ちいさなスプーンからつくる、にぎやかな未来。食べられるスプーン「PACOON(パクーン)」とは?
SDGsを身近なところから実践したいけれど… そんな想いにぴったりのアイテムが、食べられるスプーン「PACOON(以下、パクーン)」です。国産野菜パウダー入りのクッキーでできたスプーンは、食育、環境保護、地域のパートナーシップなど、SDGsのさまざまな目標を達成しています。
この商品を開発したのは、愛知県刈谷市に本社を置く株式会社 勤労食。もともと長年、地域の企業や学校向けに食堂運営を担ってきた会社です。代表取締役副社長の濱崎佳寿子さんに、パクーンの魅力や開発の経緯をお聞きしました。
——さっそくですが、すごくカラフルなスプーンなんですね!元気が湧いてくるカラーバリエーションです。
濱崎:ありがとうございます。パクーンは おから、抹茶、ビーツ、かぼちゃ、いぐさの5種類が2つずつ入ったパックで販売しています。ちょっとかためで、噛むことが健康につながることも伝える商品です。カラフルな色の秘密は、国産野菜の濃縮パウダー。天然由来で、添加物を加えていないので、ちいさなお子様から年配の方まで、安心してご利用いただけます。
G1_おから(食物繊維が豊富!)
G2_抹茶(カテキンとタンニンが豊富!)
G3_ビーツ(カリウムが豊富!)
G4_かぼちゃ(ビタミンEが豊富!)
G5_いぐさ(葉酸が豊富!)
濱崎:食べられるスプーンなので、ヨーグルトやアイスなど、おやつの場面はもちろん、スープや、コーヒーに添えるなど、いろいろなシーンでお使いいただけます。インスタグラムでは、季節ごとのレシピといっしょに使い方を提案しているんですよ。
濱崎:わたしたちは創業以来、食堂の運営をしてきましたから、調理の際に出る、規格外の素材をなんとか再利用できないかと考えてきました。規格外でも、栄養はあるから価値がある。現場の管理栄養士たちの課題感が商品アイデアにつながりました。
——企画メンバーが管理栄養士というのも強みですね。食育にも環境保護にもつながるというと、教育現場でも活用されていそうですね。
濱崎:はい。名古屋市の中学校で行われる野外学習で、生徒さんたちがカレーライスをつくったときにパクーンを導入いただいたことがありました。ほかにも、家庭科の授業で導入いただいた例もあります。コロナ禍で調理実習ができないときにも、子どもたちに、体づくりに欠かせない野菜の効能や、廃棄を減らして環境保護を行う大切さを、ひとつのちいさなスプーンを通して伝えることができたようです。授業が大変盛り上がったと、うれしいお声をいただきました。
——もともと食堂の運営、つまり、サービス業を展開されていたわけですから、商品開発というのは会社にとって画期的なことだったのではないですか?
濱崎:立ち上げの時を振り返ると、本当に大変でした。企画から発売までは約1年と、スピーディーだったのですが、実は、大人の食育をしたかった、というところに原点があるんです。
——大人の食育ですか?
濱崎:そうです。工場で力仕事をしている方などは、社員食堂でガッツリ系のものをお腹いっぱい食べたいという気持ちがあるんですね。だから、こちらがバランスのとれたおかずを提供しても、野菜の優先度が低いという方が少なくありませんでした。大人になると、食の趣向にかたよりがでてしまう。でもそれは、育ってきた環境の影響が強いので、なかなか変えることはできないんです。それなら、子どものうちから「野菜をとることは大切なんだ」という認識を子どもたちが持てるような施策はできないか、と、考えて料理教室を行うことにしました。
ただ、料理教室だと一度に集めることができるのは10数名なんです。もっと多くの子どもに届けるにはどうしたらいいかと模索していた中で、県内で“食べられるお皿”を生産していた製菓メーカーさんとご縁がありました。私たちの栄養指導のノウハウを活かして、環境にやさしいだけでなく体にもメリットのある “食べられるスプーン”を開発できないかと考えたんです。これなら野菜嫌いの子でも、楽しみながら野菜をとることができますよね。
——なるほど、お互いの強みを活かした地元企業とのコラボレーションだったんですね。SDGsの項目にある「パートナーシップで目標を達成しよう」にも焦点を当てているのでしょうか?
濱崎:本当に、たくさんのご縁をいただきながらパクーンは認知拡大していると思います。以前、沖縄の大学の学生さんから「沖縄の島豆腐をつくる過程で出た“おから”の廃棄量が多いので、パクーンにできないか」というお問い合わせをいただきました。これは沖縄のご当地名物の課題解決にもつながると、喜んでお引き受けし、「パクーン 島おから味」をつくりました。ほかにも、北海道のとうもろこしパクーンや、京都のほうじ茶パクーンなど、ラインナップが広がりました。
——地域の生産者も喜ぶ取り組みで、ラインナップがにぎやかになってきているんですね!
濱崎:日本各地に、地場の野菜はありますし、ご当地食材も掘り起こしていけばたくさんあります。それらとコラボレーションして、お土産として手に取っていただいて、さまざまな土地の食べ物を知るきっかけづくりをしていきたいですね。食育だけにとどまることなく、食の多様性をサポートする商品でもあってほしいと願っています。
——海外の、日本食に興味がある方にもうってつけでは?
濱崎:もちろん、海外戦略も力を入れていきたいと思っています。現在は香港で展開し、ハワイの拠点も開発中です。観光地のホテルでスイーツとして提供されるなど、すてきな展開ができたらいいなと思っています。また、SDGsというキーワードに対してはヨーロッパの方が特に敏感で、意識が高いともいわれています。サステナブルな生活雑貨を持っていることがカッコいいという風潮があるドイツや、食へのこだわりが強いイタリアも、いいですよね。その土地で受け入れられる販売方法を考えていきたいです。
また海外では、宗教ごとで食習慣が異なりますし、ビーガンや、ベジタリアンもいる。そのような、食の多様性に対応した日本ならではの「いただきます」の食習慣を広めていけたら嬉しいですね。植物や動物のいのちを「いただく」という考えは、SDGsの根本的な考え方ともつながります。ひとつのちいさなスプーンではありますが、パクーンを介して、日本の食文化のすばらしさが広まっていくといいですね。
——最後にパクーンの今後の展望についてお聞かせください!
濱崎:長年食堂を運営してきた私たちが掲げているのが「食を通じて、関わるすべての人を幸せにします。」という言葉です。時代は進み、自分たちのいのちもいつかは絶えてしまうけれど、次の世代にいのちをつなげていく上で、無くてはならなものが「食」だと思うんです。だから私自身、自分が生きている間に、自分の大切な存在に対して、「いいな」と思う食べ物を広めたいと思っています。1人ひとりがそういう思いでいれば、争いごとが世の中から減るのではないかとも考えます。
食べることが、生きることにつながると考えているので、災害時にもパクーンが役立つ商品となるように、賞味期限を延ばす開発を進めているところです。いのちをつなぐ、サポートができるように。ちいさなスプーンがやれることは、まだまだ、たくさんあると思っています。
ちいさなスプーンが描く、おおきくて明るい未来
お話を伺って、パクーンはちいさなスプーンですが背負っている夢や希望はとても大きいように感じました。キャンプやアウトドアにイベントなど、楽しいシーンでも活躍しそうです。まだまだ広がるパクーンの展開に今後も注目したいですね!
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