アメリカに挑戦する中国の行く末は!?『雑感85 日中の近未来』

(5月28日記)

今回のテーマは、混沌こんとんとしている国際社会で、独裁国陣営のキープレーヤー、鍵となっている中国についてです。

今や、恫喝どうかつ、威圧を基本とする「戦狼せんろう外交」で、西側の自由主義陣営から警戒されていますが、途上国やアフリカの少なくない国で「金の力外交」で支持を集めています。

中国がこのように強硬になった最大の理由は、中国社会に国粋こくすい的なナショナリズムが生まれてきたからです。
通常のナショナリズムではなく、自国のみが至上、唯一とする偏狭したナショナリズムで、国力・経済力・軍事力が増大したことと、民衆の求心力をまとめる方策として、共産党も促進している傾向が大です。

社会保障の不備、貧富と、共産党員とそれ以外の民衆の異常な格差、今の20代の失業率20%以上(本年4月で)、という社会の大きな不満を国外に向けさせて、民衆統合と、「共産党はこんなに頑張ってんだ、必要なんだよ」というプロパガンダが、国粋的ナショナリズムに拍車をかけています。

共産党と、皇帝となった習近平国家主席の悲願、というよりは存在意義の条件は、台湾併合の中国統一です。
近年、ここ3年以内、あるいは4年以内に、中国は台湾に侵攻するという、アメリカの要人、高級軍人、シンクタンクの言葉が再々、言及されていますが、シミュレーションでは、米日が一致して対応すれば、中国の失敗の可能性が高いと報告されているのが現実です。
侵攻に失敗すれば、習主席どころか、共産党も崩壊しかねません。そこで、『孫子そんしの兵法』の国らしく、戦う前に勝とうと、あらゆる戦術を駆使しています。

第一は、台湾の中から「中国と統一したい」という気運を盛り上げることで、これは地味ながら着々と効果を浸透させています。
世論調査では、侵攻された際「戦いますか?」という問いに、「協議する」が6割もいたそうです。ウクライナとは全く違います。
となると、自国を自分たちで守る気のない日本と同じで、米軍の意向、それに仕方なく続くであろう日本の意向が重要になるわけです。

また、習主席はロシアのウクライナ侵攻をつぶさに研究させて、台湾に侵攻した場合の国際社会の反応、制裁、経済について、緻密に計画を立てています。
仮に、それ以前に民衆の内政への不満が膨んで共産党に向けられたなら、はるかにハードルの低い尖閣諸島占領、奪取もあり得ます。
その場合、米軍が救援に来るまで自衛隊で防戦しなければなりませんが、無理でしょう。
結局、施政権を奪われてしまえば、日米安保条約の適用外となります。
何十年も前から警戒してきたのに領土を奪われるというのは、国際社会で恥であり、情けないことですが、日本人の多くはそう考えていません。まさに亡国の民です。

防衛費を増額しましたが、装備の充実、弾薬の確保など、今のペースでは間に合いません。
では、どうするか?集団安全保障の枠組みを拡充し、多くの国を対中国包囲網に入れること、どこかの国が侵攻されたなら、集団で対処するところまで同盟を深めることですが、岸田氏にはできません。
安倍さん亡き後、これがわかっていて、かつ、まがりなりとも少しはできそうなのは高市さん、ずっと下がって萩生田さんくらいでしょう。いや、萩生田さん、看板倒れかもしれません、この人。「うーむ?」だわなあ…。

だからといって、はっきりと中国を拒否することは賢くありません。ここが外交のポイントですが、日本はド下手です。
アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリアのように、安保面では警戒しつつ、経済では交易するデカップリングが、最善ではなくても次善です。
フランス、ドイツのように、中国べったりも困りますが。
そうして、絶えず、マルチな外交を続けます。

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