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パパとママだけじゃない

子どもを産んで育てるのって、めっちゃめちゃに大変。昔、宜保愛子があかちゃんを産んで霊感がなくなって、末っ子を幼稚園バスに乗せた瞬間に霊能力が復活した、という逸話を聞いたことがある。ソースはないので真偽は確かではないけど、本当かもな、とは思う。

わたしは数年の不妊治療の後、ありがたいことに二人の子どもを授かり、それぞれ一年数ヵ月仕事を休んだ。夫は育休という形では休めなかったけど(社内にとある資格をもつ職員が夫含め数人しかいなかったので、月単位の休みを取ることが物理的に不可能だった)、それでも有給と正月休みを合わせてそれぞれ2週間の休みを取ってくれた。
新生児の子育て、第二子出産直後は第一子が精神的に荒れた時期もあって本当に大変だった。
新生児の子育てがいかにハードモードなのかは、たくさんの先輩方が語り継いでくれているのでここでは割愛するけど、端的に言うと身体のどこかが常に不調だった。
眠い、痛い、眠い、痛い、痛い、痛い、眠い、疲れた、痛い…という感じ。

はてさて。わたしは何を伝えたいかというと。今の世の中、マジでヤバい少子化と聞いた。子どもを産む人が減っているだけでなく、結婚しない人も増えていると。
そこで国や各地方では、若者に結婚と出産をしてもらおうとあれこれ策を打ち出している。
おらが町では市が「出会いサポート」なるお見合いイベントを定期的に開催している。不妊治療は保険適用となり、出産するといくらかのクーポン券が支給され、子どもを三人産むと大学の授業料が無料になる、らしい。

しかしね、ええのよ。結婚も出産も。
今の時代、多様性やっていうやん。ダイバーシティやった?
結婚して子ども産んで、恥ずかしくない程度の学歴持たせて結婚させて孫の顔見て、その孫もそこそこの学歴持たせて、それが幸せって言う声が大きい時代もあったかもしれんけど。今は必ずしもそうじゃないってね。違う違う。
昔っから、結婚も出産もせんでも幸せな人、たっっっくさん居てるやん。
どの時代にいても、どの国にいてどんな苦労しても、その人が「ぼかぁ、幸せだなぁ」って思ってたら、それは幸せなんよ。
人に決められるものじゃない、誰かの物差しなんかで測れない、自分だけが幸せかどうか決めることができる。それは、今に始まったことじゃないはず。


わたしは夫と、自分の子どもたちを大切に大切に育てて。毎日山盛りごはん食べさせて、お風呂に入れて、クリスマスプレゼントをこっそり用意して。
「ママ、お仕事がんばるね」と言うと「ぼくのおしごとは?」って聞いてくる息子に、「あんたらの仕事はな、いっぱい食べていっぱい遊んで寝ることよ。心も身体も栄養たっぷりにしてな、大きくなること。大人になることが、あんたらの仕事なんやで」と伝えること。

人それぞれに育児の目標ってあると思う。
わたしは、子どもたちに立派な学歴をつけられるか、犯罪に手を染めない大人にできるか、人のために役立つ人間にできるのか、全く自信がない。育ててるわたしらやって、完璧な人間やない、偉そうなこと言えるような夫婦じゃないのよ。

だから、ちょっとだけ手ぇ貸してくれたら。

一日休ませてもらえたら、あかちゃん産まれて、ママの一番じゃなくなったと泣く息子を、夫がドライブに連れて行けるから。ジュース買ってもらって電車見に連れてってもらって、そんな割に簡単なことで寂しさって紛れるもんで。
子どもが熱でたときに帰らしてもらったら、保育園に早くお迎えに行けるので。真っ赤な顔で鼻水垂らして不安そうにしてても、母ちゃんの顔見ただけでにっこりするんですわ。園でグズグズやったって聞いても家着いたらすんなり昼寝したりするもんで。

完璧じゃないわたしたちだけでは、足りないけど。ほんの数時間、数日、仕事休ませてもらえたら。急な退勤の時は「はよ行ってあげな」って一言背中押してもらえたら。

子どもいる人もいない人も、いろんな事情がある人も子育て終えた人も、ちょっとずつ元気玉分けるみたいに、仕事の手を分けてもらえたら……。

余裕ある人なんかいない忙しい部署やのに、みなさんいつもごめんなさい。でも、助かってます。みなさんの少しずつの手で、子どもらに心の栄養を注ぐことが、できるんです。
これって子育てではないんかな。そのために育業って言葉が生まれたのかな。
育休取らせてくれるみなさん、子どもが熱でた時にピンチヒッターになってくれるあの人、ええ感じの小児科教えてくれた先輩パパ社員さん。パパママの後ろにたくさんの手があること、いつか子どもたちにちゃんと話します。

あんたらはな、パパとママだけで大きくなったんと違うんやで。
大人になったらな、みんなで子どもを育てるんやで。自分が結婚してへんでもな、子どもがいてもいてへんでも、みんなひとりずつ大切な人生やねん。
大切な次の世代の人生も幸せになるようにな、みんなでな、育てるねんで。



#育休から育業へ

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