『フィスト・ダンス』 第170回「俺たちはサムライだ!」


<新刊発売中です>

拙著、発売されました。

無私無欲に果敢に生きた男女10人の物語です。
志の尊さ、純粋さを味わい、自らの生き方の参考にして下さい。
アマゾンの書評欄に感想を書いてくれたらありがたいです!よろしく!

美達大和

<本文>

<真吾の喜び>

ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。
男たちがうまそうにコーラを瓶から飲んでいる。
菊山道場でのトレーニング後の光景だ。
炭酸飲料の嫌いな翔太だけはファンタのオレンジだ。

「そんじゃ、真吾も緑が丘かよ。大丈夫か、おめえ。あそこは特別だぜ」

「うん。先生はボーダーラインって言ってるけど、ま、頑張れば、なんとかなるかなって。ねっ、菊山君」

マーボにかれた真吾は、正面に座っている翔太をのぞきこむように見つめた。
スチール製の机を囲むように丸椅子が並んでいる。中央あたりが翔太、その左右にマーボとトミー、さらに左右に清正と晃一というのが定位置だが、真吾は少し離れた席にいた。

内申ないしんはBランクだったな、真吾は」

「うん、Bランク」

「なら360点も取れば大丈夫だ。それくらい寝てても取れるだろ」

「うーん、なんとか」

真吾の顔が輝いた。
緑が丘高校は県下随一の進学校で、東大、京大などの旧帝国大学の他、早慶などの有名私立大学への合格者も多く、毎年、雑誌の合格者出身高校の一覧表でも常連校だ。
内申点がBランクなら、当日の受験でよほどの悪い点数でなければ合格できる。

「普段、どれくらい取ってんだ、おめえは?」

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