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やまと絵展の思い出を長々と述べてみたらしい
雨降りの日曜日、やってきたのは東京は上野の国立博物館。
今回は東京国立博物で10月11日から始まった「やまと絵」展のお話です。
思えば半年ほど前、東福寺展で並ぶ大仏の仏手が見たいとトーハクを満喫した際に貰ったチラシで、今回のやまと絵展のことを知って、そこから期待の雨嵐。
いや、だって。国宝四大絵巻が揃うんですよ。あの、四大絵巻が。
源氏物語絵巻と鳥獣戯画とは何回か顔を合わせているとは言え、見られるなら見たい。
信貴山縁起絵巻と伴大納言絵巻は何がなんでも見てみたい。
数日前に展示の目録を確認したところ、伴大納言絵巻については22日までしか並ばないとな?!?! というわけで、急遽日時指定のチケットを確保して、数日間ソワソワしながら迎えた10月15日!
11時30分過ぎに現着しまして、いざ行かん! 楽園へ🌼
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まずは序章。
やまと絵の始まりからたどっていきます。
唐絵、つまりは中国風の絵から日本の人物や風景に絵の題材がシフトしていく様子が序章の位置付け。今回の展覧会のトップバッターは聖徳太子でした。
……そうなん?
聖徳太子絵伝。聖徳太子の事蹟をピックアップして描かれているのですが、どこがどれで何? 状態。黒駒ちゃん🐎で富士山を飛び越えてはなさそうだったから、大人しいバージョンの聖徳太子なんだろうか……?
さてさて、お次は現存する最後のやまと絵屏風だという、神護寺の山水屏風。ちょっと中国の雰囲気を感じなくもないような? 山水屏風というのが、そもそも灌頂の時に用いられるということだけど(たしかに目録の所蔵欄が真言宗の寺院か国立博物館)、灌頂会って結構華やかだったのかしら……? 屏風にプラスして曼荼羅かけられるのよね? レイアウト知りたいな🤔
ところで古いタイプの屏風は、一扇縁取り? という形式だったそうで、それぞれの扇や扉(っていうんだぁ状態)が区切られているような……連続する写真立てみたいな感じでした(説明下手)。
さて、ここから本章のはじまりです。第1章は「やまと絵の成立」ということで、国風文化高まる平安時代のお話。
初めて「倭絵」という言葉が文献に出てくるのは、藤原行成の『権記』なんだそう。それはそうとして、権記、流石は行成の日記というか……字が上手い。流石は三蹟。
「倭絵」の文字が確認できるのは、999年10月末のこと。姫君(彰子様のことだろうな)が入内する云々、慌ただしそうな中で、確かに見る(読める)ことができました。(それより、11月2日の「物忌」が気ニナッタケドネ……)
彰子の父である道長の『御堂関白記』にも、権記と前後する日付で登場(道長、めっちゃ走り書きなん、どうしたん?)。どうやら屏風だったらしいです。どんなものが描かれていたのかしら……? そしてそれを描いたのはどんな人だったのかしら?
残念ながらこの頃の調度品としてのやまと絵は残ってはいないそう(´・ω・`)マジザンネン
さすがに屏風とか大きいからね。そりゃあね。
ということで続いて並ぶのは、下絵としてのやまと絵です(小さいものなら残ってるのか……)
この頃都に流行るもの……文字を絵に隠して芸術点アップ(なのか?)な葦手を凝らした下絵和漢朗詠集などが並びます。
くずし字が読めないこちらとしては、葦手でなくても模様みたいだなぁって認識してるのは、ここだけの話ダヨ……😇
物凄いクセのある字だった人が葦手のルーツとかだったら面白いなぁとかボンヤリ考えつつ、そう言えば昔、丸文字だったりギャル文字が流行ったのもこう言うものの流れの上なのかもしれない、などと染々しながら、次に行きます。
さてさて、この時代の装飾凝らした下絵で教科書でもお馴染みのヤツらが次のゾーン。
こんにちは、装飾経。
久しぶりだね、平家納経。
今回は四大絵巻に照準を合わせたのでアレですが、11月7日あたりからなら三大装飾経が揃うとのこと。……うーん、また来るかぁ?😳
平家納経は相変わらずの"ふつくしさ"でした。(あっさりした感想)
手前の人物と奥の人物が俗世か彼岸かみたいな絵でしたね、はい。
そういえば、江戸時代初期の平家納経修復プロジェクトでは本阿弥光悦とか俵屋宗達が携わったんだっけか……?
