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なぜ議員は議場で寝るのか【三世議員のゆる政治エッセイ Vol.9】

 一般質問の通告をしてきた。質問の通告は、本会議でおこなう質問を事前に文書で区当局に提出することで、国会では質問日の2日前の正午まで出せばいいのだが、新宿区議会では1週間前(5営業日前)が提出期限になっている。

◆学芸会化する本会議

 ところで来週18日から区議会が始まり、初日に区長が今年一年の施政方針を演説する。普通に考えれば、その演説を受けて質問を作るのが筋だが、スケジュールの都合で所信表明の前に質問の提出は終わっている。

 区長の施政方針の演説原稿は直前に紙で配られ、区長は議場で原稿を読み上げ、議員はそれを聞く。後日、質問を行うが、これも事前に通告した文書を議員が読み上げ、区長が答える。区長の答弁は確認が可能なので、聞き逃しても特段の問題はない。

 ようするに本会議場では区長や議員たちの原稿の朗読劇が繰り広げられていている。これが「議会の学芸会化」といわれるゆえんで、聞いてる方は体調や朗読者の抑揚によっては眠くなる。ただ、議事録や手続き上、絶対にやらなければならない儀式でもある。

 まぁ実際はみんなが寝てるわけでもないし、聞いていないわけでもない。むしろ他にやることがない(本や電子機器は持ち込み禁止)ので大多数が聞いている。マスコミが面白おかしく取り上げたいために寝てると報道される。

 そもそも日本の議会は「委員会方式」をとっており、実質的な審議は本会議ではなく、委員会で行われる。新宿区議会の委員会審議は時間無制限のフリートーク方式で、質問の通告もしなくてよい。ガチンコバトルがみたければぜひ委員会の様子を見て欲しい。

◆祝詞(のりと)よみ/お経よみ

 議会では手続き上、また議事録に残す必要上、審議する議案を区長が説明する。議員は事前に何度も説明を受けているので、議場であらためて説明されるまでもなく、この儀式は「祝詞(のりと)よみ」、「お経よみ」と言われている。聞いてるようで聞いていない、聞いていないようで聞いている、という意味で法事でのお経や、神事での祝詞にたとえられているのは言い得て妙だ。

 議案の内容が濃かったり、議案が多くなると説明時間も長くなる。たとえば予算特別委員会の冒頭では、予算の金額をひとつひとつ説明するので50分(約1万5千文字)の祝詞よみが行われる。長いお経や、長い祝詞を想像してほしいが、これも体調次第で眠くなる。(↓祝詞の事例)

2024年2月の予算特別委員会の祝詞よみ(議事録より)
これが50分ほどつづく

 なお、新宿区議会では2月27日から予算特別委員会が開催される。予特は議員の能力やレベルが丸わかりになるのでしっかり準備して臨みたい。

(関連リンク)
お経を読んで、打席、寝て、起きて… 不思議な言葉があふれる国会(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQDV6JJ4QDRUTFK00V.html

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