半導体を知らずして、今を語るなかれ!『雑感90 半導体産業の今、及び未来』
(6月24日記)
前回の雑感89の続きですが、今回は半導体産業の今、及び未来という視座で書きます。
現在、高性能の先端半導体と称されるロジック半導体で、圧倒的トップに立つのは、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)です。
先端半導体の7割以上!!が、面積は九州くらい、人口2300万人の台湾で作られています。
TSMCだけで約6割、韓国のサムスン電子が2割弱、同じく台湾の聯華電子(UMC)が1割弱、これが先端半導体の世界シェアです。
アメリカのインテルは、微々たるシェアです。
こうした企業は、ファウンドリー(半導体受託生産業)といって、アップルなどの製品を作っています。
回路幅2ナノメートル、10憶分の2メートルということです。
汎用品、日本が作れるのは、28~40ナノメートルの物です。
詳しくは雑感89を見て下さい。
半導体は台湾の輸出の5割、GDPの2割を稼ぐ商品になりました。
いずれも凄い数字です。
中東のオイルマネーと同義です。
台湾がハイテク産業を目指すようになったのは、半世紀前の1970年代でした。
1970年代、台湾は中国本土への「大陸反攻」を諦め、経済発展を目標としました。
蔣介石亡き後、息子の経国はシンクタンク「工業技術研究院(ITRI)」を設立、翌年、集積回路・IC開発を決めます。
この経国の部下に、安倍さんと親密だった、アジアの大政治家の李登輝・元総統がいます。
初めに設立されたのは聯華電子(UMC)でした。
次に超大型化と微細化を目指すため、アメリカの「テキサス・インスツルメント(TI)」で副社長の経験のあった、張忠謀ことモリス・チャンを招いて、ファウンドリー企業を作ったのです。
モリス・チャン、今やドンで、「半導体教父」と呼ばれています。
1987年にチャンはTSMCを設立、初めから自社ブランドを持たず、ウエハー加工によるロジックICの集積回路を作ることにしたのです。
2000年以降、スマホのコモディティ化、つまり、一般の商品化に伴い、アップルの製品を作って、巨大企業化しました。
このTSMCを政府内から強力にバックアップしたのが李國鼎という経済官僚でした。モリス・チャンは、李なしでは今日のTSMCはなかった、と語るほどの人物です。
介石の息子の経国は、2代目としては優秀な人で、「十大建設」と称する、台湾国内の投資拡大に尽力し、李登輝や李國鼎といった、優れたテクノクラート、官僚を登用し、経済発展と民主化を成功させています。
ちなみに李登輝は戦前・戦中に日本に留学し、熱狂的親日、日本愛国者かつ、卓越した人格と政治手腕を持つ偉人です。
安倍さんとの仲の良さは特別でしたが、互いに国士、本物の愛国者、本物の政治家だったからでした。
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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