豊かさに流されて、良き伝統を失ったか、日本人!?『雑感88 日露戦争後の日本と世界 その二』
(6月10日記)
雑感87からの続きです。
戦後の日本国民と社会の変化について叙述します。
社会と国民性は明らかに変わりました。
いきなり全てが転換したのではないですが、変化のスイッチが入ったのです。
まずは立身出世主義です。
江戸時代が終わり、明治では新しい学制、教育が始まったのですが、それによって、従来のように身分、世襲による職業選択が激減、「能力と努力」によって職業を選べる世となりましたが、戦後は、その勢い・流れに拍車がかかったのです。
学歴偏重主義の台頭です。軍人も貴族になれるので、士官を目指す人が増えました。
学歴偏重では高等教育を望む人が増えています。
そうして拝金主義となります。金持ちになることが、より一層、先鋭化して、金があれば何でもできるという思潮が生まれました。
戦争成金もたくさん生まれています。特に有名なのは、「鈴久」こと、鈴木久五郎という株成金でした。
料亭で芸者を総あげして騒ぎまくり、株券を全員に配り、それをその場で買ってやるという豪遊ぶりです。
成金では大正の世にも、第一次世界大戦で成金が続出しましたが、明かりの代わりに札を燃やすなど、バカげていました。
さらに享楽的になります。真面目、勤勉より、今、目先の快楽、怠惰志向です。
それなのに、愛国心・ナショナリズムがやたらに唱えられます。
この場合のナショナリズムは、自分の国だけが至上、唯一とする狭量な国粋主義を土台とした偏狭なナショナリズムです。
良質のナショナリズムは、他国も尊重しつつ、自国を愛することなのです!
しかし、戦勝は日本人を増長させ、傲慢にしてしまいました。
日本人は「世界の中で相対的に見ると」、善良、誠実、温厚、真面目な民族の筆頭です、と私は捉えています。
しかし、自分が優位になると、威張る、相手を見下す、無神経、無遠慮、無責任な言動も目立つ民族です。
白人に対する態度と、アジア人に対する態度も違います。意識せずとも、自分たちは、アジアの中では優等民族だと思っています。
たとえば、彼女、彼氏が白人、金髪と、アジア人では周りの反応は違います。これ、変だと思いませんか?
少なくとも私のいた世間では、それが常態でした。
これは、いかんです!
仮に彼女が金髪のフランス人だろうと、アジアの途上国の人だろうと、全く同じ態度、反応でなければなりません。
そんなわけで、戦後の日本は傲るようになり、公より私を優先するのと同じごとく、自国の権利のみ追求し始める面が出てきました。
日本人としては残念なことです。
産業・経済では重工業化が進みます。産業国としては三流、四流国が、本来の勤勉さと教育水準の高さで急速に進歩し、それと共に経済も成長しました。
この点の日本人は素晴らしいです!
戦争によって、新聞の売り上げが激増し、社会でのマスコミの比重が大きくなりました。それまで、新聞、記者は「うさんくさい」存在だったのが、なにやら権威らしきものを持ち始めたのでした。
素晴らしくなかったものの筆頭は陸海軍でした。
日露戦争勝利の裏には、陸軍の夥しい戦死がありましたが、歩兵での命を顧みない白兵戦が、日本の陸軍の「お家芸」となってしまい、生命軽視の愚かな戦術を許すことになってしまったのです。
軍人・武人である以上、戦死は致し方ないとしても、無謀無策のために死なせてはいけません!
それなりの勝機、勝算がある、まともな作戦にこそ、命をかけさせてやるのが参謀・指揮官の使命、責任です。
海軍も航空機時代、レーダー時代が到来しているのに、いつまでも日本海海戦のパーフェクト勝利から脱することなく、大艦巨砲主義にこだわっています。その結果が、大東亜戦争での惨敗です。
あそこまで無惨な負け方は、明らかに戦術の大ミスでした。
勝っても負けても、日本人は同調圧力と、見たくないものは見ない主義で、学ばなかったのです。
みんなで、「なあなあ」のぬるい組織に甘んじたのでした。
中国が台頭しているというのにです!
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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