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『大友の聖将』(赤神諒 ハルキ文庫)の解説を担当しました

 12月13日発売の『大友の聖将』(赤神諒 角川春樹事務所ハルキ文庫)解説を担当しました。戦国時代末期、九州の大友宗麟に仕えた実在の武将にして「大友の聖将(ヘラクレス)」と呼ばれた天徳寺リイノの生涯を描く歴史小説です。
 その名が示す通り敬虔なキリスト教徒であり、大友家が斜陽の一途を辿った末に、九州制覇を目指す島津家に追い詰められた時もなお、宗麟の下で戦い続けたリイノ。しかしその前半生は、裏切りと殺人を繰り返した悪鬼のような男だった――という設定の下、戦国レ・ミゼラブルというべきドラマが描かれます。

 この作品は刊行順では作者の第二作に当たる作品ですが、私が初めて読んだ赤神作品でもあります。その際に大きな感銘を受け、作者のファンになった作品であり、その文庫版の解説ということで、大いに気合を入れて書かせていただきました。

 文庫の帯には「赤神作品の原点」とありますが(解説のタイトルの一部でもあります)、単純にデビュー直後の作品だからというわけではなく、初読時には意識していなかった(当たり前ではあるのですが)現在に至るまで作者の作品を貫くあるテーマについて、解説では触れさせていただいています。
 私が作者の作品をこよなく愛する理由である(そして作者の作品に悲劇が多いことの理由でもある)そのテーマとは何か――それはぜひ解説をご覧いただきたいのですが、単行本刊行から六年を経てもなお、それが古びておらず、むしろいまこの時に大きな意味を持つものであることは発見でした。

 というわけで赤神作品ファンの方にも、これから触れられる方にもおすすめの『大友の聖将』、作品を楽しまれる際の一助になれば、本当に嬉しいです。
 どうぞよろしくお願いいたします。


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