『フィスト・ダンス』 第135回 「忘れるまで覚える」
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<本文>
<安物の流行>
「あっ、また出しやがったぜ。バッカだなあ、あんな物、役に立たねえのによお」
清正が鼻白んだ。
今日は丈次たち2年生の「修行」を見に来ていた。
場所は地下街のいつもの所である。
丈次が玉岡貴と古田伸彦を率いて、7人組のツッパリ少年を相手にしていた時だ。
7人のうちの1人が、ぺっちゃんこのチョンバッグから黒塗りのヌンチャクを取り出して、振り回した後に構えた。
ブルース・リーの『燃えよドラゴン』の映画の後、このヌンチャクが流行っていた。
街で売られているヌンチャクには、さまざまなタイプがあった。
木製、ラバー製、2本の棒部分をつなぐのは、皮紐、チェーン、細いロープといろいろだ。
しかし、これを使いこなしている者は皆無だった。
振り回して自分の頭にぶつけるバカたれも少なくない。
それを見る度に、翔太は苦笑いしつつ、もっと練習してこい、と呟くばかりだ。
大中でも研究はしたが、有効な武器にするには、相当の練習がいることや、ステゴロとは、あくまで徒手空拳、素手でやるのだという矜持があるので使うことはない。
ヌンチャクを振り回している男が、丈次にかかっていった。ヌンチャクを振り下ろす。
丈次は、嘲笑うように、左半身を開くようにかわしてから、左の回し蹴りを一閃させた。
きれいな蹴りだった。相手の頬のあたりに、きっちり入って横倒しになった。
だが、それで終わりではない。
「得物を使った奴には、それできっちりと、けじめをつけてやれ」という翔太の教えで、ヌンチャクを取り上げて、頭以外をボコボコ殴りつけている。得物とは武器のことだ。
残りの6人がかかってくるが、そちらは貴と伸彦が片付けた。
菊山道場で3年生らと組み手をやっているのだから、他の学校の連中など、ちょろいものである。
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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