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見下しコンテンツ論

世の中には人を見下すことによって楽しむコンテンツが多数存在する。自分よりも困っていたり、貧しかったり、頭が悪かったり、四苦八苦している人たちを笑って楽しむ。同情して楽しむ。かわいそがって楽しむ。自分の方がまだましだと安心感を与えてくれるテレビやラジオ、映画は少なくない。

ノンフィクション番組でクズ芸人に密着したり。大家族の日常を追いかけたり。「笑わせる」タイプではなくて、馬鹿なことやったり、太っていたり、不細工なことをうりにする「笑われる」ことを主とする芸人もいる。

恋愛リアリティーショーなどもその類かもしれない。うまく自分の気持ちを伝えられない人もいるし、感情的になる人もいる。不器用さを応援したくなるような登場人物もいるし、「絶対無理」だと蔑みの視線を送る対象もいる。

オリンピックとは真逆に運動神経の悪い人を笑い飛ばす企画も人気だ。

昔から虫どうしや犬、鳥を戦わて一喜一憂するのも見下しに近いのかもしれない。

漫画「カイジ」で兵頭会長は言っていた。「安心こそ最高の愉悦」だと。

安全な立場から、あーだこーだ言う。「今の自分の方がまだまし」と自己肯定感につながる見下しコンテンツの需要は高い。

タチが悪いのは、笑われる立場の人ほど見下したい欲求が強いこと。確かに自分の方が「まだマシ」だと思いたい気持ちがあるのだろう。「上見て暮らすな、下見て暮らせ」という言葉とある。見下しコンテンツは精神衛生上必要なのかもしれない。

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