いやいや、平家納経に興味がないわけではなくて、いつもその近くにいる扇面古写経にうつつを抜かす癖がありまして。今回もやっぱりいるんだよね。学生時代から好きなんだよ、扇面法華経冊子😂
好きな理由は絵の内容云々ではなく、たぶん、あの形なんですけれども。
あと今回はさらに近くに初めましてな「一字蓮台法華経」に目を奪われました。その字が表す通り、お経の一字一字が蓮の絵に乗るように書かれていて、もう変態の領域だと思ったよ(失礼)
見返しの装飾とか、誰が作ったのかは存じ上げないけれど、きっと相当の変態さんだよ(失礼)
盛り上がってテンションヤバいのは私なのだけれど、ここで気づいた「あれ、まだ1/4も終わってない」……オカシイナ🤔
まぁいいか! とまだまだ第1章は続きます。この部屋ですごいなぁ、というのがもう一つ。それが春日大社宝物の「蒔絵筝(まきえのこと)」。筝(琴)です。装飾がまた綺麗なのですが、こちら、置き方によって印象が変わるというものなんだそう。
普通に平置き(って言い方でいいのか)の状態だと、穏やかなせせらぎに鳥が飛んでいる静かな印象。一方で立て掛けるように置けばたちまち崖を流れ落ちる滝のよう。
……趣向の凝らし方がえげつない。縦横オーケーな蒔絵とかどうしたらそうなった。
ちなみにこの琴、演奏用ではなく奉納のために作られたらしいとかなんとか。
平安時代の職人の変態っぷり(失礼)を思う存分味わいましたとさ。
🐰
🐸
🐵
はてさて、お次のゾーンがお目当ての四大絵巻です。
四大絵巻のトップバッターは、源氏物語絵巻。今回は関屋と絵合の場面。
関屋は何となくわかります。宗達がよく描いてるなぁってことで。……やっぱりちゃんと源氏物語読みなよ、私。
続いて、信貴山縁起絵巻の飛倉巻でございます。「とびくら」って何なん? と何も知ろうともせずに実物を見て、ニッコリしました。
内容としては、お布施だかを拒んだ長者の倉そのものが神通力の影響で坊さんのとこまで飛んできた、というもので、描かれている人物たちの表情の豊かなこと😌
「倉が飛んだ?!」と驚き慌てふためく様子、道中で「なんじゃありゃ?!」と見上げる人、有り難がって念仏唱えてそうな人、草履の調子が悪いのか屈んでいて倉に気づいてない人、「何のこっちゃ」と草食う鹿たち、飛んできた倉に驚き報告する坊さんのとこの人たち……みんな楽しそうなのがとてもいい。
そうか、信貴山縁起絵巻は、これほどにいいものだったか……😇
ほわっとした気持ちのまま、お次は伴大納言絵巻。場面は応天門に火の手が上がったところ。
応天門を隔てて内と外で服装が違ってるので身分に差があるようだけど、「やっべぇ」「どうするん、これ」って動揺しているのは同じ様子。そうだよね、火事は怖いよね。
教科書で見るところ、ここだったっけ? とか、善男と中庸出てこないじゃないか! とか。
ところで、応天門と言えば「弘法も筆の誤り」の語源になった門。これがなければ、空海が字を間違えたけど何とかリカバリーしたという篇額も、この事件がなければもう少し後世まで伝わったのかしら……とか何とか思ったり。まぁ、応天門が見たければ平安神宮に行けばいいのですが(復元)。……京都いきたくなってきたな。
さてさて、四大絵巻の最後、トリを飾るのはみんな大好き鳥獣戯画です!!🐰🐸🐵
数年前の「鳥獣戯画のすべて」で全巻を動く歩道に乗って見ているので、2年ぶり? くらいの鳥獣戯画。甲巻の一部ですが、誰もが一度は見たことがある、ウサギとサルの追いかけっこ🐰🐵、ウサギとカエルの相撲対決🐰🐸、カエル御本尊とサル和尚🐸🐵のあたりが見られました。
カエル御本尊の後ろにいるフクロウがファービーにしか見えない呪いにかかっているので、これ読んだ人もこの呪いにかかればいいと思う(理不尽)
四大絵巻を数回戻ったりしながらゆっくり見て、とても満足😳
他には餓鬼草紙とか、地獄草紙とか、病草紙とかがありました。病草紙は、「うん、病院行きな?」と言いたくなるような内容。……本当、病院いきな?
