『フィスト・ダンス』 第171回 「その日は近い!」

<矢は放たれた>

「そんで、いつ、やるんだよ?」

「冬休みの後半だな。みきおは卒業前に純さんの所に行くっていうから、その前にやろう」

マーボの部屋に翔太、マーボ、トミーの3人がいた。菊山道場の練習を終えたあとである。

「どっちが先だ。今度は俺だろ」

マーボがトミーを無視するように言うと、すかさずトミーも、俺だろ、と返している。
マーボとトミーの結着がつかない以上、藤田は2回、対戦しなければならない。
藤田には気の毒だが、本人は気にしていないようだ。それ以上に、自分と互角に戦える相手との一戦が楽しみになっているようにも見えた。

「じゃんけんか、あみだだな」

「あみだにしてくれ。じゃんけんは、いやだ」

マーボはトミーにいつもじゃんけんでは負けている。トミーはマーボが出すパターンを知っていたからだ。

「いや、じゃんけんでいいだろ。わざわざ、あみだなんか作んなくたってよ。なっ、翔太」

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