『フィスト・ダンス』 第168回 「継承」

<新刊発売中です>

拙著、発売されました。

無私無欲に果敢に生きた男女10人の物語です。
志の尊さ、純粋さを味わい、自らの生き方の参考にして下さい。
アマゾンの書評欄に感想を書いてくれたらありがたいです！よろしく！

美達大和

＜本文＞

＜丈次よ、奮起せよ！＞

ビュンと音を立てるように、清正の蹴りが飛ぶ。
３年間の厳しい鍛錬の賜物たまものだけあって、きれいな蹴りだ。
丈次がそれをなんとかかわして、同じく脚で反撃した。
清正は、大したことないよというように、わざと腕でブロックする。
丈次の目が、きっ、と吊り上がる。
威力がないと言われたのと同じだからだ。
3年生とやる時は、2年生、1年生は受けずにかわすのがセオリーだ。
受けるとパワーがあるので腕や脚を痛めるからだ。

丈次が渾身こんしんの力を込めた右のパンチを飛ばした。
2人の組み手は、清正が「本気でこいよ」と言ったので、丈次の攻撃は手加減なしだ。
その代わり清正からは手加減してある。それくらい3年生の実力は抜けていた。