アートは毒なのか、癒しなのか?
アート制作やワークショップに参加した方々から
「デトックスになった」「深い集中が気持ちよかった」など
ポジティブな感想をいただくことは少なくありません
しかし一方で、アーティストが心のバランスを崩すことも珍しくないのです
この矛盾は一体どこから来るのでしょうか?
「ワークショップで癒しを感じてもらえるなら、もっと上質な癒しを提供したい」
そんな思いから、私はアート系研修やワークショップについて調べてみました
そこで目に留まったのが「アートセラピー」という言葉です
アートセラピーとは?
美大で心理学や教育学も学んできた私ですが
「アートセラピー」は未履修の分野
聞いたことはあるけれど「普通のアートと何が違うのか?」
「なぜ治療に使われるアートで、アーティストが心を病むことがあるのか?」
と疑問に思っていました
調べてみると、アートセラピーは自己表現ではなく
心の内面を探るために行われるものだとわかりました。
アートセラピーの特長
アートセラピーの本には
「潜在意識」「内面のエネルギー」などのキーワードが頻出します
これらは普段の制作活動とは異なり
意図を手放し、心が感じるままに描くことがポイントです
例えば、アートセラピーでは
「自分の信頼を取り戻す」「無意識と交流する」といった役割があり
描くことで新たな発見が生まれるそうです
アート表現との違い
アーティストが作品を制作する際は
「何を表現するか」を明確にし、その意図を形にしていきます
一方で、アートセラピーは逆に
意図しないプロセスから生まれるものに意味を見出します
これにより、自分の中に眠っている感情や思いに気づくきっかけが生まれると書かれていました
アートセラピーの価値
資料を読み進めて感じたのは
アーティストが感じる「表現と自身の関係の深さ」や
美大生が抱えるストイックが故に起こる「他者の排除」との関連性です
アートは時に毒にもなる
それは、制作する側が対話を閉鎖的に行うからかもしれません
しかし制作とは別の機会にアートセラピーの視点を取り入れることで
その閉鎖的な視界に開放感を与え
自分自身と健全に対話する機会が生まれるのではないかと考えました。
最後に…
アートは、私たちが他者とつながる手段であると同時に
自己とつながるための手段でもあります
アートセラピーを通じて新たなインスピレーションや未知の自分を発見することで
アーティストにとっても制作の新たな視点が広がるかもしれません
こうした視点や経験を、これからさらに深掘りしていきたいと思います
もし皆さんの中にも
「アートって表現だけではないんだ」と感じた経験があれば
ぜひ教えてください。
次は芸術療法についての本を読もうと思います
参考資料一覧
タイトル
自分と出会うアートセラピー ジブン ト デアウ アート セラピー
イメージでひらく無意識の世界
著者
近藤総子/編著 コンドウ,フサコ
阿部利久子/著 アベ,リクコ
天海久子/著 アマカイ,ヒサコ
伊藤妙子/著 イトウ,タエコ
植村怜子/著 ウエムラ,レイコ
木下恵/著 キノシタ,ケイ
播磨美智子/著 ハリマ,ミチコ
出版者
東京 新曜社
出版年
2014.8
タイトル
はじめてでも楽しみながら絵が描ける ハジメテ デモ タノシミナガラ エ ガ エガケル
キミ子方式によるアートセラピー
自然に合わせた描き方が生き方を紡ぐ
著者
松本一郎/著 マツモト,イチロウ
松本キミ子/監修 マツモト,キミコ
出版者
東京 生活ジャーナル
出版年
2002.12
タイトル
はじめてのアートセラピー ハジメテ ノ アート セラピー
自分を知りたいあなたへ
著者
吉田エリ/著 ヨシダ,エリ
出版者
東京 河出書房新社
出版年
2005.12
タイトル
アートセラピーワークブック アート セラピー ワークブック
ワタシらしさが花ひらく
ART THERAPY WORK BOOK
著者
柴崎千桂子/著 シバサキ,チカコ
出版者
東京 BABジャパン
出版年
2008.2
タイトル
アートセラピーで知るこころのかたち アート セラピー デ シル ココロ ノ カタチ
そのまま描けるノート式
著者
吉田エリ/著 ヨシダ,エリ
出版者
東京 河出書房新社
出版年
2009.3