朔の話 01┃COVID-19(イギリスに帰国した若いカップル)
のちに「静岡の衝撃」と呼ばれた、2019年9月28日。試合後の花火の煙で、エコパスタジアムは幻想的な雰囲気に包まれていました。ラグビーワールドカップ2019日本大会で、ラグビー日本代表がアイルランド代表を破った試合を、僕は目撃することができました。
2019年は、素晴らしい一年だった
「4年に一度じゃない、一生に一度だ」というコピーのとおり、一生の思い出になることがたくさん起きた一年でした。ラグビーワールドカップが日本で開催され、僕は東京で行われた開幕戦をはじめ、3試合を観戦。それだけでなく、一カ月半にわたって12の地域に多くのインバウンドが訪れ、東京や京都だけでない、多様な日本を体験する機会がありました。ニュースも連日その話題で持ち切り。
最後の最後には、「世界最高のNO SIDEをみんなで観よう」という掛け声で始まった、「世界遺産である下鴨神社で決勝戦をパブリックビューイングする企画」を実現することまでできました(これは本当に大変でしたが、撤収の終わった静かな糺の森を今でも思い出します、最高でした)。
本当に、2019年は素晴らしい一年でした。
仕事の面でも、前年にイギリスを訪問して、いくつかのヒントを得ていました。イギリスの旅行会社から何件か手配リクエストももらい、手ごたえも感じていたので、「この方向で行くぞ」と決めて人員が増えてもいいように東京駅の近くに執務スペースを準備。採用の準備などを進めていました。
そのタイミングで、来ました。コロナが。
イギリスに帰国した若いカップル
コロナ禍になる前、最後の手配していたのは、イギリスから来た若いカップルでした(若くして成功された方で、予算もたっぷりあり、すごい旅をするなあと思っていました)。国際間の渡航も制限されることが予想されるようになり、予定を1週間ほど切り上げて、帰国されていきました。
それを最後に、インバウンド関係の仕事は途絶え、無くなりました。スケジュールは真っ白、お先は真っ暗(これ、当時のことを語るのによく使うフレーズです)。なんちゃら補助金があったり、コンサルティングの仕事もやっていたため、何とか食いつないでいましたが、とにかく未来が見えない。でも家族には自信のある顔をしておかなければいけない(でもずっと家にいてヒマそうなので不安な思いをさせていました)。
2020年、生き延びなければならなかった
そんな状況を打破しようと、同じような境遇にいた知人たちとオンラインの情報交換を重ねていました。「移動ができなくてもできるビジネス案をみんなで考えてみよう」みたいなお題が出され、言い出しっぺの僕が考えたのが「酒蔵オーナー制度2.0」というアイデアでした。京都の招徳酒造さんという酒蔵さんで自分自身が体験したことがベースとなっています。
招徳酒造さんの「酒米オーナー制度」は、田んぼのひとくちオーナーとなり、田植えと稲刈りの2回、イベントで田んぼにいくという仕立てでした。初めて参加したのは2016年。独立起業して3年目、思うようにいかずに足掻く毎日で、何とか息子との思い出を作りたい僕にとってはうってつけの企画でした。
酒米オーナー制度
ぬるぬる、ねちゃねちゃの田んぼに入り、息子は尻もちをついて「うわー、ママに怒られるでー」とか笑い合って。良い思い出です。
そうして届いた日本酒は、「特別」でした。息子と訪れた田んぼ、初夏の田植えと秋の稲刈り。2本で9,000円だったと思いますが、しみじみ旨く、まさに「プライスレス」だと思いました。時間をかけること、伏線を用意して回収すること、そのような仕掛けで、これほどまでに価値が増すものか。感動したことを覚えています。
コロナ禍ならではの新しいビジネスを考えられないか。そう思ったときに、題材として真っ先に思い浮かんだのは、日本酒でした。僕は日本酒のポテンシャルを知っていました。
初期の資料。今読むとツッコミどころ満載です。
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