みたての庄司
「朔」という日本酒が誕生した軌跡をまとめたマガジンです。赤裸々に語り、インバウンド産業にいる方や自分でブランドを立ち上げたい方、プロダクトの価値を高めたい方に、ヒントになるような内容にしていきたいと思います。週1の更新を目指しています。
コロナ禍における起死回生の新規事業として始めた日本酒の事業「朔(さく)」でしたが、販売に苦戦する日々でした。 周囲にはずいぶんと心配をかけてしまいましたが、やっている本人は、楽しんでやっていました(感覚が麻痺していた、ともいえる)。なぜかというと、これまで時間をかけて学びたいと思っていたこと、日本の文化について、学ぶ機会になったこと。 オンライン体験を配信するにあたって、参加する人にも「予習の機会」が必要だろうということで、配信の前週末に、1時間程度の「チュートリアルイベ
とにもかくにも、「朔」は産まれました。インバウンド向けの事業を営む当社、コロナ禍で新規事業を仕込み、アフターコロナに備えるはずでした。 商品の概要はこうです。 日本酒ができるまでのプロセスを、10か月の体験として販売する 購入者は、10回のオンライン体験(田んぼと酒蔵がある兵庫県・播磨地方に関するもの)に参加する権利がある 申し込み後に「スターターキット」として、「バインダー」と「播州織の手ぬぐい」が届く 毎月のオンライン体験の前には「旅のしおり」が届き、バインダー
この本を手に取ったきっかけは「日曜美術館」でした。 紹介されていた「陶塑(とうそ)」という作品を観たときに、作品ではなく、「塑(そ)」という文字に興味を持って、検索しているうちにたまたま見つけ、購入しました。 考えを書いた短いものから、ある具体的なデザイン(「クールミントガム」や「明治おいしい牛乳」など)のストーリーを綴ったものまで、全部で22の章から構成されています。その中でも、タイトルでもある「塑する思考」という章には、深く胸に刺さりました。 日本では「どんなことが
「朔(さく)って新月って意味やから、月にちなんでイベントやれたらいいよね~」という軽い会話から始まり、そして準備と運営で走り回る「中秋の名月を楽しむ会」、2回目を開催しました。 昨年(2023年)の中秋の名月は9月29日(金)は、とても心地いい気候の中、空に浮かぶ満月を愛でることができました。しかし、暑さが続く今年(2024年)、しかも昨年より12日早い9月17日(火)、想像以上の暑さでした。大汗かきながら皆で準備をして、ゲストをお迎えするころにちょうど陽が沈み、少し涼しく
コロナ禍における新規事業「酒米オーナー制度2.0」を着想したものの、周囲の反応はとても鈍く、意気消沈する毎日でした。 SASIの近藤さん 見るに見かねた知人から、「庄司さんの考えていることを具現化できる人だから、一度会ってみては?」と言われ、SASIの近藤さんを紹介してもらいました(その知人は近藤さんに「風呂敷をたためない人がいるから何とかしてやってくれ」と言われたそうです)。初めてのミーティングは、リモート会議。僕は出張先のホテルで、チェックアウトを済ませたロビーで参加
「苗が稲になり、米が酒になる10か月を楽しむ体験」というコンセプトをまとめ、コロナ禍における新規事業アイデアに、僕は毎日ワクワクしていました。 鈍い反応 アイデアを企画書にまとめ、必要となる役割を洗い出し、周囲の人たちに声をかけ、事業を具現化していきました。時には模造紙を使い、時には酒を飲み、たくさんの会話をしました。でも、なかなか具現化が進まない。それどころか、巻き込んだ人たちの顔は晴れないままでした。 日本酒の持つポテンシャル、酒として商品棚に並ぶまでに実に多くのスト
「日本酒のポテンシャル」に着目した僕は、コロナ禍における新事業を検討することにしました。 オンライン体験という潮流 コロナ禍になり始めた当時、旅行業界では「オンライン体験(zoomなどのリモートミーティングの機能を使ってその地域ならではの体験を提供する)」がはやり始めていました。ものは試しとairbnbやことバスさんがされているオンラインツアーに参加してみたりしていました。 ああ、こういう世界もあるんや、体験とはその場に行くことだけではないんや、と思いました。移動がはば
コロナによって「スケジュールが真っ白に、お先が真っ暗に」なった僕が新しい事業のテーマに選んだのは「日本酒」でした。 日本酒のポテンシャル、三つの面 日本酒には大きなポテンシャル(伸びしろ)があると思っていました。日本における評価と、海外からのそれに大きなギャップがあったからです(もちろん、海外からの評価の方が高い)。 SUSHIやWASHOKUに合うという、これからの料理の潮流(別の記事で記述)の先で待ち構えているような「味」の面はもちろん。神道のような日本人らしい宗教
のちに「静岡の衝撃」と呼ばれた、2019年9月28日。試合後の花火の煙で、エコパスタジアムは幻想的な雰囲気に包まれていました。ラグビーワールドカップ2019日本大会で、ラグビー日本代表がアイルランド代表を破った試合を、僕は目撃することができました。 2019年は、素晴らしい一年だった 「4年に一度じゃない、一生に一度だ」というコピーのとおり、一生の思い出になることがたくさん起きた一年でした。ラグビーワールドカップが日本で開催され、僕は東京で行われた開幕戦をはじめ、3試合を
「朔(さく)」という日本酒 「朔」は、フランスで開催される日本酒コンクール「Kura Master」でプラチナ賞を2年連続で受賞し、国内外のラグジュアリーホテル(オテル・ド・クリヨン、シュヴァル・ブラン、ザ・リッツカールトン京都)や京都の旅館(料理旅宿 井筒安)、日本酒サロン(粋)で提供されています。 基本的に一般販売はしておらず、当社が運営するWebサイトにて購入が可能です。 「朔」がつくられるのは、日本酒発祥の地(のひとつ)と言われる、兵庫県播磨地方。ひとりの農家(
前編はこちらから 社名 社名は「株式会社みたて」。「見立て」という言葉は、起業を決めてから通い始めた茶道教室(藪ノ内流)で教えてもらいました。見慣れたモノやコトをそのオリジナルの用途ではなく、別の角度から「見立て」、新しい価値を見いだす表現方法。例えば、捕った魚を入れておく魚籠(びく)を花入れとして使ったりすることを言います。僕たちにとって見慣れた文化を、日本を訪れる旅行者に体験してもらうにあたって、必要になるのは「見立て」の技術であると思い、それを一生かけて磨き上げてい
これまでに取材いただいた、Webで見られる記事などをまとめています。 Webメディア 北播磨で運営している体験プログラムについて(2024年8月9日)。 日本酒「朔」について(2024年1月28日)。 創業の経緯などについて(2023年11月22日)。 日本酒「朔」について(2023年06月19日、有料会員限定)。 インバウンドの動向について(2023年08月25日、有料会員限定)。 インバウンドの動向について(2023年4月21日、有料会員限定)。
ざっくりプロフィール 庄司英生(しょうじひでお) セルビア(旧ユーゴスラビア)・ベオグラード市に産まれ、兵庫県神戸市で育つ。株式会社リクルートにて総合企画部MVP/HR AWARDグランプリ/TOPGUN AWARDなどを受賞した後に退職し、2014年に京都市にて「株式会社みたて」を創業。訪日外国人(インバウンド)に向けた日本文化体験プログラム(茶道/書道/華道/料理/利き酒)のサプライヤーとして観光業界でのキャリアをスタート。現在は、DMC(ランドオペレーター)として欧米