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【数字で遊ぼう】中学受験の面白い問題を紹介します!⑨


みなさん、こんにちは!
現役東大生ライターの松岡頼正です。 

この連載では中学入試の面白い問題を、詳しい解説込みで紹介しています。

前回の記事はこちらです。

今回は算数の問題を2つ扱います。
 
どちらも偶数と奇数の性質を利用した、パズルのような非常に面白い問題です。
 
一緒に楽しんでいきましょう!
 
まず1問目はこちらです。 

・2016年度 東大寺学園中学 算数1番(2)


問題文を読むと、四つある整数のうち、一つが奇数、残り三つが偶数ということですね。
 
分かりやすいように、以下の説明では三つの偶数を「グ①」・「グ②」・「グ③」、奇数を「キ」とします。
 
この時、大小関係が分かりやすいように、「グ①<グ②<グ③ 」としておきます。
 
ここで前提知識として、奇数と偶数の足し算について確認しておきましょう。

・奇数+奇数=偶数
・偶数+偶数=偶数
・奇数+偶数=奇数 

奇数に1、偶数に2を当てはめて考えると分かりやすいでしょう。
 
以上からわかるように、奇数と偶数を足した時のみ、二つの整数の和が奇数になります。
 
これを頭に入れて問題を見てみましょう。


2個の整数の和の中で、「55」「69」「87」が奇数になっていますね。
 
これはつまり、順に「キ+グ①」・「キ+グ②」・「キ+グ③」が当てはまることを意味します。
 
ここから69-55=14、すなわち(キ+グ②)-(キ+グ①)=グ②―グ①=14であることが分かります。
 
次に、2個の整数の和の中で偶数になっているのは「62」「80」「94」の3つですね。
 
もともとある4個の整数のうち、奇数は1つしかないので、これらはすべて偶数同士の和であることが分かります。

したがって、小さい方から二つを足し合わせた(グ①+グ②)が62となるので、グ①とグ②は和が62、差が14であることが分かります。
 
ここから、グ①とグ②の和と差をそれぞれ足すと、 

(グ①+グ②)+(グ②-グ①)
=グ②×2
=62+14
=76 

したがって、グ②=38になります。
 
さらにグ①とグ②の和から、差を引いてみると、 

(グ①+グ②)-(グ②-グ①)
=グ①×2
=62-14
=48 

したがって、グ①=24になります。
 
ということで、2個の整数の和の中で一番小さいのが「55」なので、 

キ+グ①=55
   キ=55-グ①
   キ=55-24 

となり、問題の答えは31だと分かります。 


・2022年度 筑波大学付属駒場中学 算数 1番 

次はこの問題を解いていきましょう。

連続する整数の和を求める問題ですね。
 
この問題で使用する考えは「中央値」です。簡単に言えば「真ん中の数字」ですね。
 
問題を解く前に少し、この中央値について整理しましょう。 

今回の問題では連続する整数しか扱わないので、それを例にして説明します(本来はもっと様々な数字で計算します)。
 
まず、連続する整数の数が奇数の時。
 
例えば、「2・3・4・5・6」の5つの数字があるとします。
 
このとき、真ん中の数字、中央値は4になります。
 
その右にあるのは中央値にそれぞれ1、2を足した数字で、逆に左にある数字は中央値にそれぞれ1、2を引いたものであることがわかります。
 
そしてこれらの和である20は、中央値である「4」に、連続する整数の個数である「5」をかけた数と同じになります。
 
これは、砂場の砂を平らにするイメージといえば伝わるでしょうか?
 
ある数字から1引いたもの(n-1)と、ある数字から1足したもの(n+1)の和は、ある数字の2倍(2n)になりますよね。
 
その考え方を拡張させたのが、先ほどの「4×5」の計算です。 

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