『雑感109』 サプライチェーン、経済安全保障とは?


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(4月3日記)

今回のテーマは、サプライチェーン、経済安全保障」です。

この言葉自体は、皆さんも度々、目にしたことがあるでしょう。
えっ、ない?それは珍しい!
もっとニュースやメディアに関心を持って下さい。自分の世界を広げるためです。
一回しかない人生ですから、狭い世界で生きるより、広い世界で生きた方がいいでしょう。

経済安全保障とは、

①国民の生存に必要不可欠、又は広く国民生活や経済活動が依拠いきょしている
②外部に過度に依存、又は外部に過度に依存するおそれがある
③外部から行われる行為による供給途絶の蓋然がいぜん性がある

という物品につき、欠くことがないように準備・整備することがあり、そのためにサプライチェーンの強靭化きょうじんかにつき、法律や制度を定めています。

その一つとして、令和4年12月に「特定重要物質」として11品目を指定したのです。その品目とは、

抗菌性物質製剤 
肥料 
永久磁石 
重要鉱物(レアメタル)
半導体
蓄電池
クラウドプログラム
天然ガス
工作機械・産業用ロボット
船舶の部品
航空機の部品

です。

さらに令和6年1月30日に「ウラン」と「先端電子部品」を追加しています。
後者は、コンデンサと高周波フィルタです。
電子機器に組み込まれ、生活に不可欠なものでした。
コンデンサは、ノイズ除去、電圧安定化に必要で、あらゆる電子機器に入っています。
スマホなら約1300個、EVなら1万個も使われているのです。

このコンデンサ、工作機械・産業用ロボット、防衛装備品に使われるハイエンド品については、日本企業が高い世界シェアを保っています。
ですが、ローエンド品は中国に工場移転を進めた結果、生産比率が2倍になりました。
日本は、中国に依存が進んでいる状況で、これは何かある度に、中国にコントロールされることを示しています。現実に中国は、これまで日本に対するレアメタルの輸出を制限するということもやってきました。
ローエンド品のフィルムコンデンサの世界シェアは、中国がなんと75%、日本は10%です。

高周波フィルタは、特定周波数を抽出するため、通信機能を持つあらゆる電子機器に組み込まれています。
通信インフラ、データセンター、防衛装備に組み込まれるハイエンド品については日本企業が優位ですが、破格の条件で中国企業に日本の技術者が引き抜かれ、その技術流出で将来的に優位性を失う確率が高くなっています。
今後は電子部品全般を日本国内で量産できるようにしなければなりません。
合わせて海外への技術移転の対策も立てねばならないのです。

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