかもしれません。
好きなことに存分に打ち込めないのはとても残念なことだけど仕方ないですね。
養生しながら治療に努めます。
健康に 勝るものなし 燕子花
(by 即興俳句)
雨の多い季節になってまいりましたが
読んでくださっているあなたも、
どうぞご自愛してお過ごしくださいね。
毎月の更新はもしかしたら難しくなってしまうかもしれませんが、ゆるりと続けてゆく予定なので、お気が向いたらまた読みに来てくださると嬉しいです。
傷が癒やされて新たな力が湧くという
"生命の水" 。
ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』に出てくるこの泉を今、自分はとても欲しているような気がします。
怪我と疲労で傷ついたアトレーユとフッフールが、この泉のそばで眠りながら治癒されたように。
・・・・・
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ブログ「転がる石の上機嫌」
おもに本や映画や日々のこと。 ときどき、ヨガのこと。 読んでくれたあなたに、上機嫌で良いものを 届けることが出来ますように。
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