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【作家】読まれる文章とは?/ 読みたい文章とは?


読まれる文章とは?

最近、noteコンテストなどをきっかけとして、「読まれる文章とは?」という問いが、自分の中ですごく気になるテーマの一つになっている。

この問いは、プロ作家を目指して各種コンテストに応募する人にとっては、避けて通れないテーマであろう。

自分はプロ作家を目指しているわけではないが、こうしてnote記事を書いているし、Kindle出版もしている。書いた記事は読んで欲しいと思っている。

だから「読まれる文章とは?」の答えが知りたい。

文章術の先生でもない自分に語る資格があるのかについてはこの際一旦脇に置いておくとして、ここでは自分なりの答えを探ってみたい。


書く動機

別記事で、文筆業について2軸で分類して考えてみたことがある。

第1の軸:動機 他者の為 ⇔ 自分の為
第2の軸:内容 主観的 ⇔ 客観的

「【作家】それでもあなたは目指しますか?」より
「【作家】それでもあなたは目指しますか?」より

この図によれば、文筆業は4つのカテゴリーに分類できる。
1. プロ作家:主観的・他者の為
2. プロライター:客観的・他者の為
3. アマチュア作家:主観的・自分の為
4. アマチュアライター:客観的・自分の為

「【作家】それでもあなたは目指しますか?」より


この論考での結論は、「プロとアマチュアの違いは、書く動機の違い」というものであった。

すなわち、プロは他者の為に書き、アマチュアは自分の為に書くのだ。

そのため、プロの文章は他者ファーストとなり、アマチュアの文章は自分ファーストになってしまいがちだ。

文筆業プロを目指すのであれば、当然のことながら他者ファーストの文章を心掛けないとならない。

これを大前提として、他者ファーストの文章とは何なのか?をもう少し解像度を上げて考えてみたい。


図で考えてみる

他者ファースト他者を分解して考えると、二つの要素に分けられるように思える。

読者スポンサーである。

他者 ⇒ 読者 + スポンサー

読者は文章を読んでくれる主体であり、文章にとって欠かすことのできない他者である。

スポンサー他者の一部ではあるが、関わり方がプロアマチュアで異なる。

すなわち、アマチュアの文章にスポンサーは関係しないが、お金の絡むプロの文章にはスポンサーが関係してくるのだ。

また、自分ファースト自分作者と同義語であろう。これも文章には欠かせない存在だ。

自分 ⇒ 作者

このように考えてみると、文章の周りには作者・読者・スポンサーの3者のステークホルダーが存在し、互いに対立している構造が見えてくる。

ステークホルダーとは、株式会社において直接的・間接的に影響を与える利害関係者を意味する。この場合は文章に影響を与える関係者を指している。

文章のステークホルダー
 1. 作者
 2. 読者
 3. スポンサー


作者視点の三角形

3者の関係を図で表してみよう。
下図は、作者視点での三角形の図である。

作者視点の三角形

図からわかるとおり、2つの対立軸が存在する。

2つの対立軸
 1. 作者 ⇔ 読者
 2. 作者 ⇔ スポンサー

作者視点の対立軸

作者 ⇔ 読者の軸は、作者読者のどちらに重きを置いた文章なのかを表している。作者に重きを置いた文章は作者寄りに、読者に重きを置いた文章は読者寄りにプロットされる。

同様に、作者 ⇔ スポンサーの軸は、作者スポンサーのどちらに重きを置いた文章なのかを表している。作者に重きを置いた文章は作者寄りに、スポンサーに重きを置いた文章はスポンサー寄りにプロットされる。

このような図で考えた場合、「読まれる文章とは」どこに位置する文章であろうか?