というわけで、ここでやっと第1章が終わり。相当ゆっくり見ております(今さらそれ言うの?)。
🐰
🐸
🐵
第2部は平安時代から少し時代は下って鎌倉時代へ。
頂相だったり、肖像画の世界。
時期が合えば神護寺三像が並ぶのはここら辺。今回は並んでおりませんでした。
印象に残っているのは、三十六歌仙絵。よく見る小野小町の絵がありました。
あとは男衾三郎絵巻。目録にただ一言「ビーム」ってメモがあります(ドウイウコト😇)
松島のところで観音様からビーム出てるように見えたってことですね、観音様ビーム……ふざけてないです飽き始めてもいないです😓
ここで1部屋終わり、ショップを横切りつつ、もう一つのお部屋へ……今回長いな、展覧会もこの文章も。
さてさて、第2章の続きです。
次の部屋に入ってすぐのところで迎えてくれたのは、紫式部日記絵巻の断簡。
ここでのポイントは、引目でないところ。目が、描かれているんです。
……つまり、ジト目(¬_¬)
この頃からこう言う目の描き方してたのかぁ!! とちょっとワクワク笑
その後も伊勢物語や源氏物語などの物語の下絵が幾つか並び……(大阪でよく似たやつ見たな)、ここでも出てきたのは「葦手」! やっほー! さっきぶりだね!!
武家政権に移った後の、貴族文化が隆盛に懐かしさや憧れ、つまりはコンプレックスみたいなものを何となく感じる……(._.)
葦手の変態性(おい)をさらに高めたな、と思ったのが、静岡・三嶋大社の梅蒔絵手箱。 紙媒体よりは見つけやすいけれど、これどうやってるん、怖っ……という気持ちでウォーリーならぬ隠れた文字を探していました。奉納したのが北条政子と知って、怖いって言ってゴメンネ!! と全力で謝罪。疲れてるよ😇
絵巻物の題材も、貴族の華やかな物語から軍記物へ。
ということで、続いては平治物語絵巻などなど。
襲われた二条天皇が女房に扮して内裏を抜けた場面が……って、それ去年の大河ドラマで同じようなことをしてましたっけね。平治の乱の時、頼朝生まれてるんだよなぁ、どっかで話聞いたことあったのかな🤔
女房姿で逃げる、が常套手段っぽいのが何とも言えない平安末期~鎌倉初期😇
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第3章です(まだ続く😇)
ここからは南北朝~室町時代です。
始めに太陽と足利尊氏の花押があしらわれた扇。……日輪信仰?☀️
このゾーンでの見所は百鬼夜行絵巻になるんでしょうか。そういえば、さっきミュージアムショップで赤い何だかヨクワカラナイ生き物のぬいぐるみ売っていたなぁ。
ここに描かれているお化け(としておく)たちは、長い間使われて捨てられてしまった物が姿を変えたもの……ということで、傘だとか草履だとか日用品由来が多いようで。
元の姿(物)がパッと見で分かるもの、分からないけど説明のあるもの、何だかよくワカラナイもの……みんな違ってみんないい(そういうことなの?)
