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【現役東大生が解説】中学受験の面白い問題を紹介します!②


みなさん、こんにちは!
現役東大生ライターの松岡頼正です。

みなさん、前回の記事はもうご覧いただけましたでしょうか?

この連載では中学入試の面白い問題を、詳しい解説込みで紹介していきます!

一見すると難解そうな問題に対して、東大生がどんな思考回路でスムーズに解答までたどり着くのかを、分かりやすくお見せしていきます。

今回も僕と一緒に、中受の問題の世界を楽しんでいきましょう!


・問題

さて、今回扱うのは「麻布中学2020年・理科」の問題です。

問題文はこちらです。

小麦粉には主にデンプンとタンパク質が含まれています。小麦粉と水を混ぜてパイ生地を作ると、タンパク質どうしはつながってグルテンと呼ばれるやわらかく弾力のあるものに変わります。グルテンはそのまま焼くとかたくなります。このグルテンを含んだパイ生地をバターにはさむと、図1のようにパイ生地が2層になります。

これを二つ折りにすると、図2のように内側の生地どうしはくっついてしまうので、パイ生地は3層になり、図3のように三つ折りにするとパイ生地は4層になります。

このようにバターをはさんだパイ生地を、平らに伸ばしてから再び折りこむことを何度かくり返して、200℃~220℃の高温で素早く焼き上げると、たくさんのうすい層を持つパイができあがります。
(1)図1のパイ生地を2回三つ折りするとパイ生地の層は何層になりますか。
(2)図1のパイ生地を5回三つ折りするとパイ生地の層は何層になりますか。

理科なのに、まさかの料理についての問題ですね。

みなさんもアップルパイやクロワッサンなど、生地が何層にもなっている食べ物はよく知っていると思います。

この問題は「身の周りにも勉強に関係する内容はたくさん転がっているんだよ」という、学校からのメッセージでしょう。


・(1)の解説 

では、改めて図を確認してみましょう。

「図1のパイ生地を2回三つ折りすると、パイ生地の層は何層になるか?」ということですが、バターのついていない内側の生地はくっついてしまうので、層の数え方はこんな風になります。

この問題は図が与えられているので、つい問題の答えも図で考えたくなりますよね。ところが、図3の状態からもう一度三つ折りするって、なかなか複雑な形になってイメージするのがかなり大変です。

一応これくらいまでなら描くことはできそうでも、(2)の問題ではこの三つ折りを5回も繰り返します。
 
さすがにそこまで図にするのは難しそうですね。何かもっといい方法はないでしょうか?
 
お気づきの方も多いと思いますが、こういう時は計算です! パイ生地の重なり方の規則性を見つけて、計算で処理してしまうのが一番です。
 
この問題でややこしく感じるのは「重なったパイ生地は一層とする」というところでしょう。

この図でいう、②や③のところですね。ですが、「どこがくっついて、どこがくっつかなくて…」と考える必要はありません!
 
この問題は発想を逆転させて、パイ生地ではなくバターに注目しましょう!

バターの層の数を見てみると、二つ折りなら2層、三つ折りなら3層になっていますね。
 
そして、パイ生地はバターによって仕切られているので、バターの層の数より1つ多くなっています。
 
そう考えると、2回三つ折りしたら、まずバターの層の数は3×3=9層になりますね。
 
よって、パイ生地の層は、9+1の10層だと分かります。
 
改めて先ほどの図を見てみると、バターと生地の層が計算通りの数になっていますね。

バターが仕切りになっていることに着目できると、一気に見通しが立てやすくなりますね。 


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