『フィスト・ダンス』 第155回 「正々堂々こそ、大中の道だ」
<戦う作法>
一同が解散したあと、『マタドール』の奥の院には、翔太、丈次、大作の3人が残っていた。
翔太の向かい側に丈次と大作が並んで座っている。
「今日のこと、わかったか?」
翔太の問いかけに2人は、「はい」と応えた。
「本当か?おまえらの頭の中では、どうであろうと大中としてケジメをつけるべきと思ってるのではないのか。マーボやトミーにしても、初めの意見はそうだったんだぞ」
「はあ。本当は自分も最初はそう思いました。けど、先輩に言われて考えてみると、やっぱ、自分らは最強で、他の奴らとは比べらんないくらい強くないとダメなんで、そういうことになんのかなあと思いました」
「自分も丈次先輩と同じです。初めは翔太先輩でなくてもマーボ先輩かトミー先輩がケジメをつけんだろ、と思ってましたが。ああ、そういうものかなあと」
丈次も大作も、一語一語を確かめるように話しているが、このように話す時は、翔太の言葉を自分に納得させようとしている証左だった。
「おまえらにすれば、自分の後輩、仲間がやられたんだから、やり返さなきゃというところだろうが、問題は、負けそうになってから大中だと名乗ったことだ。これは卑怯だ。男、サムライのやることじゃない。わかるか?」
丈次と大作は、この説明には一も二もなく深くうなずいている。
「強いってことは、卑怯ではなく正々堂々と勝つってことだ。大中の長ランなら、そうでなくちゃいけない。勝てばなんでもいいってわけじゃない。1年坊だから3年にやられるのは、まだ仕方ないとしても、その時になって大中だと名乗るのは男のやることじゃない。泣きを入れるなら初めから意気がらなきゃいい。どうだ、違うか?」
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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