百鬼夜行と前後して、個人的に面白かった絵巻物が2つ。
1つが「福富草紙」
内容は、主人公の福富さんが放屁芸で一世を風靡した後、真似をした男が不評に終わる……という感じ(らしい)
……これが元祖・とにかく明るい安村か(違)
安心してください! のノリでしょ、これ。あと、いつの時代も、やっぱり二番煎じはダメなんだねぇ🤔
もう一つの絵巻物が、「仏鬼軍絵巻」
こちらは、「仏様が地獄に攻めてきたぞー!」という内容。いや、トンチキ過ぎんか……😓
救済なのか何なのか、地獄の釜が割られておりました。仏軍強い。(まぁ……四天王とか明王とかが勢揃いしてきたら強いわな😓)
この仏鬼軍絵巻、作者は一休宗純とも言われているらしく……こんな内容思い付いて、さらには残そうとするのはヤツくらいしかいねぇって誰かが言い始めたんだろう……きっと。
さて、平安時代に、それまでの唐絵から「日本の風景や人物を描こう」を出発して発展を遂げてきたやまと絵。ここで少し味変を試みる様子。追加するエッセンスは……漢画です。
原点回帰なのか、どうなのか。
雪舟などに代表される水墨画が流行した室町時代という背景を思えば、まぁそうなるか🤔
個人的には、晩年の狩野元信が描いた「四季花鳥図屏風」の色彩がスゴかったな、と。
このゾーンには元信の作が数点ありますが、狩野派が成立した瞬間に立ち会ったような、これが後々受け継がれていくのかという気持ち。言うなれば、狩野派のイデア()
これを幼い永徳も見たのかしら、とかなんとか(この時、狩野永徳8才)。元信の作品を見比べると、サインが違ったりして、それもまた面白い😳
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さて、第4章まできました。残すは、ここと、終章のみ。……コース料理かな?😋
第4章は、「宮廷絵所の系譜」ということで、時代時代のトップ絵師たちの傑作が並びます。……旅館料理で最後にご飯と味噌汁が出てきた気分🍚
年中行事絵巻は鳥獣戯画に似たシンプルな線で描かれていて、いいなと思ったり😳
このゾーンの前半は寺社の縁起絵巻だったりが中心で、後半は土佐派が無双。
宮廷絵所預となり、土佐派として地位を確立した光信、その後を継いだ光茂。そして若くして戦死した光元……何ゆえ戦死? と調べてみれば、秀吉の但馬攻めに従軍していたんだとか。
光元の戦死により、土佐派は一時低迷することになったそうで……。大阪で見た宗達の展覧会で、「戦を避けて土佐派が大阪へ移ったことで、宗達が活躍する場が開かれた」みたいなことが書いてあったような気がしたけれど、嫡流が途絶えたこともあったのかなぁ……と少し点と点が繋がったような気がしました。
光元の絵は、若くして亡くなってしまったため少ないんだそう。ただ、今回見られた「紫式部石山参詣図」、すごかった。寺の格子が細かいの!!(そこ?)
🐰
🐸
🐵
さて、終章です。
今回のやまと絵展のトリは「浜松図屏風」でした。
浜松図屏風に描かれた、季節のうつろいと、その中で連綿と営まれてきた、人々の生活。
何でもない毎日の中で、金木犀の香りに秋を感じた数日前。
ちょっと似てるのかもしれない……と、遠い昔に思いを馳せつつ、時計をみれば16時15分。
着いたの、11時30分くらいだったよね? 🤔
……約5時間ですか。
通りでお腹はすくし足は痛いはずだよ、と。急いでグッズを買う。百鬼夜行絵巻の何だかワカラナイ赤い生物(「光信乃相」というらしい)、お買い上げです。
かなり、心地のいい疲れを感じる……😇
大変によきよきな展覧会でした。お時間と体力と気力と興味がある人は、是非……!!
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