【神保町】べっぴん舎にてカレーを食す

今日はコロナ禍の外出自粛下にもかかわらず、さーちゃんと二人で大手町周辺をぶらぶらお散歩。普段とは比べものにならない閑散とした大手町・日本橋界隈を散策後、皇居外苑を神保町方面に進み、見つけたのがこのべっぴん舎。昨日の真夏日の気温を引きずったまま、いまだ夏日を感じさせる今日の陽気が足をカレー屋街に向かわせ、運良く「営業中」の看板を発見してお店のある2階へ。「少々お待ちを」とのことでじっとしていると、入口横の卓上に「カレーグランプリマイスター賞受賞」との盾を発見。これは期待大。
 準備が整い店内に入ると、お客さんはカウンターに1人と奥の窓側に並んだ3席の一角に2人がいるのみ。こじんまりとしたお店でオーナーさん1名で今日は営業しているもよう。席に着席して、メニューを拝見。拝見して気づいたがこのべっぴん舎さんのカレーは、以前神保町カレーフェスタでも食べたことがあったもよう。そのときの味の印象が良かったため、今日の食事にも安定の期待感。
 注文内容は、さーちゃんがエビカレー(コリアンダー多め)。俺が赤のべっぴん薬膳カレー(激辛の黒は痔のため断念)。そしてさーちゃんがハートランドの中瓶もプラス。アサヒ、サッポロ、エビスでなくて、キリンのハートランドを置いてあるところも好印象。カリモクの似合うおしゃれな店内には、茶系銀ラベルの瓶ビールではなく、半透明の緑の中瓶がよく似合う。
 こんな日でも出歩く人が多い階下の靖国通りを見下ろしながら、ハートランドを飲みつつ少しだべっているとカレーが到着。赤のべっぴん薬膳カレーは思った以上に濃い赤(さーちゃんのルビーの指輪のよう)で、べっぴん=女性向けの爽やかな印象とはちょっと違う。さーちゃんのほうにも無事エビカレーが同着。こちらはココナッツカレーにコリアンダーをまぶしてエビを沈めたまろやかそうな印象。
 まず一口、赤いルーを白米にかけて食べてみると、ジンジャーと残り数十種類のスパイスの風味が口いっぱいに広がり、そのあとに「市販カレーの辛口」くらいの辛味がくる(今回食べたのは辛さ2)。このお店をカレーグランプリのマイスター賞に導いている理由はこのスパイスの複雑さにあるのだろう。ひと口ひと口が止まらないのではなく、口の中にあるうちは少しでも長く味わっていたいと思わせるルー、いわばカレー界の平野啓一郎。子供には分からない大人の味わい(1冊しか読んだことはないけれど)。そんな赤を味わいつつ、さーちゃんのエビカレーもちょっとおよばれ。こちらはまずコリアンダーの風味が口から鼻腔一体をくすぐり、後から濃厚なエビの旨みを含んだスパイシーかつマイルドなルーが追い打ちをかける。思った以上に辛く、多少むせる(こちらは辛さ3)。ルーだけでなく、エビも一尾およばれ。このエビはソフトシュリンプらしく、尻尾から頭まですべて食せる。めんどくさがりの自分としては作り手の配慮に感謝。
 赤のべっぴんにリターンして、ハートランド片手にひき続きカレーを食す。美味。やはり美味。最近食べたカレーのなかでは確実に上位に食い込む美味なカレー。薬膳と銘打っているだけあって体に良さそうなスパイスが若干脳も活性化させ、発汗も促してくれる健康カレー。大事に食すうちに先に白米がなくなり、あとはルーをじっくり味わう。ひと口ひと口じっくり味わい、エビカレーもはさみつつ、最後のひと口までルーの複雑さを楽しむ。これだけ深みがある複雑なルーが完成するまでの作り手の努力に思いを馳せ、こだわりは奥深さに通じることを感じつつ完食。さーちゃんはいまだ食べ終わってなかったため、最後に泣きのもう一杯ということでエビカレーのルーをおよばれ。こちらもやはり負けず劣らず。
 お会計を済ませ、店外へ。今日も美味しいお店に出会えた満足感と満腹感とともに、いつもの神保町をいつもと違う休日気分で歩き、帰宅の途へ。

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