その答えを出すためには、この図ではちょっとわかりにくい。なぜなら作者が主語になっているからだ。

文章を読むのは作者ではなく読者だ。だから、読者を主語に考える必要があるのだ。

これは、「読まれる文章とは?」という問いを「読みたい文章とは?」という問いに変換する作業でもある。

「読まれる文章とは?」という問いは、他者=読者が主体なのに対して、「読みたい文章とは?」という問いは、自分=読者が主体の問いになっている。

そのため自分事として考えることが可能となるのだ。

むろんここで示すことができるのは、n=1の自分一人の考え・感情に過ぎない。

「読みたい文章とは?」という問い対する答えは読者の数だけ存在するのだから、最大公約数を求めるのは無理があるのかもしれない。

それでも、それぞれの作者読者の視点に立って「読みたい文章とは?」という問い対する答えを考えてみるのは無駄な作業ではないと思う。

それは、多くの作者がそのような作業をすることで、だんだんと「読まれる文章とは?」という問いに対する答えが見えてくるかもしれないからだ。


読者視点の三角形

それでは、上図を120度時計回りに回転してみよう。
 グリッ!
そうすると、読者視点での三角形の図に変換できる。

これなら自分事として考えることができそうだ。

読者視点の三角形

2つの対立軸
 1. 読者 ⇔ 作者
 2. 読者 ⇔ スポンサー

作者視点の対立軸

今度の対立軸は読者が主体だ。読者 ⇔ 作者の軸と読者 ⇔ スポンサーの軸の2つだ。

まず、読者 ⇔ 作者の軸について考えてみたい。

作者ファーストの文章とは下記のような文章である。

  • 誤字脱字が多い

  • 表現がわかりにくい

  • リズムが悪い

  • 不快な表現が多い

  • 真偽不明な情報が含まれる

  • 考え方が偏っている

  • 独りよがりな論調

  • 専門用語の注釈がない

  • 新たな情報、視点がない

  • 得る物がない

  • 内容が不快

  • 読んで面白くない

反対に読者ファーストの文章とは、これとは真逆の文章であり、一言で表現するならば、読者に対するサービス精神旺盛な文章のことだ。

もっとも現実には両極端の文章は少なく、大抵の文章は点Aのように作者ファースト読者ファーストの中間に位置するだろう。ただ、その位置が若干異なるだけだ。

次に、読者 ⇔ スポンサーの軸についてであるが、これについてはわかりやすい。

スポンサーファーストの文章とは、ガッツリ広告だらけの文章のことだ。

こちらも点Bのように中間に位置する文章が多く存在する。それは、あまりにも広告が前面に出てしまっては読まれなくなり宣伝効果が薄れてしまうからだろう。

特定の商品を宣伝する文章から、企業イメージを向上させるための文章まで多岐にわたって存在するようだ。


読む/読まないの3つの境界

このように読者視点での図で文章を考えた場合に、読む/読まないの境界はどこにあるだろうか?

自分の場合、3つの境界があるように思える。

読む/読まないの3つの境界
 1. 有料記事
 2. 無料記事
 3. 推しの記事

読む/読まないの3つの境界

厳密な数値化はできないが、イメージとしては下図のとおりだ。

読む/読まないの3つの境界

1. 有料記事
これが一番読む対象範囲が狭い
お金を出しているのだから当たり前だ
新たな知識が得られたり、内容を楽しめたりしなければ納得できない
広告も見たくない
読者ファーストの文章でなければ受け入れられない
誤字脱字やヘタクソな文章などは問題外だ

2. 無料記事
有料記事より読む対象範囲がグンと広がる
お金を出していないのだから心も広く保てる
文章が拙いのもお互い様だ
さり気ない広告は受忍範囲だ
誤字脱字も愛嬌の内だ
ただあまりに独りよがりな文章は御免被りたい

3. 推しの記事
推しが書く記事は、対象範囲が無限に広い
お金を出していてもいなくても全て読みたい
独りよがりの文章でも全て読みたい
全てを受け入れてついて行く
それが推し活というものだ

このように、有料無料かで、読む/読まないの境界は大きく変わる。もちろん有料の場合の方が読む領域が格段に狭い。

プロを目指すのであれば、このことは十分に認識しておいた方がいい。

また、推しの存在は最強の武器となり得る。

分野は違うが、例えば広瀬すずがTV-CMでお勧めしたら、宣伝とはわかっていても何でも買いたくなってしまうのがファン心理だろう。

彼女がマックアップルキャラメルフラッペが美味しいと言えば食べてみたいし、ソフトバンクiPhone 16 Proがいいと言えばキャリアを変えたくなってしまう。

味の素ギョーザをつまみにサントリーザ・プレミアム・モルツを吞みたいし、三井不動産の家にも住んでみたい。何なら男なのに資生堂モイストケアローションMBを使ってもいいかなと思っている。

さほどに推しの存在は強いのだ。


それぞれの戦略

ここまでの分析を踏まえて、それぞれの取るべき文章戦略を考えてみた。あくまでも私見である。

プロを目指す場合

プロの書く文章には、有料無料の2種類があると思う。それぞれの取るべき戦略は以下になる。

有料文章:
 読者ファーストの文章を心掛ける
無料記事:
 スポンサーファースト
の文章を心掛ける

アマチュアでいく場合

自分ファーストの文章を心置きなく書く

プロを目指しているが好きに書きたい場合

プロになるまでは読者ファーストの文章を心掛ける
推しを獲得したら、時々自分ファーストの文章を書く

最後に

ここまで、「読まれる文章とは?」というテーマについて「読みたい文章とは?」という問いに置き換えて考えてみた。

ここに記したことはあくまでも、私の考える「読みたい文章」の話だ。

最後に、この記事を読んだあなたにも聞いてみたい。

「どんな文章が読みたいですか?」


記事紹介

この記事では、「読まれる文章とは?」というテーマについて考えてみた。

こんなことを考えたのは、最近、k_maru027さんコンテストに思うことという記事を読んだのがきっかけだ。

k_maru027さんは記事の中で、自分のライター経験を踏まえて次のように書かれている。

ライター側がいくら「自分がこんな記事を書きたい」と思っても、やはり数字の取れない記事は、任せられるわけがありません。

「コンテストに思うこと」より

企業がわざわざコンテストを主催するということは、企業のブランディング戦略の一つでもあるわけです。そのときに、自社のブランドイメージのダウンに繋がりかねない、「どぎつい、レイプまがい」の記事を採用するでしょうか。

「コンテストに思うこと」より

たいへん説得力のある言葉だ。

企業は慈善事業としてコンテストを開催しているわけではありません。その想像すらできないで、「自分の記事が読まれないのはおかしい」というのは、書き手の傲慢だとすら思います。

「コンテストに思うこと」より

この言葉に、完全にノックアウトされた。

やはり赤の他人に読まれることを意識して書けるのが、プロたる条件の一つではないでしょうか。

「コンテストに思うこと」より

一つ一つの言葉が重い。プロを目指している人も、そうではない人も一読をお勧めする。

k_maru027さん、記事を引用させていただき、ありがとうございました。


#幸せ増幅器

この記事は、高草木陽介さん提唱の#幸せ増幅器企画に参加してます。
この企画は誰でも参加自由とのことです。
(記事を紹介されても、されてなくてもOK!)
この紹介記事を読んでしまったあなた、幸せの輪を広げる活動に参加しませんか?

※この記事は、「読まれる文章とは?」という問いに関する個人的な見解を述べたものです。これが絶対的に正しいという主張ではなく、正解はクリエイターの数だけ存在すると考えています。

※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
また本記事は、特定の商品、サービス、手法を推奨しているわけではありません。特定の個人、団体を誹謗中傷する意図もありません。
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